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 「一票の格差」が最大3・00倍だった7月の参院選は投票価値の平等を定めた憲法に反するとして、弁護士グループが選挙の無効を求めた訴訟の判決が24日、札幌高裁であった。冨田一彦裁判長は格差を違憲の一歩手前の「違憲状態」と判断し、選挙無効の請求については棄却した。原告側は上告する方針。

 参院選の「一票の格差」をめぐる訴訟は、二つの弁護士グループが全国14の高裁・支部で起こしている。最初の判決となった16日の高松高裁判決に次いで、札幌高裁判決が2件目で、いずれも「違憲状態」との判断となった。

 7月の参院選の「一票の格差」は、議員1人あたりの有権者数が最少の福井選挙区と最多の宮城選挙区の間で3・00倍、北海道選挙区との比較でも2・35倍に上った。原告側はこの格差が、憲法が求める投票価値の平等に反していると主張していた。

 「一票の格差」をめぐっては、2015年の改正公職選挙法の付則で「19年の参院選に向けて選挙制度を抜本的に見直し、必ず結論を得る」とされた。それを前提に最高裁は、最大3・08倍だった前回16年の参院選について、翌17年に「合憲」と判断した。

 しかし、格差縮小などのため定数6増とした18年の法改正に対し、違憲状態の判決を言い渡した高松高裁も「抜本的な見直しにはほど遠い」と批判していた。

 参院選の選挙制度の決め方について、裁判所は、国会に裁量があると認めている。そのうえで、憲法が求める投票価値の平等に反する状態になり、さらに、それを選挙までに是正しなかったことが裁量権の限界を超えた場合、違憲と判断してきた。(武田啓亮)