「映画スター☆トゥインクルプリキュア 星の想いに願いをこめて」見てきましたー。
ねとらぼ様の方でも記事を書きましたが、
あちらは「ネタバレ無し」で書いたので、
自分のブログでは、ネタバレ全開で感想記事を書きます!
というわけで、この先は
「映画スター☆トゥインクルプリキュア 星の想いに願いをこめて」
の重要なネタバレを含みます。
まだ映画を見ていない方、ご注意ください。
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「美しい」映画でした。
まさに、祈りと祝福に満ちた、優しい気持ちになれる。
そんな映画でした。
特にラスト10分の展開と、そこにいくまでの丁寧に積み上げられたロジックが本当に美しかったですよね。
ラスト10分の祈り
今作で最も「すっごい!」と思ったのはやっぱりラスト10分の展開ですよね。
最後をラスボスとの「戦い」ではなく、プリキュアの歌とダンスによる「惑星の再生」にした事が、本当にステキ。
まさに「祈りと祝福」に満ちていました。
プリキュア映画恒例の「絶望→復活→大逆転」のシークエンスは例年通りとして、その「大逆転」の場面において、「強大な敵との戦い」を用意せずに、あえてプリキュアと歌とダンスを魅せる。その主題歌「TwinkleStars」のドラマ性の高い楽曲と歌詞が最先端の3DCGと相まって、幻想的な惑星の再生を描きました。
その発端となる「キュアスターとキュアミルキーの変身シーン」がとにかく神々しい。
彼女たちは「敵と戦うため」ではなく、惑星を「再生」させるために変身したのです。
従来のプリキュアが変身するのは「自身が対峙する不条理に立ち向かう」ためだったのが、今回の映画では「ユーマへの祝福」のために変身するのですよ。
後光がさしているかの様な光の演出のなが、スターとミルキーがゆっくりと変身していく姿、足元から上半身へ、最後に全身が光に包まれ、変身していくシークエンス。特に最後のプリキュアの象徴ともいえる「髪」がビシっとなびく決めのシーンは、その音楽の効果と相まって、もう本当に神々しい光景でした。
このシーンのためだけに、この映画を見に行っても良いと思わせる様な、かつて見た事のない、宇宙で一番の変身シーンだったのです。
もうあと5回くらいは見たい。
(TV版でも一部ありましたが)スター☆トゥインクルプリキュアは決して「戦うために変身する」のではなく、友達を守るために変身するのです。
すっごいじゃないですか。
新しい時代のプリキュアは「祝福」のために変身するのですよ。
(実は「祝福」のために変身した大先輩にプリキュアオールスターズNewStageのキュアエコーがいるのですけど、キュアエコーの変身と同じレベルで、今回のキュアスターとキュアミルキーの変身はものすごい事をしているのだと僕は思うのです)
「TwinkleStars」
そのキュアスターとキュアミルキーのまばゆい光に呼応してソレイユ、セレーネ、コスモがユーマの元に駆け付けてからの、一連の歌と踊りによるシークエンスはプリキュア映画のラストでも屈指の「神々しい」ものでした。
ミラクルライトの使い方も最高でした。
子供たちは、ミラクルライトを使ってプリキュアと一緒に歌って、踊るのです。
そう。
子供たちは「プリキュアに力を託す」のはなく「プリキュアと一緒に星を再生する」のです。
主題歌「TwinkleStars」に乗せて、プリキュアが歌いながら、踊りながら、子供たちのミラクルライトの光とともに、星が再生していく。
言葉の通りミラクルライトで「星を描いて」歌と踊りで、惑星が再生されていく。
ユーマとプリキュアとの思い出(ひいては今それを一緒に観ている子供たちの思い)が、世界を作り上げていく。
悪意から解放され、再生していく。
言葉を話せないユーマ。でも歌なら歌える。
