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【政治】

天皇陛下、即位の礼 識者の見方

◆国民主権の理念に反する

<渡辺治一橋大名誉教授(政治学)の話> 天皇陛下が一段高いところから即位を宣言する儀式の在り方は、憲法で規定する国民主権という理念から、大きく反している。儀式を行うなら、首相が陛下の位への就任を宣言して、それを受けて陛下が国民の象徴となることを誓う形にするべきだ。平成の代替わりから三十年以上たっているのに、見直しが行われなかった。今回は準備期間があったのだから、国会で憲法に沿った即位の在り方を考える超党派の委員会をつくるなどして、国民的な議論をするべきだった。

◆時代に沿った工夫あっても

<近現代史研究者の辻田真佐憲(まさのり)さんの話> 和風の装束に、西洋式の礼砲。高御座に取り付けられたLEDライト…。政治と宗教以外にもいろんな要素が混ざり、ごちゃごちゃした印象を受けた。現在の式典は江戸時代まで続いた形を明治以降に改造したもの。前例踏襲ではなく、もっと時代に沿った工夫があってよかった。一方、天皇陛下のお言葉には、五月の「即位後朝見の儀」に引き続き「国民に寄り添いながら」との文言が盛り込まれた。平成時代の天皇像を引き継ぐ強い意識がうかがえた。

◆追悼なく、明るいイメージ

<近現代皇室制度が専門の大原康男国学院大名誉教授の話> 儀式の内容は平成の御代替わりと変わらないが、今回は、上皇陛下の譲位に基づくものであり、崩御に伴う追悼がなく、明るいイメージで満たされていた点で、これまでとは違った御代替わりとなった。これも新しい時代に沿った在り方の一つだろう。国および国民統合の象徴である天皇陛下の即位を祝うことは国民世論が支持している。政教分離に違反しないということは、既に決着済みの話ではないか。

 

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