NTTコミュニケーションズは2019年10月24日、パブリッククラウドサービス「Cloudn(クラウド・エヌ)」を2020年12月31日で終了すると発表した。今後は大企業向けの「Enterprise Cloud」へ経営資源を集中し、ハイブリッドクラウドやデータ分析など高付加価値サービスを訴求していく方針だ。

パブリッククラウドサービス「Cloudn」の紹介サイト
(出所:NTTコミュニケーションズ)
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 新規の受け付けを2019年12月1日で終了し、既存ユーザーにはEnterprise Cloudや、子会社のNTTPCコミュニケーションズが提供する「WebARENA VPSクラウド」などへの移行を案内する。WebARENAは仮想サーバーを固定リソースで借りるVPS(Virtual Private Server)が主力だが、パブリッククラウド並みの低料金メニューを拡充しているという。

 NTTコムはCloudnの提供を2012年6月に始め、当初は個人や企業の部門利用、ネットサービスなどでの需要を見込んだ。しかし、近年は国内でも米アマゾン ウェブ サービスの「Amazon Web Services(AWS)」や米マイクロソフトの「Azure」など海外勢に人気が集中。Cloudnの契約数は個人と企業を合わせて5000件前後の横ばいで推移していたという。実質的に海外勢との競争から脱落し、価格競争力が求められるパブリッククラウド市場から撤退した格好だ。

CloudnのTシャツを着てサービス終了を説明するNTTコミュニケーションズの林雅之エバンジェリスト(左)ら関係者
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 Enterprise Cloudは、サーバー資源を占有するプライベートクラウドと資源を共用するパブリッククラウド、あるいはAzureなど他社クラウドを混在して利用できるハイブリッドクラウドを強みとする。ネットワーク機能やデータ分析など付加価値サービスも拡充している。NTTコムは、これらの特徴を訴求して大企業の基幹業務向けの需要開拓に力を入れる方針だ。