培養技術・栄養素・生産技術

飢えや栄養不足のない社会を実現する

最終更新日:2018/06/11

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 世界の9人に1人、約8億人はWFP調べによる「健康で活動的な生活を送るために必要、かつ十分な食糧を得られていない状態」に該当する。

 こうした飢餓や栄養失調は、途上国中心の問題と認識され実際に途上国人口のうち約13%が栄養不良と言われている。
 しかし、経済大国においても栄養失調は無関係ではない。
 食生活の偏りによって、必要なエネルギー量は足りつつも栄養素の足りていない状態であったり、またダイエットなどが原因で1日に必要なエネルギー量・栄養素共に不足している状態の人は多い。
 タンパク質、ビタミンなどの栄養素不足は、病気に抵抗する能力を減少させるなど健康的な生活に関する課題であり、途上国においては命に直結する課題となっている。

 そこで現在、培養肉、完全栄養食などの新しい栄養摂取、低コストの食糧生産技術など、既存の食糧という概念を超えた研究の実用化が世界中で進んでいる。

飢えや栄養不足のない社会を実現する

未来への変化の兆し

  • 低コストな人工肉「インテグリカルチャー」

    インテグリカルチャー株式会社は、細胞培養技術によって人工肉の作成に取り組むベンチャー企業です。

    人工肉は近年「未来の食事」として注目を浴びていますが、アメリカの企業では2017年時点で1ポンドの肉生産に9,000米ドル掛かるなど、高いコストが課題となっています。

    同社は、培養法や成分の代替によって従来の1/10,000までコストを下げることに成功しました。
    今後世界人口は80億人以上に増加すると言われる一方で、地球で生産可能な最大食料は約83億人分とするデータもあり、世界的な食料危機が起きるという予想も存在しています。そのため、純肉・人工肉・培養食糧・細胞農業など、未来の食事・栄養摂取の技術と市場には、大きな可能性と期待がかけられています。

    同社のような技術は、世界中の人が気軽に手に取れる水準まで人口肉のコストを抑えることが可能となるかもしれません。 低コストな人工肉「インテグリカルチャー」
  • 尿を送るだけで必要な栄養素を知ることが出来る

    株式会社ユカシカドの提供する「VitaNote」は、尿を送るだけで栄養状態がわかるパーソナル栄養検査サービスです。

    体格や遺伝的背景、生活習慣などで体内の栄養吸収能力は異なります。VitaNoteでは、尿中物質の解析により、個人ごとに異なる栄養摂取量の把握が可能です。

    食事調査では摂取した栄養量は分かりますが、食後の体内の状態は不明です。血液検査では欠乏状態は分かりますが、個人毎に必要な栄養素の過不足はわかりません。この点、尿検査では体内の消化・吸収・代謝・蓄積力と、必要な栄養摂取量を知ることが出来ます。

    また、ユカシカドでは野菜、果物などの粉末を主体とした天然のサプリメント「Vita Note for 4」も提供しており、VitaNoteの結果に基づいて、現在体が必要としている最適な栄養素の摂取が可能です。

    個々に最適な栄養素を知り摂取できる仕組みは、栄養失調状態を改善する手助けになると期待されています。 尿を送るだけで必要な栄養素を知ることが出来る
  • 安価で栄養価の高いスナックを提供

    Hungry Foalは、世界中の子ども達に持続的に健康的な軽食を届けることを目指して設立されたブランドです。

    栄養失調は、5歳未満の子どもの死亡原因のおよそ半数を占めており、WHOによると予防法の1つが「幼児期に栄養価が高く安全な食品を摂取すること」だとされています。

    Hungry Foalは、世界で最も子どもの栄養失調率が高いインドで「ENERGY BITES」というスナックを販売しています。「ENERGY BITES」は、穀物やナッツなどの天然素材を配合して製造され、タンパク質、繊維をはじめ非常に豊富な栄養価を含んでおり、さらに最新のフードテックを利用することで、低価格での販売を叶えています。
    すでにデリーの200店舗で販売されており、拡大が期待されています。 安価で栄養価の高いスナックを提供
  • 途上国の子どもに給食を提供する「テーブルクロス」

    テーブルクロスは飲食店予約と途上国への食事支援を両立させたサービスを提供する日本のベンチャー企業です。

    彼らの予約アプリは、導入した飲食店にとって集客コストが従来の広告の3分の1になるというメリットがあると同時に、予約した人数分の給食を途上国への提供する仕組みになっています。アプリ内では飲食店情報だけでなく、これまで自分が何人の子どもに給食支援したか?も確認できるようになっており、利便性と社会貢献が両立したサービスになっています。

    途上国では食事や栄養を標準の量摂取することも難しく、また家庭が貧困状態にある場合は家の手伝いで学校に通えないため、将来的に貧困状態を脱する学習機会が得られないという問題が存在しています。

    彼らのサービスは、給食があることで親も喜んで学校に通わせるという効果もあり、現在は東南アジア中心に10以上のNPO団体を通じて、途上国の子どもたちに給食の支援を行っています。

    (参考記事)
    飲食店の予約を通じて、自然と途上国を支援する「チャリティ予約」 ―― 株式会社テーブルクロス
    https://astavision.com/contents/interview/4933 途上国の子どもに給食を提供する「テーブルクロス」
  • コオロギのクラッカー「Crickers」

    Crickersは、コオロギを原材料にしたスーパーフードを開発する、アメリカのベンチャー企業です。

    彼らが開発したクラッカーは、原材料にコオロギを用いることで、豊富なたんぱく質とカルシウム、必須アミノ酸を全て含んだ食糧が手に入る点が特徴です。
    またグルテンや大豆、GMOフリーのためアレルギーなどを持つ人々が手軽に必要な栄養価を摂取する点においても注目されています。

    3種類の味を販売しており、調理用に使用できるサイズで梱包されているため、単体で摂取するだけでなく栄養価の高い食材を日常の料理に混ぜたいというニーズにもこたえることが出来ます。
    そして動物性たんぱくの摂取に欠かせない「飼育コスト」や「供給不足による栄養不足」を防ぐ意味でも注目されています。

    2015年にクラウドファンディングを実施して以降は、自社サイトで通販を中心に同商品を展開しています。 コオロギのクラッカー「Crickers」

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