6回には指名打者の山田哲と近藤が一塁と右翼の守備につき、7回は三塁の外崎と遊撃の源田が入れ替わった。
「哲人のところに(ゴロが)2つ飛んでくれてよかった。(外崎は)複数ポジションを守れるチームには大事な選手。(遊撃は)最終手段ですが、こういうところでしか試せないのでよかったです」
稲葉監督が用兵の意図を語った。山田哲の一塁は十分にあり得るが、外崎の遊撃は恐らくない。坂本勇が合流し、源田が控える。沖縄以降ではできないことを、宮崎でやれた。ここに意味がある。
「人数が限られる大会を戦う上で、ケガとかいろんな場面が想定できます。そのために呼ばれているという自覚もあるので。打球は飛んできませんでしたが、久しぶりに違った景色が見られたのはよかったです」
内外野をそつなくこなすだけでなく、今季は全143試合に出場し、26本塁打、90打点(リーグ6位)の勝負強さ。山賊打線に欠かせない外崎が「自覚」という言葉を使い、チームを支える気概を見せた。故障者が出たり、誰かが不振に苦しめば難なく守り、当たり前のように打つ。ベンチにとってこれほど頼りになる存在はいない。
外崎が最後に遊撃を守ったのは2016年5月17日のロッテ戦。この日と同じく三塁で先発出場し、途中から遊撃についた。「3年ぶりですね。僕にとってはプロに入って、悔しい思いをしているポジションでもある」。弘前実、富士大と遊撃守備にも自信があったが、プロでは2年間で11失策。3年目に源田が入団し、守ることはなくなった。
思いの詰まった守備位置。だが、もしも今大会で守ることがあれば、それはジャパンの非常事態だ。あってはならないことに備える。それが危機管理というものだ。