■ 外来の費用、待ち時間に対する満足度は低位 02年受療行動調査
厚生労働省情報統計部は、「2002年受療行動調査の概況」を公表した。それに よると、外来では費用や待ち時間に対する患者満足度が低く、入院では食事の内容、 薬の説明などに対する評価が低いことがわかった。
また、病院全体への満足度としては、特定機能病院の評価が高く、100~499床規模 の中病院で満足度が低いという結果になった。
調査は、11万7334人から有効回答(外来7万4387人、入院4万2947人)を得た。調 査集計は入院、外来について、特定機能病院、大病院(500床以上)、中病院(100 ~499床)、小病院(100床未満)、療養病床のみの病院の5種類に分けて行われた。
外来患者の満足度(「非常に満足」「やや満足」含む)をみると、診療・治療に要 した費用が20.4%、待ち時間も27.1%と低い。待ち時間については、全体の45%が 「30分未満」と回答、前回調査(99年)に比べ7.8ポイント上昇したものの、全体的 な評価は低い。
■ 04年診療報酬改定-本体0%、薬価・材料マイナス1.05%
18日に行われた中医協で、診療報酬本体部分は据え置き、薬価・診療材料で 1.05%の引き下げが決まりました。支払側は、人件費及び物価が下落傾向にある ことから、02年に引き続きマイナス改定を主張してきましたが、診療側は、前回の マイナス改定により医療機関の経営が悪化したこと、医療安全対策費などの確保 を理由にプラス改定を求めていました。
結果、技術料に当たる本体部分は据え置きとなり、12日の診療報酬基本問題 小委員会で了承された「診療報酬改定の基本方針」に沿って改定が進められる こととなりました。
基本方針に示された項目は以下の通りです。
1 医療技術の適正な評価
(1)難易度、時間、技術力などを踏まえた評価
(2)栄養・生活指導、重症化予防等の評価
(3)医療技術の評価、再評価
2 医療機関のコスト等の適切な反映
(1)疾病の特性等に応じた評価
(2)医療機関等の機能に応じた評価
(3)その他のコストの適切な評価
3 患者の視点の重視
(1)情報提供の推進
(2)患者による選択の重視
■ 中医協 亜急性期入院評価検討
12月3日、中医協・診療報酬基本問題小委員会において、亜急性期(回復期) 医療における入院の評価案が示されました。
これは、急性期から回復あるいは慢性期への移行途上の状態や、慢性疾患の 増悪等、一時的に医療必要度が高まる状態にある患者を対象とする(注:今後 さらに検討)もので、診療報酬の点数は包括部分と特定の医療行為の出来高分 との合計とからなります。入院日数は90日までとなる見込みです。
7月の診療報酬小委で、一般診療報酬と老人診療報酬との一本化が検討され て注目を集めましたが、90日を超える、医療行為を必要としない入院、維持期の リハビリなどは、介護保険のカテゴリーに誘導されていくと考えられます。また、 このような流れと併行して、患者をできるだけ社会生活に近い形、在宅に帰して いこうという方針もうかがうことができます。
今後、病院は、難病医療、緩和ケア、リハビリテーション、在宅後方支援などを 中心とした医療行為主体の病床にカスタマイズされていく方向です。亜急性期 病床の成立により、療養病床や在宅での生活をバックアップする医療にも、大きな 影響が及びます。
それぞれの医療機関が、医療環境の変化動向を把握し、自院の位置づけを 常に認識しておく必要があります。
■ 首相、厚労省に診療報酬引き下げ指示 改定論議が本格化
医療機関に対して公的保険から支払われる診療報酬の04年度改定について、小泉 首相が引き下げる方向で検討するよう厚生労働省に指示したことが5日、明らかに なっ た。首相の指示を踏まえ、年末の予算編成に向けて論議が本格化する。日本医師会な どはマイナス改定に強く反対しており、政府・与党内の議論も紛糾が予想される。
診療報酬は検査や手術など医療行為に対する公定価格。診療報酬が1%下がると、 国支出の医療費が約700億円減るとされ、社会保障費の動向を左右する。診療報酬 は診療行為を指す本体と、医薬品の公定価格の薬価があり、小泉首相は両方の引き下 げを求めた。
前回02年度の改定で、改定率は全体で2.7%減(本体1.3%減、薬価1.4 % 減)となった。賃金や物価の下落が続く経済環境に配慮したもので、本体部分の引き 下げは初めてだった。
財務省は04年度の社会保障費の伸びを2200億円圧縮する予定で、公務員の給 与水準や物価が2年前より下がっていることから、04年度改定で診療報酬を4~5 % 引き下げるよう主張している。 厚労省の調査では、実際に取引されている薬の価格は公定価格より約6.3%低く なっている。このため、薬価については04年度改定で1%程度引き下げられること が確実視されている。焦点となる本体部分については、医療機関全体の粗利益率は大 きく落ち込んでいるものの、国公立以外の病院や診療所は黒字になっていて、経営状 況の見方は分かれている。
医療機関側は、黒字とはいえ借金返済などがあり、経営を改善する必要があると引 き上げを主張。健康保険組合連合会などは厳しい保険財政を理由に前回並みの引き下 げを求めている。 朝日新聞ニュースよ り
■ 薬価・材料の引き下げ幅は1%程度、診療報酬本体に影響も04年改定
2004年度の薬価・特定保険医療材料価格改定は、医療費換算で前回改定を下回る1 % 程度の引き下げとなる見通しだ。
3日の中医協総会で公表された薬価調査・材料価格調査の速報値などから推測する と、薬価の改定率は医療費ベースで0.9%程度、材料の改定率は0.1%程度になるとみ られる。
年末の予算編成では社会保障関係費の自然増圧縮分2200億円の取り扱いが焦点とな るが、薬価・材料価格の改定率が前回よりも小幅にとどまると、診療報酬本体への切 り込みも浮上し、シーリングを前提とした仮計算では最大で0.5%程度の引き下げが 求められる事態となりそうだ。
■ 今回の改定は「マイナス改定にならざるを得ない」 財務省・向井主計官
財務省の向井治紀主計官(厚生労働担当)は19日、医療フォーラム主催の「どうす る、日本の医療」で講演し、医療以外の産業の賃金・物価が下落していることなどを 指摘しながら、「やはり今回の診療報酬改定はマイナス改定にならざるを得ない」と 断言。続けて「薬価は薬価調査が出ないとわからないが、診療報酬本体のプラス改定 はあり得ない」とも付け加えた。
