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(喜美子)うち…荒木荘で頑張ることにした。
信楽には帰らん。
盆も正月も帰らん。
大久保さんの後を引き継いで荒木荘の何から何まで目ぇつむってもできるぐらいしっかりやれるようになるまで荒木荘は辞めへん。
そやし… 3年は帰らん。
(常治)さ… 3年!?ほな。
♪~
ただいま戻りました!
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
♪~
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
(声援)
そして 昭和30年。
荒木荘での暮らしも2年と半年が過ぎました。
ええ秋晴れや!
喜美子 もうすぐ18です。
(目覚まし時計の音)
♪~
大久保さんの後を無事に引き継ぐことができ今では 喜美子が一人で荒木荘を切り盛りしています。
♪~
喜美子が信楽で見つけた かけらは室町時代に焼かれたものだと分かりました。
今日こそ… 今日こそ!
今では お守りのような存在です。
(さだ)そら あかんわ 確かに。
今日こそ喜美ちゃんが なんとかせな。
うちがですか やっぱり?
それも喜美ちゃんの仕事やで?
大久保さんは やってたな~?
はい。ウフフッ。
ほな 次 腰な。はい。
(圭介)おはようございます。おはようございます。
今 来たら あかん! スケベ!
あっ 喜美ちゃん ごめん今日 はよ終わるから弁当要らんかったわ。
あっ そうですか。そんなん はよ言うたげな。
もう頭いっぱいやねん。
カリキュラム増えてもう覚えなあかんこと いっぱい…。
ああ! もう来たらあかん言うてるやないの! スケベ!
もうちょっと ここ 上ちゃう?あっ 上…。
来年には 決めなあかんしな…。見んといてや~ スケベェ~。
見まへん!フフフッ。
これ済んだら すぐ ごはん出しますね。うん 頼むわ。
圭介さんは 小児内科に進むか外科に進むか迷っています。
荒木商事は 大手の下着会社に吸収されさださんは 独立し下着デザイナーを育成する仕事を始めました。
ほな。行ってらっしゃいませ。
そのため 試作品のブラジャーの洗濯も喜美子がしなければならなくなりました。
…が 洗濯機を必要経費として認めてくれおかげで洗濯は 随分 楽になりました。
来やった!
今日こそ… 今日こそ!
♪~
雄太郎さん! ちょっとお話があります!
雄太郎さん! どこ行くんですか!?
雄太郎さん! 雄太郎さん!? お話…!
いい加減にして下さい。 あっ!
雄太郎さん ちょっと待って下さい。
雄太郎さん ちょっと待って下さい。ちょっと待って下さい。
雄太郎さん? 雄太…。
雄太郎さん。 雄太郎さん!
うん? 近っ… うん?
どうしたん? 雄太郎おらんで?ほな お兄さんでええです。
今日こそ お話しさせて下さい。俺はお兄さん違うから うん。
俺は違う。 お兄さん? お兄さん?
・あれ? お兄さん? あれ?はよして下さい。
もう 何をバタバタしてんの~?
おらんよ?
ほな お姉さんでええです!お姉さん違うねん。
もう! 来て下さい もう!お姉さん違う!
ほな 誰やねん!喜美ちゃ~ん!
今日こそ お話しします!
ええですか?
荒木荘の運営は 毎月 皆さんから頂く下宿代金で賄われてます。
聞いた。聞いてない!
聞いたいうんは ちゃんと忘れずにいることを聞いたいうの。
雄太郎さん いつもこっちからこっちへ出ていくやんけ。
そんなん聞いたとは言いません!
(泣きまね)
泣いてもあかん!(泣きまね)
この帳面 見て下さい。
毎月入ってくるお金は同じやねん。
そこから食費やら 光熱費やらをうちがやりくりしな あかんの。
うちのお給金も こっから出てるんやで!?
なに 塞いでんの。
出ていかんように。ほな よう聞いて下さい。
もう半年もたまってます。いい加減 下宿代金頂かんと困ります!
そんな顔されても…。助けてえやあ。
助けてきたやん!
うちの内職のお金 どんだけ雄太郎さんの下宿代に消えてったか。
ス… ストッキングもここんとこ お代も本数もグッと減ってはたきや封筒作りはそんなもらえへんし…。
アハハッ! 雄太郎さん!
いい加減にしてもらわんと こっから出ていってもらうことになりますからね。
はい…。日雇いでもええから働いて下さい。
お願いします!
