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喜美子が大阪に来て1か月。
荒木荘で働き楽しみにしていた初めてのお給料はたったの1,000円でした。
そんな喜美子にちや子さんが働く新聞社から引き抜きの話が舞い込みました。
(ちや子)お給料 今の5倍は出す言うてたで。(喜美子)ええ!?
しっかりして下さい!雄太郎さん しっかりして下さ~い!
(平田)よろしく。ほな 適当に片して。はい。
今日 試しに働いてみて どうやったん?
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
♪~
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
働きやすくて…。 ちや子さんの上司のヒラさんも優しくて…。
ほな?
今 ちょうど絵描きながら考えてたんです。
うん。じっくり よう考えました。
ちや子さんが 自分の人生や 自分で考え言うてくれたから…。
ほな じっくり聞こかこんな時間やけど。
フフッ こんな時間やけど ええですか?
ええよ ええよ。 話しぃ?はい。
うち… こういう 絵描くこと好きです。うん。
お金も好きです。うん。荒木荘の皆さんのことも大久保さんのことも腹立つことはあっても 好きです。うん。
ほやけど ヒラさんも ええ人で…。
新聞社の雑用いう仕事もやってみたい。うん。
あそこで働いてたら 新しいこと自分が よう知らん新聞に載ってるようなことを知ることができます。
そら 新聞社やからな。はい。
ちや子さんの職場大変そうやけど 好きです。
好きばっかりやな。そうですぅ。
好きばっかりでどない考えたらええか…。
逆に… ほしたら嫌いなことは何やろ 考えました。
嫌いなこと?うちの嫌いなこと…途中で放り出すことです。
うちは まだ大久保さんに認めてもろえてません。
今 ここで荒木荘辞めたら途中で放り出したことになる…。
そういうのあかん 嫌いや…。
ほな 辞めへんの?
ヒラさん 言うてました。ちや子さんにはブン屋の誇りがあるて。
誇り…?それで 思い出したんです。
昔 お父ちゃんに言うたった…。
回想 女にもあるでえ。
女にも 意地と誇りはあるんじゃあ!
意地と誇りを持ってこの仕事をやり遂げなあかん。
大久保さんに認めてもらえるまで…。
荒木荘の何から何まで目ぇつむってもできるくらいしっかりやれるようになるまで…辞めません。 うち ここで頑張ります。
そうか。すいません せっかくの…。
ううん。 自分で決めたことや。はい。
何や… かえって うち惑わしただけみたい…。
いいえ うれしいです。うれしい?
ほかにもあるて 分かりました。
ここだけやのうてうちにも やろう思たら…ほかにやれることがある。
ここのほかにも 自分の進む道があるんや。
それが分かっただけでも すごいうれしい。
力が出ます 前よりずっとずっと頑張れます。
ありがとうございました。
いつか… ここ卒業したらな…。卒業?
そうや。 荒木荘卒業したら次 行きぃ?
自分のやりたいこと見つけてやりたい道に進んだらええ。
お金ためて いつか…。
いつか… お金ためて…。
やりたいこと…。
そうですね…いつか… お金ためて 自分で…。
月給1,000円で ためんの難しいけどな?
ええ… うわあ…。
頑張りぃ。はい~。
ハハハハ…。頑張りますぅ。長い道のりやな。はあ…。
(子どもたち)おはようございます!おはよう 気ぃ付けてな。
下着ショーを無事終え 荒木社長は今日から1週間 東京に出張です。
(さだ)あ~ やっぱり 着物で行こかな?(大久保)はあ?
こんな格好 東京になめられへんやろか?
(大久保)何を今更…。どう?乳あて ずれてまっせ。
ええ!? いや! アハハッ まあ。
ほな 行ってきます 留守頼みますぅ。へえ 気ぃ付けて。
行ってらっしゃいませ。お気張りやっしゃ!
そこ掃いといて。はい。
妹さん いはったんですか。
(圭介)6つ下の 生意気な妹でな。
僕のこと 「圭介 圭介」言うて 呼び捨てや。
病気で死んでもたけどな…。
終戦の翌年 原因不明の高熱で…医者も よう分からん言うて…あっという間やったなあ。
最期… 僕の手ぇ握りながら逝ってもうた…。
喜美ちゃんが 荒木荘辞めんといてくれてほんま うれしいわ。 ほっとした。
ああ… 雄太郎さんも喜美ちゃんおった方が楽しい言うてたで?