入院時食事療養費のあり方については、「保険でみるべき食事は基本的には医療に 必要なものに限るべき」とし、将来的には保険外にすることを視野に入れていると表 明した。一方、人事院勧告を用いた人件費縮減の考え方をめぐっては、日本医師会か ら定期昇給分が考慮されていないとの反論が示されている。
これに対し向井主計官は、「組織の新陳代謝」の観点から、「定期昇給は人件費の 総額には影響しない」と解説し、賃金動向を人事院勧告で計ることの正当性を主張し た。
■ 「難易度」「時間」の調査が必要との認識で一致 中医協分科会
中医協の診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(分科会長=吉田英機・昭和 大医学部教授)は、12月10日に予定されている中医協・診療報酬基本問題小委員 会への中間報告案について議論し、医療技術の難易度や時間に関する調査の実施が求 められるなどの認識で一致した。
中間報告案は(1)難易度(2)時間(3)技術力(4)重症化予防技術等(5) 医療技術の評価・再評価-の5項目。
難易度や時間に関わる評価では、外科系学会社会保険委員会連合(外保連)や内科 系学会社会保険委員会連合(内保連)の調査研究などを参考に、手術・処置の技術や 診療行為にかかる時間の評価について調査を進めることが必要であるとした。
■ 本体3%、診療報酬・薬価等で最低限4%引き下げ きょうの財政審に提示
財務省は、きょう13日の財政制度等審議会に「2004年度診療報酬・薬価等改定の基 本的考え方」を示し、04年4月に診療報酬5%引き下げを提案する。
引き下げの内訳は、診療報酬本体で3%、診療報酬・薬価などをあわせて最低限4 % 、医療機関の収入の増や経営効率化を踏まえて「さらなる引き下げが必要」(5%程 度)というもの。
あわせて年末の予算編成に際しては、3月28日に閣議決定した医療制度改革の基本 方針に基づく「診療報酬体系の見直し」の議論を踏まえ、とくに「配分のメリハリづ け」を重視する観点から、従来のような一本の改定率ではなく、医療機関のコストの 見直しと、経営の合理化に伴う引き下げ分の「改定率」をそれぞれ提示する方針だ。
主計局は、診療報酬体系の見直し論議に一定の成果をあげる観点から、年内中に改 定項目の大枠でも結論を得たい考え。
■ 中医協「第39回 診療報酬基本問題小委員会」
11月5日、中医協診療報酬基本問題小委員会が厚生労働省内で開かれました。 この日は次回診療報酬改定を目前に控え、診療側委員である日本医師会側が 提出した具体的な検討事項について議論が行われました。
「国民により良い医療 を提供するための診療報酬適正評価に関する要望事項」と題された、第2次改定 要望事項の内容は次のとおりで、「それぞれもっと積極的な評価や、基準の緩和 を求める」というスタンスです。
1、適正な技術料評価の診療報酬体系の確立
(1)医師の基本技術に対する適正評価 初診料・再診料の評価、診療料の特性に応じた外来管理加算の見直し、手術・ 検査等における人件費部分に着目した評価、検体検査判断料の評価 など
(2)各診療科固有の専門技術に対する適正評価 処置及びリハビリテーションなどの月内逓減制・算定制限・検査点数・画像 診断料の不合理見直し
(3)現行の技術評価算定方式の不合理是正 包括化における「もの」の部分を見直し、技術部分の引き上げ、及び評価されて いない「もの」の評価など
(4)手術にかかわる施設基準廃止とその他の施設基準の是正
(5)減算方式の廃止と加算方式への移行 院内感染防止対策未実施減算など
2、医療機関機能の明確化及び有機的連携の強化に対する診療報酬上の対応
(1)特定機能病院・地域医療支援病院・国公立病院の再検討 入院機能の評価や公的医療機関における政策医療の推進
(2)療養病床の再検討 医療保険と介護保険の療養病床明確化、老人性痴呆疾患療養病棟入院料 の新設制限
(3)診療情報提供料の拡大と評価の確立 大病院の紹介外来制の推進、紹介患者加算の見直しと逆紹介の評価
(4)病院と診療所の特性に応じた診療報酬体系の確立
(5)病院の外来専用診療所(門前診療所)の問題 他に、地域医療の部分では「在宅患者の医学管理や訪問診療の適正評価と、 制限(複数回往診)の緩和」や「かかりつけ医の積極評価」が、医業経営の部分 では「医療機関の設備投資、外来施設料などの評価」が挙げられました。
これに対して、支払い側委員は「社会経済状況に見合った評価」を求めたほか、 「医療機関が減収になったからといっての改定要望には疑問」との姿勢を 見せています。
■ 特別医療法人の収益業務要件が大幅に緩和 多様な収益業務展開も
特別医療法人制度が5日改正され、病床や収益業務などの要件が大幅に緩和された。 がん専門病院や緩和ケア病院など9種に限っていた医療機関の要件を39種にまで拡充 したほか、収益業務についても、金融・保険業など医療機関になじまない一部の例外 を除き、13業種で原則自由に収益業務を営むことを認めた。
医薬品の販売や医療用具の貸付、患者搬送業といった医療分野に限らず、多様な収 益業務を展開できるようにしたほか、駐車場経営などについても、医療法人の遊休資 産に限らず行うことを認めた。
一方、経営の安定性を確保するため、自己資本比率の要件を20%から30%に引き上 げるとともに、収益業務による収入を全収入の2割に抑えるとする規制は存続させ る。
■ 医師数標準、病院の4分の1満たさず 厚労省
厚生労働省は11月10日までに、医療法に基づく病院の立入検査の結果(02年度) をまとめた。
全国9178病院のうち8656ヵ所に対して立入検査を実施した結果、 医師数が法で定めた標準に適合している病院は全体の75.0%(前年度72.6%) だった。その他、看護師数が適合しているのは98.3%(98.0%)、薬剤師数は 84.1%(85.4%)だった。 医師数の適合率は毎年大きく改善。96年度57.8%、97年度58.4%、98年度64.0% 、99年度69.0%、00年度71.3%だった。
また、病床規模が小さいほど適合率は 低く、500床以上の病院では90.0%が適合している半面、49床以下では68.0% だった。地域別では西日本より東日本で適合率が低く、近畿地方の病院は89.5% が適合したが、北海道・東北地方では52.0%だった。
■ 高齢者世帯、2025年に4割に上昇 人口研推計
世帯主が65歳以上の「高齢者世帯」は2000年の1114万世帯から増え続け、2025年 は65%増の1843万世帯と、全世帯の4割近くを占めることが16日、国立社会保障・人 口問題研究所の推計で分かった。2025年には、世帯主が75歳以上の世帯が5軒に1軒 に達する一方、夫婦と子供という構成の世帯は今より2割減るなど、高齢化と少子化 が加速する見通しであることも示した。
