子宮頸がんはそのほとんどが、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で起こることが知られています。
HPVは男性にも女性にも感染するとてもありふれたウイルスであり、性交渉の経験がある女性の80%以上が、50歳までに感染を経験するといわれています1)。
HPVには150種類以上の「型」があります。そのなかで、子宮頸がんの原因と考えられているのはごく一部の型です。
1)厚生労働省 子宮頸がん予防ワクチンQ&A
HPV感染は特別なことではありません。HPVには150種類以上の「型」があり、この「型」の違いによって発症する病気が異なります。
HPVはがんになるリスクとの関連から、低リスク型と高リスク型に分けられます。150種類以上の型があるHPVの中で、15種類程度が高リスク型に分類されます。
子宮頸がんの約65%は、高リスク型に分類されるHPV16型、18型が原因です。
HPV16型、18型による感染は、他の高リスク型による感染に比べてがんの進行が早いといわれています1)。
子宮頸がんの日本人女性のうち、20代の90.0%、30代の75.9%でHPV16型、18型の感染が確認されています2)。
子宮頸がんにおける HPV16型、18型の占める割合
HPVは子宮頸がん以外の病気を引き起こすこともあります3)。
外陰がんへ進行する可能性のある腫瘍です。外陰がんは、女性器の外陰部にできるがんで、婦人科がんの約4%を占めます4)。
腟がんへ進行する可能性のある腫瘍です。腟がんは、女性器の腟にできるがんで、女性器がんの約1%を占めます5)。
良性のイボが性器や肛門のまわりにできる病気です。痛みやかゆみなどの症状はほとんどなく、さまざまな形状のイボができます。再発しやすいといわれています6)。
その他の型のHPV感染については、低リスク型では、HPV2、27、57型などにより手足に発症する尋常性疣贅(イボ)、高リスク型では、HPV31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、73、82型などの膀胱がんや咽頭がんとの関連が報告されています7)。
高リスク型のHPVに感染したからといって、必ずがんになるわけではありません。
1)厚生労働省 子宮頸がん予防ワクチンQ&A