目白大学(東京・新宿)は24日、埼玉高速鉄道(地下鉄7号線)を浦和美園駅から東武野田線岩槻駅まで延伸する計画の実現を求める要望書をさいたま市に提出した。同大は同市岩槻区にキャンパスを構えており、定員を増やして新学部を設ける構想も明らかにした。東京方面から通う学生の交通の便を高めるため、延伸計画の早期事業化を求めた。
さいたま市の経済団体が参加する「地下鉄7号線延伸事業化推進期成会」とともに、清水勇人市長に提出した。同大は2019年度中にも、岩槻キャンパスの定員の拡大に向けた学内の会議を立ち上げる。要望書には地下鉄7号線の浦和美園―岩槻(7.2キロメートル)の延伸と、大学近くへの新駅設置を盛り込んだ。
目白大は東京都新宿区に本部を置く。岩槻駅が最寄り駅の岩槻キャンパスには医療や看護関連の学部が入り、現在は約1200人の学生が通っている。敷地に余裕があるため、これまでも定員拡大を検討してきたが、交通事情を理由に断念してきた。現在は岩槻駅から大学に路線バスが運行しているが、駅前のバス停に行列ができるという。
ただ、政府は東京一極集中の是正を目的に、東京23区の大学の定員抑制を始めた。同大の鈴木伸明大学事務局次長は「新宿キャンパスの定員増は限界だが、岩槻は交通の便がネックになっている」と訴えた。
さいたま市は18年、延伸事業の採算性などの試算結果を示した。延伸実現には国の補助が欠かせず、浦和美園と岩槻だけに停車する快速電車のケースが条件を満たした。市は埼玉高速鉄道などと実務者会議を開いているが、目白大の学生の利用が増えれば、延伸区間の採算性が一層高まる。
清水市長は日本経済新聞の取材に対し「(目白大の定員増の構想は)延伸事業の実現を後押しする」との見方を示した。埼玉県の大野元裕知事が延伸事業を掲げていることに触れ「大野知事ともよく話したい」とも述べた。
岩槻区は市内で最も高齢化が進み、にぎわいが薄れている。推進期成会の高橋三男理事は「目白大学は地域活性化に貢献しているが、学生は交通の不便さに悩んでいる。行政に(延伸に)力を入れほしい」と強調した。