推計は5年ごとに実施、今回は2000年までの国勢調査や同研究所の将来推計人口を 基に、2000―25年について算出した。
推計によると、世帯総数は当面増えるが、 2015年の5047万世帯をピークに減少に転じ、25年は4964万世帯になる。高齢者の1人 暮らしをみてみると、65歳以上が25年には680万世帯と2000年の2.24倍に、75歳以上 に限ると422万世帯と同3.03倍に達する。1世帯当たりの平均人員は2000年の2.67人 から減っていき、25年には2.37人になる見込み。
NIKKEI NETより
■ 病気ごとの年間医療費推計、上位に生活習慣病
増え続ける医療費が国庫と家計を圧迫する中、東京大学大学院薬学系研究科の津谷 喜一郎客員教授(医薬経済学)が率いる研究チームは、病気ごとにかかる年間医療費 の総額を推計し、順位付けを行ったことを明らかにした。
高血圧性疾患と脳梗塞(こうそく)がそれぞれ1兆円を突破するなど、生活習慣病 が上位を占めた。病気別の医療費を詳しくまとめた調査は珍しい。30日から都内で 始まる日本病院管理学会で報告する。
調査は、1999年の旧厚生省の公開データを用いて、119種類の病気について 1日当たりの医療費と年間の医療機関の利用日数を推計、病気ごとの年間医療費を算 出した。
読売新聞より
■ 4~6月医療費1.8%の伸び
厚生労働省は10月22日の中医協総会で、03年4~6月の概算医療費について説 明した。3ヵ月間の医療費総額の伸びは1.8%で、診療報酬マイナス改定のあ った02年度全体(0.7%減)からプラスに転じたが、改定のなかった01年度(3. 2%)より低い伸び。
厚労省保険局調査課は、「被用者本人の医療費一部負担 が3割になった今年4月の制度改正の影響。老人で定率負担が完全実施された 昨年10月の制度改正の影響も一部残っている」と分析した。
医療費の伸びを被用者本人のみについてみると、01年度は0.5%増、02年度は3. 3%減、03年度4~6月は4.1%減。全体では03年4~6月にはプラスに転じて いるのに、被用者本人は02年度のマイナス幅をさらに広げた。
老人は03年4~ 6月に3.3%増で02年度全体(0.3%)よりは伸びたものの、改定のなかった01 年度全体(5.5%)より低め。
■ サラリーマンの医療費4.1%減
厚生労働省は22日、今年4~6月の医療費動向調査結果を公表した。4月から サラリーマンの窓口負担が2割から3割に引き上げられた影響で、健康保険組合など サラリーマンが加入する被用者保険の医療費のうち、被保険者本人分は前年同期比で 4.1%減の1兆1783億円だった。受診の手控えが主な原因とみられる。
しか し、 医療費全体は7兆6520億円で?1.8%増えた。
医療費は被用者本人を除けば、増加している。自営業者らが加入する国民健康保険 と、70歳以上の老人保健は各3.3%増。全体の受診延べ日数は1.5%減ったも のの、1日当たりの医療費は3.4%増えた。診療別では、歯科が1.8%の減少 だっ たが、医科は1.1%、調剤は9.6%それぞれ増えた。
毎日新聞より
■ 出資額限度法人の制度化へ11月中旬までに具体的要件
厚労省検討会が初会合
厚生労働省は17日、「医業経営の非営利性等に関する検討会」(座長=田中滋・慶 應義塾大大学院経営管理研究科教授)の初会合を開き、出資額限度法人の制度化に向 けて、来月中旬までに、同法人の具体的な要件などをまとめる方針を確認した。
同省は来年度の税制改正要望に出資額限度法人への移行を促進するための税制上の措置を求めており、渡延忠医政局指導課長は同検討会の議論と併行して、国税当局と の調整を進めていく考えを示した。
同省は出資者が死亡した場合の相続税問題について、検討会の本題である出資額限 度法人への移行時の課税関係とは直接関連がないとして、この日示した論点からは外 したが、委員からは「相続税をどうするかがはっきりしないとメリットがない」(西 島英利日本医師会常任理事)など、相続税の対応を明確化するよう求める声があがっ た。
■ 全国の診療所・病院、地銀キャッシュカードで支払い可能に
地方銀行64行が加盟する全国地方銀行協会(会長・平沢貞昭横浜銀行頭取)と日本 医師会(坪井栄孝会長)は、診療所や病院で診察代金を銀行のキャッシュカードで支 払えるサービスを始めることで合意した。11月から全国20カ所で試験運用を始め、来 年4月から幅広く実施する。
このサービスは「デビットカードサービス」。患者である利用者が医療機関に設置 した専用端末に、キャッシュカードを差し込んで暗証番号を入力する。都市部の大学 病院を中心に導入する動きが出ているが、地方や中小の医療機関では普及していな い。 日本医師会は全国各地の医療機関に地元地銀と契約するよう促す。契約自体は地銀と だが、どの銀行カードでも利用可能。全国約8万の診療所・病院のうち、1万―1 万5000程度が導入するとみている。
nikkeinetより
■ 改定率決定と並行して改定内容に踏み込む 財務省が診療報酬改定などで論点
財務省主計局は25日、「診療報酬・薬価改定の論点」(未定稿)をまとめた。
例 年の診療報酬改定では、年末の予算編成過程で全体の改定率を決定し、診療報酬の具 体的内容や配分は年明けからの作業で決めていたが、財務省の論点では、例年にも増 して「厳しい」議論が予想される改定率決定の作業と並行して、医療制度改革の「基 本方針」(3月28日閣議決定)に盛り込まれた医療技術(ドクターフィー的要素)の 適切な評価や医療機関のコスト等(ホスピタルフィー的要素)に早い段階から踏み込 む考えを強調。
予算編成過程の議論は単に改定率の決定にとどまることなく、改定内 容についてもメリハリを付ける方針を示した。とくに、ホスピタルフィー的要素で は、 コストの適切な反映として「給食差益」の問題を例示している。また、薬価・医療材 料価格では、長期収載先発品の価格見直しや後発品の使用促進に加えて、市販類似医 薬品等の保険適用の見直しなどにも取り組む方針を明示した。
■ 04年の診療報酬マイナス改定は不可避と明言 財務省・向井主計官
財務省主計局の向井治紀主計官(厚生労働担当)は21日、和歌山県橋本市で開か れた財政講演会で、2004年4月に予定される診療報酬改定について、「経済・賃金の 状況を考えればマイナスは避けられない」と強調。前回同様に診療報酬本体に切り込 む考えを明言した。