歌は言葉を超えて世界を繋ぐ。1つにする。
世界を変えていく。
ユーマも一緒に歌います。
「TwinkleStars」は続きます。
遥かなプレゼント きみとの記憶が
未来で希望、ちからになる
だから離れても ずっと一緒大丈夫
きみも同じだといいな。
ここの歌詞が本当に良いの。
特に「きみも同じだといいな」っていう「願い」が最高にエモい。
これはプリキュア5人から、ユーマへの、そして子供達への祝福の歌。
プリキュアはユーマと子供達に向かって
「あなたの夢を聞かせて?」
「あなたの夢は私たちの夢。」
「プリキュアと一緒に見た景色が未来への希望と力になるよ」
「もし、この先、あなたがプリキュアから離れてしまっても、きっと大丈夫。」
「プリキュアはずっとあなたの心に寄り添い続けるよ。」
「あなたの心にもいつまでもプリキュアの想いが残っているといいな。」
「おなじ想いだといいな」
自らの夢をかなえる為プリキュアから離れていくユーマ、そしていつか夢を叶えるためにプリキュアから離れていくであろう子供達への祝福なのです。
世界は再生されていく。
「TwikleStars」はこんな歌詞で閉められます。
心ならひとつ、さよならはさよならじゃない
We're Twinkle Stars!!!!!!
歌詞カードを見るとわかるのですけど、ラストの「We're Twinkle Stars!!!!!!」の「!」が6つあるのですよね。
この「!」6つの「トゥインクルスターズ」は5人のプリキュアとユーマであることの証。
プリキュア5人とユーマの6人で歌った歌。
作り上げた世界。
ひいてはプリキュア5人と、今劇場で映画を見ている子供たちのとの世界。
プリキュアと子供たちで歌った歌。
作り上げた世界。
子供達に向けて「私たち、みんながプリキュアだよ」といってる様に聞こえるのです。
最初、曲名が「トゥインクルスターズ」と複数形になっているのは、プリキュア5人だから複数形になっていると思っていたのですけど、この複数形にはユーマが、そして映画を観に来てくれた子供たちの事も含まれているのだと、僕は思うのです。
この映画のラスト10分。
惑星の再生。
これはプリキュアから子供達への祝福の歌なのだと思うのです。
「いつの日か、プリキュアから離れてしまっても、みんなのこころの中にプリキュアと一緒にすごした光景が残っているといいな。」
「プリキュアからもらった勇気が、みんなの心の中に残ってくれているといいな。」
「プリキュアはいつだってみんなの心にいるよ。そしていつの日か、みんなとまた会えるといいな。」
そんな思いが込められてるのだと僕は信じています。
再生された惑星ユーマは、ひかるとララと過ごした、楽しかった光景を元に作られています。ユーマのなりたい惑星は、彼女たちとの思いでに満ちた星。
ユーマの姿は、キュアスターとキュアミルキーの特徴を兼ね備えた姿。
彼女のなりたい姿は2人を重ねた姿。
子育ての観点からみれば、子供の頃に親と一緒にみた光景はずっと忘れないし、親と過ごした経験が子供たちを形作っていくのです。
イマジネーションは何も無い所からは作られない。
だれかと過ごした「経験」から作られていくのです。
だから子供達をいろんな場所に連れて行ってあげて欲しい。
大人の一方的な愛情ではなく、子供達にたくさんの経験をさせてあげてほしい。いろんな景色を見せてあげて欲しい。
ユーマの星が、プリキュアと過ごした楽しい想い出のイマジネーションであったように、子供たちとたくさんの楽しい想い出を作ってあげて欲しい。
それが子供たちのイマジネーションへとつながっていくのだから。
ラストは一緒に来ているお父さんお母さんへのメッセージも含めている。そんな気もしています。
そして、
ユーマとプリキュア5人とのお別れの時、確かにユーマが「またね」って言ったのを僕は聞きました。
