ノジマ、スルガ銀「創業家全株」を買い取る思惑

カード事業に食指、先進フィンテック企業に

経営不振に陥ったスルガ銀行の創業家保有株は、家電量販大手のノジマが買い取ることになった(撮影:尾形文繁)

ノジマはあきらめていなかった――。

不正な不動産融資などが発覚したことで経営不振に陥り、現在、経営再建中のスルガ銀行の創業家らが所有している全株式を、家電量販店大手のノジマが買い取ることになったからだ。

ノジマが2割近くを握り筆頭株主に

ノジマによると、今回買い取るのは、創業家の関係会社や団体が保有していたスルガ銀行株の13.52%。金額にして約140億円にのぼる。既にノジマは5%近くのスルガ銀行株を保有しており、今回の追加取得も含めてスルガ銀行株の2割近くを握り、ダントツの筆頭株主となる。

スルガ銀行は今年5月、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナー向け融資で、審査書類の改ざん疑惑などが浮上して経営不振に陥っていた。スポンサー企業として、ノジマを始めとする複数の支援先が手を挙げていた。

支援先の選定にあたっては、出資も含む支援を検討していたノジマが有力視されていたが、土壇場で金融機関以外の支援を嫌った金融庁が、一度は支援を断念した新生銀行を引っ張り込み、「出資なしの業務提携」という異例の支援策となる経緯があった。つまり、この段階でノジマは破れていたのだ。

ところが、その際、創業家やその関連企業が保有している大量の株式が問題となっていた。それは、不正融資を主導してきた創業家の影響力が残っていては抜本的な経営改革が行えないからだ。

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