また医療保険財政の問題では、中期的安定を目的に老人の完全定 率負担制や被用者保険の3割負担を導入したとしながらも、長引く経済の低迷や雇用 情勢の不安定感などから「組合、国保、政管、あらゆる保険者が赤字だ」と指摘。
医 療保険財政をめぐる問題については「今後1~2年のうちに赤字問題が再燃する」と 見通すとともに、次回の診療報酬改定も「やはり医療関係者にとっても厳しいものに なる」と前置きしながら、年末に向けた予算編成の議論では診療報酬本体の引き下げ にも踏み込まざるを得ないとの厳しい見方を示した
■ 北海道内の病院に名義貸し、筑波大の3医師も
北海道大や札幌医大の医師が、道内の医療機関に名義を貸し、勤務実績がないのに 報酬を受け取るなどしていた問題で、筑波大(茨城県つくば市)の医師3人も道内医 療機関に名義貸しを行っていたことが、道庁などの調査でわかった。
報告を受けた厚生労働省は、名義貸しが全国規模で行われている可能性があるとし て、文部科学省に対し全大学病院を対象に実態調査を行うよう要請した。
筑波大の医師の名義を借りていたのは、北海道日高地方の病床数64床の病院。道 の調査によると、同病院は1997年12月から98年2月まで、筑波大の医師3人 から名義を借り、それぞれ170万円余の謝礼を支払っていたという。いずれも同病 院での勤務実績はなかった。
病院は97年12月、道に対し、短期入院を基本とする「一般病床」を、長期入院 が出来る「療養病床」に変更する申請を行った。道によると、医療法で必要な医師数 は、通常、前年度の実際の入院患者数などの平均値を基準として決める。しかし、当 時、病床のタイプを変更する際の審査だけは、満床状態の病床数を基準として算出し ていたという。
病院側は「通常の診療を行う上では医師数が足りていたのに、変更の審査中だけ足 りないという状態になってしまったので、許可が下りるまで、院長の出身大学の筑波 大の医師から名義を借りた」と事実を認めている。
一方、文科省を通じて名義貸しが行われていたことを知った筑波大は、すでに同大 に所属する医師全員を対象に内部調査を行ったが、「3人以外に名義貸しを行った者 はいなかった」(同大病院部)としている。
北海道内の名義貸し問題は、岩見沢市内の民間病院が健保組合などから診療報酬な どを不正受給していたことから発覚。道庁が今年4月までに、道内64の医療機関を 調査した結果、延べ208人の医師が46の医療機関に対し名義を貸していたことが わかった。筑波大の名義貸しも、この調査の一環で判明した。
読売新聞より
■ 01年度国民医療費は31兆3234億円、対国民所得は過去最高に
厚生労働省統計情報部は28日、2001年度の国民医療費が31兆3234億円となり、前年 度に比べ3.2%(9651億円)増となったことを明らかにした。
統計情報部は本紙取材に対し、伸び率について、「00年度からの介護保険への移行 分を考えれば、例年並みの伸び」と分析している。なお、介護保険への移行分は約1 兆8800億円と見込んでいる。
国民医療費の国民所得に占める割合は8.46%と過去最高になったほか、薬局調剤医療費が対前年度増加率16.5%と伸びが突出しているのが特徴だ。65歳以上の医療費 は15兆3950億円で全体の49.1%を占めた。
国民医療費の伸び率3.2%の内訳は人口増0.3%、人口高齢化1.6%、医療の高度化 などによるもの1.3%となっている。国民1人当たり医療費は24万6100円で、前年度 の23万9200円に比べ2.9%増加した。
■ 医療にもブロードバンド、通信各社が基盤構築
KDDIとNTTが相次ぎ医療向けのブロードバンド(高速大容量)通信サービス に乗り出す。医療分野で最大の課題である患者のプライバシーを保護する新技術を開 発し、医師が新しい患者の電子カルテを前の病院から取り寄せて治療に生かしたり、 難しい病気の過去の症例などを専門病院から入手して参考にしたりできるようにす る。 患者にとっても無駄な検査を省いて医療の質が高まる利点がある。
KDDIは高速通信を活用した医療分野で国の研究機関であるTAO(通信・放送 機構)との共同研究開発を始めた。今年度中に基礎技術を開発し、2004年4月以降に 北海道を中心に実証実験に取り組む。旭川医科大学、北海道大学などと共同で安全 性の高い医療用通信網を構築する計画。患者の電子カルテや医療診断画像などのデー タを病院間でやり取りできる仕組みや、他の専門医がデータを持つ過去の症例や治療 手法を検索して診療に役立てるシステムなどを予定している。
訴えられていたのは、東京都府中市の医療法人社団N病院。定款変更で出資額限度 方式に改めたが、変更後間もなく創始者が死亡し、手続き上の瑕疵を指摘する相続人 が、旧定款に則って37億4900万円の持分払い戻し請求権を主張して、内金13億円の支 払いを求めた。
法人の出資者には合名会社が名を連ねており、原告側は、営利という合名会社の目 的に反する定款変更には総社員の同意が必要だと主張していた。
2003年4月(1) | 2002年4月(2) | 差(1)-(2) | |
在院患者総数 (前月比) | 1,392,432人 | 1,391,856人 | 576人 |
△23,986人 | △18,391人 | △5,595人 | |
一般病床 (前月比) | 752,738人 | 782,260人 | △29,522人 |
△21,450人 | △23,974人 | △2,524人 | |
療養病床 (前月比) | 302,402人 | 270,022人 | 32,380人 |
4,204人 | 1,167人 | 3,037人 | |
外来患者数 (前月比) | 1,673,493人 | 1,799,387人 | △125,894人 |
6,492人 | 16,948人 | △10,456人 | |
診療所(診療病床) (前月比) | 19,544人 | 19,588人 | △44人 |
■ 国民健康保険1人当たり医療費35万円に減少
国民健康保険(国保)中央会が2日まとめた2002年度の国保加入者の医療費状況に よると、加入者1人当たりの医療費は前年度比2.3%減の約35万円だった。医療費総額 は前年度比1%増の16兆9176億円だった。高齢者や失業者らの加入が増え、1人当たり 医療費は2年ぶりに減少した。
国保は自営業者ら企業の健康保険に入っていない人を対象に主に市町村が運営。加 入者は2002年10月に5000万人を突破、増加傾向にある。