はあ~ やっと言えた…。
ほな お茶いれますか。
はあ…。
映画俳優に日雇いて…。
映画俳優て 「大阪ここにあり」だけやんけ。
いや いや いや いや いや いや「大阪そこにあり」も!
「大阪そこにあり」は「大阪ここにあり」がこけたから結局やらへんかったやないですか。
はあ… 「大阪」どこ行った!? 僕の夢は…!夢も大事!
ほやけど お金あっての夢ですよ。
厳ちい~!(ちや子)厳しくせんとなあ?
おったん?おったわ。
喜美ちゃん お茶だけでええよ。はい。
厳しくせんと 後から大久保さんに怒られるんは喜美ちゃんや。
大久保さん辞めたやん。
辞めても 時々 孫連れてのぞきに来てるやろ?
荒木荘のお金のやりくりもでけるようになって初めて喜美ちゃんは 大久保さんに認めてもらえるんや。 なあ?
はい。じゃあ 僕がおる限り 認めてもらえんな。
雄太郎さ~ん…。
これ 持ってきたで。あっ ありがとうございます。
何?学校。 いろんな学校の案内や。
ゆうべ渡そう思うてたけど眠とうて寝てもうた。
後で大事に一つ一つ見させてもらいます。
喜美ちゃん 学校行くんや?なに 今更? 話したよな?
もう こっちから こっちの人やから。
はあ… 喜美ちゃんなお金ためて 学校行くことにしてん。
へえ~。 どこの学校?美術関係?
まだ決まってません。お金も まだ たまってませんし。
う~ん… 誰かが下宿代ためてるからなあ。
(雄太郎のせきばらい)
ほな 僕 そろそろ…。
また名画座行くんやったらその前に仕事探しや。
歌える喫茶 さえずりで店員募集してたで?
女の子やん。あれ? 女の子やん。
女の子や。 あ… 行こかな。
行っとけ 行っとけ。行かしてもらうわ。
(笑い声)雄太郎さん お願いしますね。
(圭介)おお びっくりした…。(雄太郎)おお お帰り。
ただいま。お帰りなさい。
ちや子さん 顔合わすの久しぶりやな?もう そんな時間?
今週は 早いねん。うち また1人辞めてん。
えっ 今年に入って…。2人目や。
人は辞めるわ 売れ行きは悪いわで潰れるんとちゃう?
えっ 新聞社って潰れるんですか?
新聞社かて需要ないと成り立てへんわな?
せやからな紙面の大幅変更 強いられてんねん。
エロい話も載せようかいうて。圭ちゃん エロい新聞 買う?
喜美ちゃんの前でエロエロ エロエロ…。
もう18やで? 言うたもんな?うちはエロい新聞は反対です!
男性の意見も聞きたいねん。どう? エロ。
いや… エロって その…ど… どういうんがエロいうんかが…。
弱小新聞社の生き残りが かかってんねん。うち もう行かな。
ほな また意見聞かしてや。うん…。行ってきますぅ。
行ってらっしゃいませ。何や いろいろ大変やなあ。
何か 食べはります?あっ おはぎ残ってますよ。
食べる 食べる!甘いの好きですね。
うん。 いや 喜美ちゃんのおはぎが好っきゃねん。
ありがとうございます。
どうぞ。頂きます。
やっぱ うまいわ~。
あっ そや あれ どないした?犬連れた こわもてのおやじ。
ああ…。朝方と夕方と散歩してんのん?
朝は… 荒木荘に来るんは 夕方だけです。
夕方か…。
もう そろそろ来るかいな?
ゴンいいます。犬の名前?
「ゴン ゴン」言うてますから。最近 越してきた 新しいご近所さんです。
でも… ほんまに こわもてのおやじさんですよ? 体もでかいし。
任しとき。僕が もうピシャッて言うたるから。
「犬のふんは持ち帰って下さい 迷惑です。臭いです!」ってな。
ほんまはうちが言わなあかんことやのに…。
こういうんは 女の子が言うよりも男が言うた方が効くんや。
ほやけど何で荒木荘の前でやるんやろか…。
ほんまやな? かわいい妹に毎日 犬のふんの片づけさせるやなんて許せん!
フフッ すみません。ええよ。
あっ 来た! ゴンや。
♪~
これが 恋物語の始まりだったのです。