連敗スタートの中に一筋の光明が差した。6点差で迎えた最終回の攻撃だった。3四球で1死満塁のチャンスをもらい、7回にチーム唯一の安打を放っていた岡本が代わった森から中堅フェンスまで飛ばす適時打。「こすったので良い当たりではなかった」と納得いかないながらも、3年連続日本一を狙うソフトバンクに一矢報いた。
続く阿部も右翼線への適時打でつなぎ、代打ゲレーロも右翼線への単打を放った。敵の守護神に大きなダメージを与える3連打。吉村打撃総合コーチが「あのまま終わるよりは良かった」と振り返る通り、数少ない明るい材料となった。
それまでは完敗も完敗ペースだった。6月22日の交流戦で黒星をつけた先発の高橋礼に手も足も出ず、5回まで完全に抑え込まれた。6月の対戦で2打数2安打した丸は「テンポがポンポン来るのはハナから分かっている。変化球が多少、多くなっていたかな」と首をひねった。下手から浮き上がる真っすぐ、球速100キロを切るカーブに、当時は投げていなかったシンカーも加わり、的を絞り切れなかった。
連敗の原因ははっきりしている。チームの得点源である1~3番の亀井、坂本勇、丸が2試合で計1安打。しかし原監督は「うちの円熟期の選手たちだからね。1日置いて、また暴れるでしょう」と第3戦以降の奮起を促した。
7回には途中交代で守備についた直後の山本がデスパイネのゴロをはじく失策。松田宣の先制3ランにつながり、「悔しいですね。イージーだったんですけど…」と肩を落とした。原監督は「少し足を引っ張りましたけど、打たれているのは甘いところ。やられたらやり返す、その1点ですね」と話し、3本塁打を浴びた救援陣とともに、失敗を取り返す活躍を求めた。