同時にまとめた介護保険か ら支払う介護給付費は13.7%増の5兆1918億円。訪問入浴など在宅サービスを中心に 大きく伸びている。
■ 02年度の分業率は全国平均48.8%、4.3ポイント増
日本薬剤師会は25日、2002年度(全保険分)の「保険調剤の動向・速報値」を発表 した。処方せん受取率(医薬分業率)は全国平均で48.8%を記録し、前年度に比 べ4.3ポイント増となった。
調剤件数、処方せん枚数、調剤点数のそれぞれの伸びをみると、前年度比8.1% 増、 同4.5%増、同9.8%増だった。日薬は分業率について、「順調に推移している」との 見方を示したが、処方せん枚数に関しては、長期投薬の影響を受け「伸びが低くなっ ていると指摘している。
保険調剤の動向(速報値)によると、分業率は全国平均で48.8%に達した。過去の 数値をみると、2000年度は39.5%、01年度は44.5%で、一昨年に比べ9.1ポイント増 となった。
都道府県単位では、分業率60%以上の地域は6都県(秋田、佐賀、神奈川、東京、 沖縄、宮城)で、そのうち秋田県が70.8%を記録。年間を通して初めて70%を突破し た。一方、分業率20%未満の地域は15%の福井県のみとなった。
日本医師会は、昨年10月の高齢者の完全定率負担や今年4月の被用者保険本人3割負担の実施と、昨年10月の診療報酬改定の影響をみる目的で実施している第3次レセプト調査の4月診療分集計(速報)をまとめ、公表した。
本人3割負担の影響を総点数、総件数、総日数の3要素でみると、入院、入院外とも対前年同月比で大幅に減少。総点数では、診療所の入院外が7.53%減、病院入院外も5.25%減となったほか、総件数でも診療所入院外5.96%減、病院の入院外で8.30%減という状況だった。
会見で速報値を報告した青柳俊副会長は、「長期投薬(の影響)を含め総日数が減っている。経済状況で減っている。老人保健の自己負担、(被用者本人)3割負担の影響が出ていると想像はしている」と述べ、明確な分析は避けたものの、患者負担の制度改正が影響しているとの認識を示した。
第3次レセプト調査は昨年10月の診療報酬改定や、高齢者と被用者保険本人の自己負担増に伴う影響を検証する目的で、昨年と今年の4月からの3か月間のレセプトデータを対比したもの。
■ 通所リハのPT、OTなど配置基準で解釈通知 厚労省
厚生労働省老健局は5月30日、振興課長、老人保健課長連名で、通所リハビリテーションの理学療法士(PT)、作業療法士(OT)などを「営業日ごとに、常勤換算で0.2人以上配置」できない事業所の扱いについて、「週単位」で基準を満たした場合、介護報酬は減額しないとの解釈通知を、同日付で都道府県介護保険主管部長に送付した。
また、「週単位」でもクリアできなかった場合は、週全体の介護報酬を3割減額する方針も併せて示した。
4月の人員配置基準の改定では、通所リハビリと通所介護の機能を明確化し、通所リハビリではPTなど専門職の重点配置を打ち出した。9月末までの経過措置を設けて「営業日ごと」に人員配置基準を満たすこととしていたが、「需給動向からみて、営業日ごとに確保するのは難しい」(外口崇・老健課長)などの判断から、今回の通知となった。
ただ、原則としては単位ごと、営業日ごとの配置が望ましいとしている。また、PTなどが「常勤換算で0.2人以上勤務していない週に提供された指定通所リハビリテーションについては、当該単位について当該週を通じて所定単位数に100分の70を乗じて得た単位数を算定する」との解釈も併せて示した。
■ 医療費割引契約認可
5月20日、厚生労働省保険局は、健康保険組合と医療機関とが個別に契約し、医療費を割り引くことができること等を明記した「健康保険法第76条第3項の認可基準等について」を健康保険組合理事長宛てに通知しました。
健康保険法第76条3項によれば、個別契約による割引は可能でしたが、1957年5月15日、旧厚生省保険課長は、各都道府県知事宛てに「健康保険法の一部を改正する法律の施行について」を通知し、割引契約を認可しない方針を定めました。この度発出された通知により、「健康保険法の一部を改正する法律の施行について」は廃止され、契約が可能となりました。
契約内容については、契約健保組合と契約医療機関との間には、下記の条件が明記されている必要があります。
① 契約健保組合は、被保険者及びその扶養家族(以下、「加入者」という)が契約医療機関以外の保険 医療機関において受診することを制限しないこと。
② 契約医療機関は、契約健保組合の加入者を優先的に取り扱わないこと。
③ 契約医療機関は、当該契約の実施に伴い診療科目を減らさないこと。
また、同通知によれば、両者の契約は、
① 契約健保組合の加入者が医療機関の選択を歪めるおそれの強いもの(例えば、初診に係る診療報 酬を無料とし契約医療機関への受診を誘引するなど)でないこと。
② 契約内容は、診療報酬の点数表の範囲内である(法第76条第3項参照)こと。
③ 契約内容が、契約健保組合の加入者間の平等を害するものでないこと。
④ 契約内容が、保険医療機関及び保健医療担当規則(昭和32年厚生省令第15号)に反するもの(例 えば、一部負担金のみを減算又は免除するものなど)ではないこと。
という条件を満たしていると認められるものである必要性があることが求められています。
さらに、契約医療機関の運営状況等については、
・ 契約医療機関の運営状況等からみて、診療報酬の割引により、契約医療機関が行ってきた医療の提 供が困難になるおそれが認められないこと
・ 契約健保組合は、契約医療機関の直近2年間の収支状況が分かる書類(収支決算書、財産目録、貸 借目録、貸借対照表、損益計算書(個人病院または個人診療所の場合にあっては所得税申告書)そ の他これらに準ずる書類)を提出し、契約医療機関の収支状況が良好であることを明らかにしなけれ ばならないこと
・ 契約医療機関が複数の医療機関を運営する法人により運営されている場合は、当該法人全体の直 近2年間の収支状況が分かる書類を併せて提出しなければならないこと
・ 直近2年間とも経常損益が赤字の場合(個人病院又は個人診療所にあっては事業所得がない場合) など収支状況が良好でないと認められる場合には認可を行わないこと
の4つ事項が記載されています。
5月16日、厚生労働省の精神保健福祉対策本部(本部長・坂口力厚労省)は自民党 厚生労働部会・精神保健問題検討小委員会合同会議に対して中間報告書「精神保健福 祉の改革に向けた今後の対策の方向」(精神保健福祉対策本部中間報告)を提出しま した。精神疾患患者の入院予防、早期退院、社会復帰へ向けての方向性が明らかにさ れています。
