70年の時を超え「現役」復帰 1940年式独製オートバイを自分で修理 宇都宮の男性

 【宇都宮】オートバイのキックペダルを踏み込むと、エンジンはよどみなく動き始めた。第2次世界大戦初期の1940年式、ドイツ・ツュンダップ社の名車「KS500」。五代3丁目、元整備業斎藤康夫(さいとうやすお)さん(68)の愛車の1台だ。この夏、70年余りの時を超えて、再び公道を走れる「現役」としてよみがえった。

 車の部品関連の仕事をしていた父親の故三男(みつお)さんが71年、古いバイクが好きな斎藤さんのために、福島県郡山市の整備業者が所有していた車両を見つけ購入。

 戦時中、一時は徴用されていたという車体はさびつき、エンジンも分解されていた。足りない部品は専門の技術者に加工を頼んで作製するなど、斎藤さんが10年ほどかけて動くように修復。

 当時は仕事が多忙で、実際に乗ろうとは考えなかった。だが、近年は仕事も一線を退き、時間に余裕ができ、公道向けに再整備。車両の来歴を示す書類なども残っていたことから、6月上旬に車検を通すことができた。

 KS500について、ツインリンクもてぎホンダコレクションホールのスタッフ坂倉宏(さかくらひろし)さんは「メーカー自体が既になく、走れる状態で保存されているケースは、かなり珍しいのでは」と話す。