こんにちは、ゆう@5つの空室が1日で2つ埋まりました。
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初めてのスルガ案件の取引が終わって、名古屋でNの会社の「地方面談」でスルガ銀行で融資を引いて物件を買っていた方とお会いしました。この時、面談会場になっていたのは名古屋駅直結の名古屋マリオットアソシアホテルでした。名古屋で一番の高級・高層ホテルですね。
この頃には1泊何万円もする高級ホテルに泊まるのが当たり前になっていました。
さて、地方面談の目的は、20万件近いメールアドレスのリストを面談によって顔が見えるようにすること、それから個人で物件を買っている人に「法人スキーム」を教えて”無限に物件を買える”ようにして物件を買ってもらうこと、の2点でした。
ちなみに「法人スキーム」とは、融資を引こうとした際、個人では「個人信用情報」への照会によって既存の借入が分かってしまうため年収1,000万円オーバーの人でも総借入2億〜5億円くらいしているとそれ以上借入ができず、投資規模の拡大が止まってしまうのに対し、金融機関から新規で設立した法人に融資をしてもらい、個人としては連帯保証にとどめることによって金融機関からは個人にも責任がある融資の保全がきいている一方で投資家側としては個人では借入をしていないので、「個人信用情報」への照会をしても既存借入が出てこず、新規で金融機関に融資相談する際にはどんなに借入をしていても”常に1棟目の物件取得”という体で挑める、という手法のことです。
「個人信用情報」だから法人の融資は出てこず、連帯債務は信用情報に出てこない、という制度の穴をついた投資法のことを言います。都内のある税理士がこの手法を開発して徐々に広がっていった、と言われています。
話を戻して、この時期は後に不動産業界を席巻して誰でも知っているようなノウハウになりましたが、この頃はほとんど知られていませんでした。それだけに地方面談で法人スキームの話をすると客の反応は分かりやすく変わりました。
名古屋面談でボクが対応した客は、すでにスルガ銀行で2億円以上の物件を買っている調剤薬局の経営者でした。
Nは面談では「個人で買ってしまっているのでもう物件を買い進めることはできない。」「これ以上物件を買い進めたいなら、いま保有している物件を売らないとダメ。」という半分事実、半分虚偽のストーリーを客に話をします。そして伝家の宝刀「法人スキーム」の話を切り出すと、持ってる物件を売って法人スキームでやり直そう、という流れで話を進めていきます。
すると客は「法人スキーム」で何十億円もの投資規模で物件を取得して、億単位のキャッシュフローを手にする夢を見始めます。
そして”今持っている物件を売って、「法人スキーム」でやり直します”という具合に”洗脳”が完了します。
繰り返しますが、半分事実、半分虚偽になります。個人の信用の枠内でも10億規模の融資を引くことは不可能ではないからです。しかし、この頃は物件を売ることが正義とされているので、10ある情報のうち2、3の情報は意図的に伝えず、客との間の情報格差を作り出すことに専念することになります。
何がすごいかと言うと、約20万人のリストの中で取引が完結できてしまうところです。
20万人の顔の見えないリストから、面談によって顔が見えるようにして、「法人スキーム」のトークによる”洗脳”で持ってる物件を売らせ、他のリスト内の客に「法人スキーム」で買わせる。なかなかうまく出来た仕組みでした。
「法人スキーム」自体は特に問題はありません。その客が銀行に嘘をついて既存債務を隠すことを除いては。
問題は、前回の記事で取り上げた”収益物件売買の最前線の現場”で行われている手法でした。そのため、面談客の中ではNとの面談中に銀行を騙す手法をとってまで投資規模を拡大したくない、と正義感を振りかざして帰っていく人もいました。
ボクの考えとしては、結論が出ていました。
誰もが認める正規の手法で、どこにも突っ込みどころがなく、違法性が全くない王道の投資法、そんなものは誰でも考えつく程度のものなので大きなリターンを得ることはできないでしょう。ある人間があるニュースを聞いて何かを感じたら、同時に同じようなことを考えている人がものすごくたくさんいるものです。人間の思考パターンは大抵決まっているので。それに当てはならない人はサイコパスということになります。
その他大勢の人の中にいて、自分が抜きんでた資産を築き上るなら、よほど能力がずば抜けていてビジネスなど取り組むものに成功するか、よほど運が良いか、または際どい手法を採るかです。完全に違法なことや税金をごまかすのは、前者は中長期的には必ず明るみに出てしまうため、後者は税務当局は日本で一番の調査能力を持っていることから避けるべきです。
”収益物件売買の最前線の現場”で行われている手法については、金融機関側も暗黙の了解的な必要悪的なものだったのでギリギリグレーだと自分に言い聞かせていました。
いまになって、当時の手法が明るみになっていても、ごく一部の例外を除いて裁判や逮捕者が出ていないのはそういうことだと考えることもできると思います。
ボクはそのような考えにすぐにたどり着き、”収益物件売買の最前線の現場”に馴染んでいきました。
しかし、常に勘違いしないようにバブルの中にいても、自分を戒めることを忘れないように客観的な目で自分を見るようにしていました。
そのために収益物件バブルがはじけてもあまり変わらない生活ができているのだと思います。ボク以外のNの会社のスタッフはみな生活が一変してしまっているようです。
・・・何度も言いますが、この話はフィクションなので決して事実と思わないよう念押ししておきます。