『ブラック・ジャック』に「ふたりの修二」というエピソードがある。筋は以下の通り。
http://www.kurata-wataru.com/t-osamu/else0001.html
この中で、久美の前に現れた修二が、本当に男になったのかと問い詰める場面がある。久美は上半身裸になって、「どうだ男だろ」と言うのだが、どう見たって胸がふくらんでいるのである。だが修二は「ねえさんはもともとペチャパイだったからな」とパンツも脱がせようとする。脱ぎかける久美。次のページで、ブラック・ジャックが現れ、「よせ、むだだ」と言う。すると手塚が出てきて、「なんで出て来たんだっ」「せっかくこれからいい場面をかく所だのに」「ひっこめこのジャマ者」手塚は暴れて、「おれかきたいんだーッ」「かくとチャンピオンの売り上げがあがるぞっ」「一回だけかかせろっ」。するとどこかからマンガ用具が飛んできて、「うるさいバカ」「お前こそひっこめ」。次のコマで、同時期に連載されていた『ふたりと五人』のおさむが出てきて、手塚はこれを指さして「ふたりと5人じゃすきなことかかせているじゃんか」「不公平!不平等!」という。次のコマでは「先輩」が出てきて、「よーするにお前は年なのだ」と言い、手塚が眉根を寄せている。このあと、本筋へ戻る。
だが、この楽屋落ちの場面は、単行本では最初からカットされている。手塚が吾妻ひでおの模写をした貴重な個所なので残念なことである。なおこの当時、手塚は45歳、吾妻は24歳である。