同報告書によれば、今後の精神保健福祉対策の重点施策として
① 普及啓発
② 精神医療改革
③ 生活の支援
④ 「受け入れ条件が整えば退院可能」な7万2千人の対策
に優先的に取り組み、「入院医療中心から地域生活中心へ」転換を図ることを述べら れています。現在、精神障害者のケアは入院が中心で、社会的入院患者は約7万2千人 いるとされており、今後は早期退院促進への転換を図り、10年内には社会的入院を解 消したい考えです。
入院患者の減少促進のためには、
・ 急性期治療の充実による入院期間短縮、退院促進
・ 地域ケアの充実による入院の予防促進
が挙げられています。
また、病床数の削減に向けて、程度・種類に応じて病床の機能分化を推進し、
・ 急性期集中治療
・ 積極的リハビリテーション治療
・ 専門治療
の提供を図りたい考えです。
また、同報告書には、病床の削減や社会的入院の解消を促すと同時に、社会へ復帰 する患者が地域で必要な保健医療や生活支援を受けられるような体制の整備に関して も述べられています。地域社会の受け入れ体制を整えるため、
① 社会復帰施設の確保・公営住宅などへの入居支援や
② 助成金による雇用の支援
③ 偏見をなくすための啓発活動
に力をいれ、
・ 普及啓発指針検討会(仮称)
・ 精神病床等検討会(仮称)
・ 在宅福祉・地域ケア体制等検討会(仮称)
の設置を進める考えです。
その他、地域医療と生活支援を合わせたACT事業(包括的地域生活支援プログラ ム)の導入し、精神障害者の社会復帰しやすい環境を整備することも検討していま す。
なお、ACTプログラムは、重症患者等を地域生活の場で支援することを目的として おり、欧米の研究では入院期間の短期化等の一定の成果を上げています。
厚生労働省は21日、昨年4月に改定された診療報酬のうち、2回目以降の受診の 際にかかる再診料を見直す方針を決め、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機 関) に改定案を提示した。通院回数が増えると段階的に減額する仕組みを改め、毎回同じ 額を支払う定額制に戻す。
改定案は、再診料は病院(病床数200床未満)が580円、診療所(同20床未 満)が730円に統一される。病床数200床以上の病院の外来診療料も680円に 1本化される。6月1日から実施される見通し。
現行の再診料は、病院では1回目は650円だが、その後は段階的に減額され、4 回目以降は300円になる。診療報酬は2年ごとに見直され、昨年4月の改定が1年 余で変更されるのは極めて異例。日本医師会が「同じ治療で医療費が異なることを患 者に説明しにくい」などと改定を要請したことによるものだ。現行の減額制度は、診 療報酬引き下げにより、病院側に患者の通院回数を減らすことを促し、医療費を抑制 するのが狙いだったが、効果は見られなかったという。
健保組合と医療機関が個別契約を結べば、医療費の割引も可能になった。
厚生労働省が20日付で全国の健康保険組合に通知した。契約医療機関を受診すれば、医療費の自己負担が安くなるが、制度の適用には厚生労働大臣の認可が必要となる。すでに昨年度3月末に閣議決定された規制改革推進3カ年計画で打ち出していた が、厚労省内で手続き方法などを決めるのに時間がかかっていた。
この割引制度は、通常1点10円で計算される診療報酬を、契約によって1点9円や8円 にできる。同じ医療行為でも医療費が下がる。
この日の通知は割引制度を適用する際の禁止項目として①健保組合が組合加入者に 契約医療機関以外への受診制限②契約医療機関が組合加入者を優先的に扱う-ことな どを挙げた。実際に契約するには厚労相に認可されることが必要で、地域医療への影 響などを踏まえ判断される。初診無料や、半額まで割り引くといった極端な契約内容 は認めない方針だ。
健康保険法上、個別契約による割引は可能。しかし、厚労省はこれまで結核治療以 外の割引を認めてこなかった。
厚生労働省老健局が4月3日の総合規制改革会議に提出した「施設サービスの見直しと特別養護老人ホームについて」によれば、特別養護老人ホームが見直しの段階に来ていることがわかりました。また、同資料では、「介護保険制度施行後の動向」等も明らかにされています。同資料によれば、特別養護老人ホームに関しては、「住み慣れた地域社会から要介護高齢者を切り離して入所させ、大集団での生活を余儀なくさせる施設サービスについては見直すべき時期」と述べられています。その理由として、具体的には
・ホームへの入所は、高齢者にとって在宅での暮らしと落差が大きく、自立した生活
を営む観点からは問題
・ホームの整備は、介護保険料の額に大きな影響を及ぼす
という問題が取り上げられており、「在宅サービスの厚みを増すことによって、特別
養護老人ホームへの入所が必要なケースを減らすことが可能」としています。
また、「介護保険制度施行後の動向」では、
① グループケアの急増
② 特定施設の伸張
③ ユニットケアの制度化
を挙げており、特定施設に関しては、新型ケアハウスの整備を推進するとしています。
4月から実施された医療費の被用者保険本人3割負担で医師の半数近くが、処方薬剤の絞り込みや薬価の低い薬剤選択への移行を実施または今後の移行を考えていることが、ソネット・エムスリー(so-net M3)が4月7日にまとめた意識調査結果(速報)で分かった。「すでに移行」は15%、「今後移行」は33%で、合わせると48%。また、「患者から希望があれば変える」の32%を除くと、「特に影響なし」と答えたのは20%だった。
「すでに移行」と答えたのは病院勤務医が12%、開業医が23%、「今後移行」がそれぞれ32%、38%だった。一方、「患者からの希望があれば変える」との回答はそれぞれ35%、24%と逆転しており、患者負担増とそれに伴うと考えられる患者減について、開業医の方が性急な問題ととらえている実態がうかがえる。調査は4月3日、同社のウェブ市場調査サービス「リサーチ君」を使い、医師1000人(うち開業医32%)を対象に実施。
厚生労働省は介護保険制度に在宅介護と施設介護を折衷した第三のサービスを新設する。2005年度の制度見直しで、自宅の近くで既存の介護施設に準じた介護を提供する小規模ケア付きホームの全国整備を打ち出す。既存サービスでは賄えないきめ細かな需要に対応する。介護保険の対象範囲を広げることで費用のかさむ既存の施設入所者の増加を抑え、介護保険の財政悪化も防ぐ。
