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中国経済、GDP6%成長とは思えない「ヤバすぎる実態」

巨大国家の運営はかくも難しい…

「6.0%成長」をどうみるか

先週10月18日、中国国家統計局のスポークスマンを務める毛盛勇(マオ・シェンヨン)国民経済総合統計司長(局長)が、3ヵ月に一度の記者会見を行った。今年第3四半期(7月~9月)の中国の主要経済統計を発表したのである。

中国国家統計局HPより

毛司長は、まず前置きとして口上を述べた。

「今年の第1四半期から第3四半期まで、国内外のリスクやチャレンジが目に見えて増している複雑な局面において、習近平同志を核心とする党中央の堅強な指導のもとで、各地域各部門は、党中央、国務院の政策決定を真摯に貫徹し、『安定した中にも進展を求める』(穏中求進)という活動の総合的な基調を堅持し、新たな発展の理念を堅持し、供給側構造改革の深化を持続し、(経済下降の)周期調整に逆行する力を強め、安定した就業・金融・貿易・外資・投資・予期を適切に行い、各種政策をコントロールして着実に落ち着かせ、国民経済を総合的に平穏に運行し、経済構造の良化を継続し、民生福祉を不断に改善させた」

中国の政治家や官僚が、このような長い「枕詞」でスピーチを始める時は、だいたい何か悪い知らせを取り繕いたい時と、相場が決まっている。以下は、要約でお届けするが、毛司長はまず、GDPの成長率について述べた。

中国国務院HPより

「初歩の概算によれば、今年第1四半期から第3四半期までのGDPは69兆7798億元で、前年同期比6.2%増加した。各四半期ごとで言えば、第1四半期が6.4%、第2四半期が6.2%、第3四半期が6.0%だ。産業別に見れば、第1次産業が2.9%増、第2次産業が5.6%増、第3次産業が7.0%増だった」

この発表に、日本の6大紙は、一斉に辛口の見出しをつけた。

<中国6.0%成長に減速 7~9月、過去最低を更新>(日本経済新聞)
<中国成長率6.0%、歴史的低水準に 7~9月>(朝日新聞)
<高まる世界経済への懸念 中国GDP減速の6.0%増>(毎日新聞)
<中国GDP6%増、成長率最低を更新…米中摩擦激化で>(読売新聞)
<中国GDPが6.0%増と過去最低更新 7~9月>(産経新聞)
<中国GDP、6.0%に減速 7~9月、92年以降で最低>(東京新聞)

 

本当に、取りつくしまもないほど、否定的な見出しだ。ここまで各紙に酷評されると、天邪鬼な性格の私は、「6%も成長できれば十分ではないか」と反論したくもなってくる。何せ日本の経済成長率は0.3%(第2四半期)、韓国は1.1%(同)、香港は0.6%(同)、台湾は2.4%(同)である。近隣諸国・地域と較べても、中国の経済成長率は群を抜いているのだ。仮にもし、日本が6.0%成長を果たしたなら、「アベノミクスの偉大な成果!」とか書くに違いない。

また、仮に中国が今年通年で6.0%成長したなら、GDPの「増加分」だけで、IMF(国際通貨基金)の昨年の国家別GDP統計に照らすと、20位につけてしまうのだ。これはスイスの上、トルコの下である。トルコやスイスに匹敵するほどのGDPを、一年間で増やしているのだから、これは十分ではないかと思えてしまうのだ。

だが、中国に問題がないかと言えば、そんなことはない。