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【社会】

「検察の司法取引違法」 ゴーン前会長側、公訴棄却主張へ

 日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)を巡る一連の事件で、ゴーン被告の弁護団は二十四日、公判で主張する内容をまとめた書面を公表した。東京地検特捜部が日産秘書室長らと合意した司法取引について、「ゴーン氏を失脚させる目的でなされたもので、法の趣旨に反し違法」と指摘。違法な捜索もあったとして公訴棄却を求めた。いずれの事件についても無罪を主張しており、来春にも始まる公判では検察側と全面的に争う構図になる。

 書面は十七日に東京地裁に提出済み。二十四日に地裁で公判前整理手続きがあったのを機に公表された。

 書面ではまず、一連の事件のきっかけは、仏自動車大手ルノーとの統合阻止をもくろんだ日産の日本人役員らが、ゴーン被告を追放しようとしたことだったと指摘。特捜部に相談し、検事の指示を受けながら不正を探し始めたとした。

 特捜部が外国人執行役員と日本人秘書室長と合意した司法取引は、二人の意思ではなく「日本人役員らの意向によるものだった」と批判。海外にあった関係者のパソコンや携帯電話が日産側に無断で持ち去られ、検察側に渡ったなどとして「違法な捜索や差し押さえがあった」と公訴棄却を訴えた。

 起訴された事件のうち、会社法違反(特別背任)罪を巡っては、私的な投資損失を日産に付け替えたとされる事件について「損害は全く生じてない」と主張。私的投資に協力したとされるサウジアラビアの実業家に日産資金を提供したとする起訴内容は、「日産の事業支援に対する支払いだった」と反論した。

 オマーンの販売代理店経由で自身に日産資金を還流させたとする事件は「ゴーン氏側に金銭が移転した事実はない」と否定した。

 役員報酬約九十一億円を有価証券報告書に記載しなかったとする金融商品取引法違反罪については、検察側は未払いの報酬を退任後に受け取ろうとしていたと指摘しているが、「未払いの報酬は存在しない」とした。

 ともに金商法違反罪で起訴された元代表取締役グレゴリー・ケリー被告(63)の弁護人も主張の書面を公表し、改めて無罪を訴えた。 (山田雄之、山下葉月)

 

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