2005年度の介護保険制度見直しを検討する社会保障審議会(坂口力厚労相の諮問機関)介護保険部会で近く審議を開始、2005年度実施をめざす。6月に政府が決める「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太方針第三弾)」に盛り込む方向だ。
厚生労働省の中村秀一老健局長は3日、介護保険の施設サービスについて、「特別養護老人ホーム自体がなくなり、別の形、カテゴリーの介護施設も考えられる」と述べ、2004年度末に迫っている介護保険制度の見直し論議で従来型の特養が廃止される可能性があることを示した。
今後の施設サービスのあり方をめぐっては、「大規模なものでなく、地域から切り離されたものでなく、身近、小規模、多機能、地域密着の『介護ハウス』のような」施設を目指しているとの考えを示した。同日開かれた総合規制改革会議のアクションプラン実行ワーキンググループ(主査=宮内義彦・オリックス会長)で述べたもの。
アクションプラン実行WGはこの日、構造改革特区制度で認められた「特別養護老人ホームへの株式会社参入」を早急に全国展開するよう、厚労省と意見交換を行った。
厚生労働省は1日までに、「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」とする老健局老人保健課長、保険局医療課長連名の一部改正通知(老老発第0320001号、保医発第0320001号)を、都道府県に送った。
1病棟に医療型病床と介護型病床がある病院について、医療保険、介護保険それぞれに異なる職員配置が可能な特例措置を講じることなどを内容とするもの。 改正前の通知では、1病棟に医療型、介護型の病床がある場合の人員配置について「1病棟すべてを当該保険の適用病床とみなした場合に満たすことのできる看護師等の配置基準に係る入院基本料等を採用する」と解釈しており、基準が高い方に合わせて職員を配置しなければならなかった。
政府は28日午前の閣議で、原則75歳以上の全高齢者から保険料を徴収する新たな公的医療保険を作ることを柱とした医療制度改革の基本方針を決定した。現在は保険料を払っていないサラリーマンの被扶養者となっている高齢者にも負担を求めることで現役世代の負担を抑制する。2008年度の実現を目指す。
高齢者が使う医療費の増加に伴って医療保険財政は悪化している。このため政府は4月からサラリーマンが病院で診察をうけたときの自己負担を2割から3割へ引き上げるなどの制度変更を決めた。同時に高齢者の医療費を賄う仕組みなどを抜本的に見直すための基本方針を定めるとしていた。 基本方針によると、75歳以上の保険制度は、加入者の保険料のほか、サラリーマンが加入する健康保険(健保)、自営業者らの国民健康保険(国保)などからの財政支援と公費で財源を賄う。65歳以上74歳以下の高齢者が使う医療費も若い世代に比べれば多い。このため、この世代が多く加入する国保に対して健保が財政支援する仕組みも導入する。
(トピックス)
中医協は26日、日本医師会が見直しを提案していた「再診料の逓減制」について個別の議題として取り上げる方針を決めた。通常の改定議論以外に個別項目について議題として取り上げることは極めて異例これは、今日28日の閣議で検討されます。
介護報酬改定で変更・新設となった外来関連項目
外来対策全般について論じる前に、今回の介護報酬改定で変更または新設となった外来関連項目
ひとつは、通所リハビリです。個別リハを実施の場合が評価の対象となりました。
外来対策の一環として、診療科を拡大するということも検討に値します。特に老人の受診が多い科(眼科、耳鼻科、泌尿器科、整形外科等)は、医師の招聘が可能であれば、その科の外来を開設した方が有利な場合が増えると予想されます。
外来全般については、02年4月の診療報酬改定に続き、03年の介護報酬もマイナス改定になったことから、減少する入院収入をカバーする意味で重視されるようになりました。
一部の急性期の病院を中心に、外来を分離するケースも増えています。これにより、実質的に外来を減らすことなく急性期入院加算さらには急性期特定入院加算まで取得できる可能性が出てきます。
この動きは、急性期の大病院に止まらず、中小のケアミックス、療養型の病院に広がりを見せています。
中小の主に民間病院における外来分離のメリットは、常勤医師数のカウントにあります。診療所となれば、外来患者数に関わりなく、常勤医師数は1名で済むこととなります。従って監査の時に、医師数不足に悩むこともなくなります。
療養型の病院が外来分離をする場合、リハビリに大きなスペースをとるケースが多いこともひとつの特徴です。外来リハビリのみならず、通所リハビリ、訪問リハビリ等、総合的なリハビリ機能を持つことは、今回の介護報酬改定を見ても、非常に重要であることが分かります。
また、パワーリハビリを導入するなど、予防的な医療、介護の提供体制を敷くことにより、地域への密着度が高まります。入院部門は、医療、介護のいずれをとっても収支はマイナス傾向であり、病床数という拡大不可能な枠組みの中で、増収はかなり困難であると言えます。
外来についても、老人医療に関係が深い点数を中心に、引き下げが図られていますが、規模拡大そのものが抑制されたわけではなく、予防分野を含めると、拡大する分野であると考えられます。
相談コーナーや、健診など保健分野への取り組みを行うことにより、患者予備軍や、健康人へのアプローチが可能となり、結果的に潜在患者、つまり、普段は通院しないが何かあったら受診しようという意思を持つ人々が増加すれば、一定の効果が得られたと言ってよいでしょう。
そして、もうひとつ注目すべきなのは、健康増進法です。健康増進法は2002年7月に成立し、2003年度実施となります。これは、2000年から推進されている「健康日本21」を法制化したものであり、医療費増加の大きな要因の一つとなっている生活習慣病の罹患率を下げることを主な目的としています。
健康増進法施行に向けた動きは、要注目です。
通所リハビリテーション費
○ 個別リハビリテーション加算の取扱い
(省略) 「厚生労働大臣が定める状態」とは、以下の状態像が該当するものであること。
「身体の機能障害がある状態その他活動制限がある状態にあり、個別にリハビリテーションを行うことにより生活機能の改善が見込まれる状態」
・「身体の機能障害がある状態その他活動制限がある状態」とは、運動機能障害及び高次脳機能障害等の心身機能若しくは身体構造上の問題がある状態、又は運動や移動、セルフケア等の活動その他何らかの生活面において困難が生じている状態をいう。
