どれぐらいの利益がでれば合格点なのか?

この質問はよく経営者の方から聞かれます。

言い換えれば、うちの業績は合格点ですかということです。

これは、決しておかしな質問ではありません。

良い質問です。

健全な判断基準をもつことは大切です。

これがわかっていないと、だめな会社なのに経営に問題がないと思い込んだり、逆にうまくいっているのに、不必要な改善をしようとしたりします。

 

いかなる指標で業績を判断すべきか

利益の絶対額で業績を判断しようとする人がいますが、これは、意味はありません。

当然ですね。

1千万円の当期利益は、従業員100人の会社なら明らかに不合格点ですが、社員数人の会社なら合格点でしょう。

利益の適正額は、会社の規模によって異なります。

ですので絶対額は意味がありません。

 

よく、耳にする売上高経常利益率も適切な判断基準とは言えません。

なぜなら、業種によって粗利率が異なるからです。

たとえば、卸は、粗利率が低くなる傾向がありますし、卸ほどではありませんが、、製造業は人件費がかさむのでやはり低くなりがちです。

卸は、利益率は低くなりますが、比較的小人数で大きな売上を実現できるので、売上高経常利益率が低いからと言って、利益が低いと決めつけるわけにはいきません。

 

利益の物差しは、会社規模や業種に影響されない尺度で判断するべきです。

結論からいうと、売上から、直接的に外部へ払ったコストを差し引いて計算される限界利益の20%が残るようであれば、利益体質といえましょう。

 

  • 売上高-外部コスト=限界利益
  • 限界利益-固定費=経常利益

 

限界利益は会社規模をあらわし、限界利益に対する固定費は、経営効率を意味します。

限界利益の20%が残るようであれば、経営は会社規模にかかわらず、効率に実施されており、毎年、財務は著しく強化されていきます。

会社が作り出した直接的な価値である限界利益の80%で、経営にかかるコストがまかなえるようであれば、会社は将来投資の原資である利益を十分に確保し、成長を持続できるということです。

 

業種ごとの業績評価の考え方

メーカーであれば、売上から製品原価を引いた粗利から、販売費、物流費、管理部門の内部コストを控除した経常利益が、粗利の20%あれば優良企業と言えます。

将来、大きな設備投資が必要となったときも十分に対応できるでしょう。

 

卸であれば、粗利の絶対額から、販売費一般管理費を控除した金額が、粗利額の20%となっていれば、合格点です。

卸の場合は、見せかけの売上が大きいので、売上高経常利益率は、10%未満となることが少なくありません。 

売上高経常利益率が低くとも、経常利益額が粗利額の20%以上となっていれば合格点です。

経営効率という点では健全です。

 

サービスやITは、売上=粗利というケースが少なくありません。

売上高粗利率が100%となってしまい、粗利率は、業績判断の指標になりません。

この場合も、販管費を売上、すなわち粗利の80%に抑えることができれば優良企業です。

売上は、メーカーや卸に比べれば、少なくなりますが、この水準をクリアして、粗利の20%が、経常利益として確保できれば、財務的には優良企業です。

ITやサービス業では、企業規模に比べて、売上は小さくなりがちですが、気にする必要はありません。

限界利益の20%が経常利益として残れば、優良企業です。

 

残る利益は、高すぎてもいけない

限界利益の残存率を20%としましたが、この残存する利益率は高ければよいというものではありません。

設備投資、試験研究費、新人の採用等、未来のために投資を継続しなければ、会社は弱くなっていきます。

将来投資をせずに無理やり捻出した利益は、一過性です。

ですので、経常利益が限界利益額に比して大きすぎれば、必要な投資をしていないのではないかという疑念を引き起こします。

限界利益に対する経常利益の比率は、高すぎても低すぎてもいけないのです。

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