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 東京パラリンピックのメダル候補だった選手がある日突然「健常者」とみなされ、出場の道を断たれる――。2020年東京大会の正式種目「馬場馬術」で、そんな事態が起きていた。

 18年9月、世界馬術選手権(米ノースカロライナ州)のパラ種目に出場した中村公子(ともこ)(57)=シュタール・ジーク=は銅メダルを獲得した。馬術は古くから文化が根付き環境も整う欧州・米国勢が席巻する競技で、日本勢のメダルは健常者を含めて過去に1度だけ。日本馬術界にとって、大偉業だった。

 元々は健常者の大会でも国内トップレベル。52歳で出場した14年アジア大会(韓国・仁川)は団体銀メダルに輝いている。転機は16年7月、経営する乗馬クラブで馬の手入れ中に蹴られ、右足の大腿(だいたい)部とひざを骨折。人工関節を入れる手術などで入院は5カ月におよび、痛みなどの障害が残った。法律上も下肢不自由(5級)の身体障害者になった。

 パラ種目への参加は、強化・普及を担う「日本障がい者乗馬協会」の理事に誘われたのがきっかけだったという。

 「馬術をやめよう」と思い詰めるほどの大事故から、懸命のリハビリで復帰。パラリンピックは、夢だった五輪とは別に「もう一つ神様が与えてくれた道」だった。「パラの世界に一歩足を踏み入れ、また夢が一つできた。絶対に東京でもう一花咲かせるぞ、と」。世界馬術選手権で、パラ本番の出場資格も満たした。

 ところが快挙達成の翌月、思わぬ事態が待っていた。

 障害の程度を見極める「クラス…

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