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【社会】

7月参院選 札幌高裁も「違憲状態」 一票の不平等

 「一票の格差」が最大三・〇〇倍だった七月の参院選は投票価値の平等に反し違憲だとして、札幌市の有権者の男性(45)が北海道選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決で、札幌高裁(冨田一彦裁判長)は二十四日、「違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等があった」とし、「違憲状態」との判断を示した。無効請求は棄却した。

 二つの弁護士グループが全国十四の高裁・高裁支部に起こした訴訟で、高松高裁に続く二件目の判決。高松高裁も「違憲状態」と判断しており、選挙制度改革を巡る国会の議論に影響しそうだ。

 原告側は判決を不服として上告する方針。被告の北海道選挙管理委員会は「選挙の適正な管理執行に努める」とした。

 冨田裁判長は判決理由で、格差が生じた主な原因について「都道府県を各選挙区の単位とする仕組みが原則とされていることにある」と指摘し、見直しが必要とした。

 仕組み自体の見直しが行われているとは評価できないとして、格差を正当化する理由はないと断じた。前回二〇一六年参院選(最大格差三・〇八倍)後に成立した定数六増(埼玉選挙区二、比例四)の改正公選法も「評価できない」とした。

 一方、代わる選挙制度の構築は容易ではないと指摘。「抜本的見直しには相応の時間を要する」とした上で、国会の是正に向けた取り組みが不相当とは言えないとして、原告側の選挙無効の請求を退けた。

 今年七月の参院選は議員一人当たりの有権者数が最少の福井選挙区と最多の宮城選挙区の格差は三・〇〇倍で格差はわずかに縮小、北海道選挙区は二・三三倍だった。原告側は「抜本的見直しが不十分だ」と主張。被告の道選管側は、著しい不平等状態ではなかったとして請求棄却を求めていた。

 

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