あっ 今度 みんなでなんぞ おいしいもんでも食べに行こ。
連れてったるわ。すみません。 お弁当です。
おっ ありがとう。
信楽で事件が起きたのはこのすぐあとのことでした。
(常治)えらいすんまへん!はあ… すんまへん。
いや うちの若いのがないきなり休みよって ほんま…。
無断で休むなんてよ 初めてやのお?すんまへん。
(荒い息遣い)
(マツ)どないしよ…。ああ! どないしよ!?何や?どないしよ… どないしよ!?
うちが… うちが…!直子と百合子が…。どないした!?
そんで うちが!分かった 分かった…。
(泣き声)
おい 何や どないしたんや どない…。
何や こりゃあ おい!
買いもんから帰ったら こないなっててん。せやから お巡りさん呼びに…。
その前に のうなったもんないか見ぃ!泣いてる場合ちゃうやろ! ほら!
見ぃ! 早く!
お前 そっち見ぃ!ああ…。
ない。
あった!
(百合子)喜美子姉ちゃんの?まだ使わんと置いてあったの!
よかったやん!
アホ! 空っぽやがな!
ほな お金…。
はあ… あれへん…。
すっからかんや…。
(陽子)マツさん いやる?タケノコもろてん タケノコ要らん?何!?(直子)お母ちゃん!うちのお駄賃もない!
とられた…。
(大野)何で警察に言わへんのです?若いもんと連絡取れへんのでしょ!?あの2人。
回想 (保)ご苦労さまでした。(博之)ご苦労さまでした。
おう ご苦労さん。
(大野)無断で仕事休んで 連絡取れへんてそんなもん 絶対あの2人が…。
(陽子)あんた。せやけど…。
・(常治)おばあちゃん具合悪い言うとった。病院かかるよって大変やさかいなんとかならんか言うて…。
ほな やっぱり ジョーさん!いや…。
まだ 誰か分からへんわ。
誰か分からんけど 申し訳なかった言うて返しに来るかもしらん。
朝まで待ったろう…。
願いはむなしく 朝になっても戻ることはありませんでした。
(2人)じゃんけんぽん!・℡
よっしゃ また勝った!
℡
はい。
そうです。 つないで下さい。
荒木荘でございます。雄太郎でございます。
フフッ。 もしもし?
(信作)喜美子?
喜美子やろ? 俺や 信作や。℡お~!
初めて うちに電話や!ここの番号知ってたん?
何や 朝から どないしたん?℡(直子)喜美子姉ちゃん!
直子や!何 かけてんの お金もったいないやろ!?
どっからかけてんの!? あっ 信作の店か。
お母ちゃんのお手伝いしてんの?お父ちゃんに叱られてない?
百合子は どうしてる? あっ 学校は!?
℡学校行かんで…。うるさい うるさい うるさい!
どうしたんや…?℡直子?
直子!
行ってきます。行ってらっしゃいませ。 すいません。
もしもし?あっ あ~ 代わりに説明するとな今 喜美子の家にお巡りさん来てやんねん。はあ?
いろいろ とられたもん調べに来てやんねん。
とられたって… どういうこと?
置いたったお金 喜美子の仕送りも…あっ 直ちゃんが洗濯してためたお駄賃も 何もかもや。
誰が そんな… 泥棒やんけ!?
まあ… そうや 泥棒や。 ほんでな常治さんが大阪向かった 今朝早く。
喜美子んとこ行くから言うとけ言われたんやて。 なっ なあ?
えっ 何で お父ちゃんが うちのとこに?
あ~ 俺 もう時間や学校行かなあかんから。 なっ。
(小声で)直ちゃん!前借りや!
えっ?その… 喜美子の…。
お姉ちゃんのお給料の前借りしに行った!℡ええ!?
℡(直子)お父ちゃん言うてた。「お金 用意しとけぇ」。
♪~
ええ~!?