将棋の高校生棋士・藤井聡太七段(17)は21日、東京・千駄ケ谷の将棋会館で指された第69期王将戦挑戦者決定リーグで羽生善治九段(49)を82手で破り、リーグ成績を暫定トップの3勝1敗とした。前人未到のタイトル100期を目指す羽生九段は2勝1敗。消費時間は藤井七段3時間56分、羽生九段3時間54分。終局は午後7時15分だった。
戦型は相掛かりとなった。後手の藤井七段は角打ちからの強襲を決めると、慎重に時間を使いながら主導権を確保。憧れのレジェンドを相手に終始、落ち着き払った堂々たる戦いぶりで、最後は持ち前の終盤力で危なげなく押し切った。
羽生九段とは2018年2月17日の第11回朝日杯将棋オープン戦準決勝で勝って以来、2度目の対戦。前回は早指し棋戦だったが、今回は持ち時間の長い将棋で貴重な白星を得た。それは前回からの1年8カ月の成長を証明する勝利でもあった。
藤井七段が「(羽生九段に)読みにない手を指されたので、自分も学んでいきたい。次も全力を尽くしたい」と、羽生九段へのリスペクトを胸に対局を振り返れば、羽生九段は「藤井七段に力強く指された」と潔く敗戦の弁を述べた。
羽生九段が敗れたことで全勝者が消え、リーグは大混戦となった。屋敷伸之九段(47)が持つタイトル挑戦の最年少記録(17歳10カ月)更新が懸かる藤井七段には、もってこいの展開に。残る対局は2局で、相手は久保利明九段(44)と広瀬章人竜王(32)。負けられない戦いが続く。
王将位は現在、渡辺明三冠(35)が保持。挑戦者決定リーグには7人の棋士が参加し、総当たりで渡辺王将への挑戦権を争う。7人のうち来期に残留できるのは4人のみで「将棋界で最も過酷なリーグ」といわれる。七番勝負は来年1~3月に行われる。