クラス表は上から見るか、下から見るか
入学式、輝月学院は由緒正しい、私立高校だ。
首まで閉めたボタンにネクタイ。
そこには風紀検査には無縁ですと言わんばかりのお利口さんたちがうじゃうじゃ居た。
(さっすがはお金持ち私立って感じ)
そこに来る自分の異物感にしずかは昂揚した。
クラスはAからEまで、上2つは成績上位の特進クラス。
(私の成績なら特進クラスくらいは入れてると思うんだけどなぁ〜)
「ね、見たいから通して」
前方にいる生徒に声をかける、一瞬ぎょっとした顔をしてはいたが素直に道をあけてくれる。
よいしょ、と前に出てみればAクラスのクラス表に私の名前はしっかりと書いてある。
(うん、今日も夜々田のご令嬢は優秀でいらっしゃいますね)
脳内執事が私に絶賛をする。
や行なんて下から見ればあっという間に見つかる、用もなくなればここに長居する必要も無い。
クラス割りの表の横に体育館の方角を示看板がある、そっちに向かえば問題ないだろう。
(時間に余裕はあるけど、まぁぼちぼち行くかな)
「…ねぇ、なにあの子、本当にうちの生徒?特待生?だったらE確定でしょ、Aから見るとかバカじゃん」
「知らなーい。そんなのも知らずに入ってきちゃったんでしょ。馬鹿だよねー、庶民様は」