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佐藤可士和さん、松本隆さん…デキる人はどんな「説明」をしてるのか?

一瞬で相手に理解させる方法
ビジネスから日常会話まで、あらゆるコミュニケーションで求められる「説明力」。話が長い、何を言いたいのかわからない……そのように思われないためには、どうすればよいのだろうか? 教育学者で、著書『頭のよさとは「説明力」だ』がある齋藤孝氏は、クリエイターの佐藤可士和さん、作詞家の松本隆さんの事例を挙げる。彼らは一体、どのような「説明」をしているのか、齋藤氏が語った。

「具体例」を挙げて説明する

例示のうまい人は、くどくど説明をするのではなく、的確な一つの具体例によって説明を全部終えてしまうこともできます。

とくに抽象的なものや、一般化しづらい複雑なものを説明する際は、時間をかけて細かく説明していくよりも、「たとえば、こういうことです」と、一例を挙げるほうが時間もかからず、素早く相手の納得感を得られるものです。

私の好きな作詞家に松本隆さんがいます。松田聖子さんのたくさんのヒット曲や、寺尾聰さんの『ルビーの指環』など、膨大なヒット曲を手掛けている方ですが、以前、テレビ番組でご一緒したことがありました。

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その場で、「どうやってあのような素晴らしい詞をつくっているのですか」と司会の方に聞かれていましたが、この質問に対する説明はとても難しいものです。

作詞とは才能や感性といった抽象的な部分で成し遂げられている作業ですから、言語化しづらいですし、それぞれの曲によって個々で違ってくる複雑な作業です。それを一般化して、「こうです」と表現することは難しいものです。

 

そのとき松本さんは、KinKi Kids のデビュー曲である『硝子の少年』という曲を例に挙げて、「この曲は、こういうイメージでつくりました」と説明されていました。

『硝子の少年』の詞は、『金色夜叉』が下敷きになっていると話されていました。

たしかに詞のなかには、宝石と書いて「いし」と読ませて、宝石で心を売り渡すのかといった表現が出てきます。まさに、貫一お宮の世界を連想させます。