(他の人がどう聞こえたのかは、その人次第だと思いますが、確かに僕は「またね」を感じたのです。)
きっと観ていた子供たちの心にもそれぞれのユーマの想いが届いていたと思うのです。
「想いが言葉を超越した」瞬間でした。
それでね。
最後の「キラやば」は、せつない。
「キラやば」ですよ。
ユーマが宇宙の彼方へと還っていったときの星名ひかるの「キラやば」。
「キラやば」をあの別れのシーンで使うのはずるいって。
泣くに決まってるじゃん。
この8か月間のハイテンションの「キラやばー☆」を前フリに使った様なものですよね。
悲しみと願い、祈りと祝福が多重に混ざり合った、心の底から絞り出したかのような「キラやば」
泣くって。
そして、そんなたった4文字の「キラやば」にあらゆる感情を込めて演じ切った成瀬瑛美さんという声優は本当にすごい。成瀬さん、普段からテンションめっちゃ高く見える人なのですっかりダマされていましたが、あの「キラやば」はダメだって。泣くって。
個人的に、この映画最大のオススメポイントはこの「キラやば」のシーンです。
ぜひ、劇場でご確認ください。
希望に満ちたラストが素敵。
なりたい星を見つけたユーマ。なりたい姿を見つけたユーマ。
ユーマとひかララの最後のお別れは、ララの触覚とユーマの触覚を合わせるもの。これもすっごい素敵。かつてララとユーマの想いが通じ合った時のクワンソウの黄色い花が咲き乱れる想い出の花畑。
スターカラーペンは、2人とユーマが確かにそこにいたという証。
星の一生を考えると、ユーマと2人はもう会えないのかもしれないのですけど、スターカラーペンは確かにひかるとララの元にあるのです。
2人とユーマが過ごした想いは、そこにあるのです。
そして新銀河誕生のニュースが流れる中、ユーマを想う5人のプリキュア。
いつか、遥かかなたの銀河でユーマが「なりたい星」になった時に、また会いたい。
そんな想いを馳せながらのラストのセリフがおしゃれなの。
「会いに行こう。ロケットに乗って!」
この星名ひかるのセリフで閉められるのが本当に本当にステキでした。
この「ロケットにのって!」というセリフに込められた、ひかるとララの友情の物語の着地点を想うとちょっと泣けても来るのです。(だってロケットはララの乗り物なのですよ。)
自分はプリキュア映画は、とにかく「子供たちのため」だけにあるべき、という考えなので、正直最初の感動を前面に押し出した様なビジュアルが出た時は「大丈夫かな・・?」と思っていたのですが、
もう、子供達への祝福に満ちた、すごい映画でした。
それも「今のプリキュアを見てくれてありがとう」に加え、「いつかプリキュアを見なくなった後でも、あなたの心の中にプリキュアはずっといるから大丈夫!」と言っている様でもあり、
一緒にみているお母さんお父さんには「子供たちに沢山の経験をさせてあげてね。そしていつか子供が独り立ちしても大丈夫。きっと子供たちの心にはずっとお母さんお父さんのへ想いはあるよ」を提示したのです。
もちろんこれは自分の妄想なのかもしれない。
けど、確かに自分はこの映画からそんな事を想ったのです。
遥かなプレゼント きみとの記憶が
未来で希望、ちからになる
だから離れても ずっと一緒大丈夫
きみも同じだといいな。
もう。本当にすっごい映画でした。
これはプリキュアというコンテンツじゃないと絶対に出来なかった映画。
12星座ドレスのアクションシーンも超カッコイイし(ちゃんとそれっぽい戦い方するのよいですよね。サソリ座は髪の毛伸びて突き刺すし、水がめ座はオーロラエクスキューションだし、カニ座はカニだし。人魚も尾ひれがかわいいし。全部すき。ちなみにアクションMVPはキュアコスモに上げたい。)
あの慈愛に満ちた変身シーンを見てほしい。
あのラスト10分の祝福を感じてほしい。
まだ見ていない人、ぜひ見てほしい。
すっごいから。
すっごいから。
(おわり)