名古屋グランパスが第29節を終えて14位に低迷し、再びJ2降格の危機にいる。J1復帰からわずか2季での再降格は絶対に許されない事態。過去にクラブの苦境を経験したOBの証言を全3回連載し、残り5試合でのJ1残留のヒントを探る。第1回は、楢崎正剛クラブスペシャルフェロー(43)が、クラブ初の降格を喫した2016年を振り返る。
―16年以前も降格の危機があった。「一度も落ちていないクラブ」という意識はあったか
「僕たちはすごくあった。『オリジナル10』で降格していないクラブは、数が少なくなっていった。クラブや(元社長の)久米さん(故人)も『常にJ1にいなければならない』と、すごく言っていた」
―小倉監督の就任と盟友・闘莉王の退団。16年のチームの印象は
「また新しくスタートを切った年。ただ、選手のボリュームが少し薄くなっているかなぁという感じ。期待半分、不安半分だった」
「だいぶきつかった。降格を経験した選手の『降格するチームはもっとこうだから』という話をなるべく前向きにとらえたり…。ポジティブな声かけをして、サポートしようと思っていた」
「監督交代は一からやり直すという意味や雰囲気を変えるショック療法のような意味がある。ただ、監督だけで全てが変わる訳ではない。プレーしている選手の責任も大きい。何とか力に変えないといけない、と思ってやっていた」
―4クラブに降格可能性を残し、自動降格圏の16位で最終節に臨んだ
「全然ダメだった。プレッシャーもあった。何か普通じゃないよな…と。(J2降格が決まっていた)湘南の方が吹っ切れていて、フレッシュだった」
「湘南戦の後悔もあったが、なんであそこで踏ん張れなかったんだろうという気持ちだった。結局は日々の積み重ねだな、と」
「今が変えられるチャンスならば、今、ちゃんとやっておかないといけない。追い詰められた状況になるほど、力を発揮するのは難しかった。自分たちから良くしていける時に、変えないといけないと思った」
―17年にJ2でプレーし、翌年J1復帰。クラブが目指すべきところ
「グランパスというクラブを考えれば、あのステージ(J2)で戦うというのはあってはならないこと。クラブ全体がそう思わなければいけない。新加入選手やスタッフも含めて思いを一つにしなければいけないし、そうあってほしい。(現チームは)個人が持っている質はどう見ても高い。自信を持って発揮してほしい」