伊藤宏樹
山口県内の大半の駅で、「ICOCA(イコカ)」や「Suica(スイカ)」などの交通系ICカード乗車券が使えない状態が続いている。県はJR西日本に要望を重ねているが、進展がない状態だ。登場から18年になるIC乗車券はキャッシュレス決済の手段としても浸透しているが、鉄道とバスの双方で全く使えない県も残る。
「観光をこれからやっていくぞという時に、肝心要の新山口駅にない。決定的致命傷だ」
10月上旬、山口県議会の商工観光委員会。山陽新幹線と在来線が接続する県の玄関口、JR新山口駅(山口市)の在来線でIC乗車券が使えないことを、議員がただした。県の担当課長は「JRに繰り返し要望している」「検討を深めるとの回答を得ている」と苦しい答弁を繰り返した。
山口県内でIC乗車券を使える在来線の駅は東西の両端にある4駅にとどまる。JR西日本によると、山陽線の広島県境からの3駅(和木、岩国、南岩国)と、九州からの直通列車があり、JR九州が「SUGOCA(スゴカ)」対応の改札機を設置した下関駅だけだ。広島側の3駅は2007年3月、下関駅には11年3月に導入されたが、その後は山口県内でエリアは広がっていない。
山口県は14年度から毎年、JR西日本にエリア拡大の要望を続けている。住民はもとより、県外から観光や出張で来る人や外国人観光客の利便性が増すからだ。担当者は「全国で10種類のICカードが相互に使えるようになって久しい中、観光や転勤で訪れた人が『なぜ山口では使えないのか』と違和感を抱いている。JRから明確な回答はないが、山口県内でも早くエリアが広がってほしい」と期待する。
JR西日本は、22年度を目標…
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