「廃用症候群により生活機能が低下している状態にあり、個別にリハビリテーションを行うことにより生活機能の改善の見込まれる状態」
・「廃用症候群」とは、外科手術、急性疾患、外傷等に対する治療時の安静等により、全身の心身機能の低下が生じている状態をいう。
個別リハビリテーション加算は、在宅生活の継続を目的として、実用的な在宅生活における諸活動の自立性の向上のために、理学療法又は作業療法については、実用歩行訓練・活動向上訓練・運動療法等を組み合わせて個々の利用者の状態像に応じて行った場合に算定できるものであり、言語聴覚療法については、失語症、構音傷害、難聴に伴う聴覚・言語機能の障害又は人口内耳埋込術後等の言語聴覚機能に障害を持つ利用者に対して言語機能又は聴覚機能に係る活動向上訓練を行った場合に算定できるものである。なお、医師の指示の下に、言語聴覚士が行う嚥下訓練は、個別リハビリテーションとして算定できる。当該訓練により向上させた諸活動の能力については、個別リハビリテーション以外の時間帯を通じて、看護師等により在宅生活での実行状況に生かされるよう働きかけが行われることが必要である。
個別リハビリテーションは医師の指導監督のもと、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が行ったものについて算定する。また、専任の医師が直接訓練を行った場合に合っても、同様に算定できる。
個別リハビリテーションは、利用者の実用的な在宅生活における諸活動の自立性の向上のため、訓練の専用施設外で訓練を行った場合においても算定できる。なお、言語聴覚療法を行う場合は、車椅子・歩行器・杖等を使用する患者が容易に出入り可能であり、遮音等に配慮された部屋等を確保することが望ましい。
個別リハビリテーションは、1人の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が1人の利用者に対して個別に1日20分以上行った場合に算定し、実施回数は理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士1人につき1日18回を限度とする。なお、利用者の状態像や日常生活のパターンに合わせて、1単位の通所リハビリテーションの提供時間帯に、1日の利用者に対して行われる個別リハビリテーションが複数回にわたる場合であっても、その内2回分の合計が20分を超える場合については1回として算定することができる。
個別リハビリテーションは、利用者が該当リハビリテーションを必要とする状態の原因となった疾患等の治療等のために入院・入所した病院、診療所又は介護保険施設から退院・退所した日(以下「退院(所)日」という)から起算した期間に応じ、所定単位数を算定することとしているが、退院(所)日が確認できない場合、又は、入院・人所歴のない場合であっても、(上記)ロにより算定する。
個別リハビリテーションを行うに当たっては、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が共同して、リハビリテーション実施計画書(別紙様式又はこれに準ずるもの)を作成し、これに基づいて行った個別リハビリテーションの効果、実施方法等について評価等を行う。
個別リハビリテーションを行う場合は、開始時及びその後三か月に1回以上利用者に対してリハビリテーション実施計画の内容を説明し、記録する。
個別リハビリテーションに関する記録(実施時間、訓練内容、担当者等)は患者毎に保管され、常に当該事務所のリハビリテーション従事者により閲覧が可能であるようにすること。
個別リハビリテーションを行うために必要な器械、器具を具備していること。なお、個別リハビリテーションを行うために必要な器械、器具のうち代表的なものは、以下のものであること。各種測定用器具(角度計、握力計等)、血圧計、各種心理・言語機能検査機器・器具等(言語聴覚療法を行う場合)、各種歩行補助具(四脚杖、ウォーカーケイン等)、各種装具(長・短下肢装具等)なお、以下のものについては、必要に応じて備えられていることが望ましい。各種日常生活活動訓練用器具、家事用設備、和室、一般浴槽、立位姿勢用洗面台、訓練用和式トイレ、屋外歩行ルート等
4月からの介護報酬改定の告示
○居宅療養管理指導費算定に関する改定は以下の通りとなりました。
(1) 医師・歯科医師の居宅療養管理指導について
(一部省略)なお、当該医師が当該月に医療保険において、「寝たきり老人在宅総合診療料」を当該利用者について算定した場合には、当該医師に限り居宅療養管理指導費(Ⅱ)を算定することとする。
主治の医師及び歯科医師の行う居宅療養管理指導については、一人の利用者についてそれぞれ月二回まで算定することができる。
(2) 薬剤師が行う居宅療養管理指導について
薬局薬剤師が行う居宅療養管理指導については、医師又は歯科医師の指示に基づき、薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、また、医療機関の薬剤師が行う場合にあっては、医師又は、歯科医師の指示に基づき、利用者の居宅を訪問して、薬剤管理、服薬指導、薬剤服用状況及び薬剤保管状況の確認等の薬学的管理指導を行い、提供した居宅療養管理指導の内容について、速やかに記録を作成するとともに、医師又は歯科医師に報告することとする。薬局薬剤師にあっては指示医に対し訪問結果について必要な情報提供を文書で行うこととする。
なお、請求明細書の摘要欄に訪問日を記載することとする。
薬局薬剤師の策定する「薬学的管理指導計画」処方医から提供された診療状況を示す文書等に基づき、又は必要に応じ処方医と相談しながら、利用者の心身の特性及び処方薬剤を踏まえ策定されるものであり、薬剤の管理方法、処方薬剤の副作用、相互作用等を確認した上、実施すべき指導の内容、利用者宅への訪問回数、訪問間隔等を記載する。
策定した薬学的管理指導計画書は、薬剤服用歴の記録等に添付する等の方法により保存する。
原則として、利用者の居宅を訪問する前に策定する。
訪問後、必要に応じ新たに得られた利用者の情報を踏まえ計画の見直しを行う。少なくとも1月に1回は見直しを行うほか、処方薬剤の変更があった場合にも適宜見直しを行うこと。
居宅療養管理指導費を月2回以上算定する場合にあっては、算定する日の間隔は6日以上とする。
居宅療養管理指導を行った場合には、薬局薬剤師にあっては、薬剤服用歴の記録に、少なくとも以下の①~⑱について記載しなければならない。
居宅療養管理指導を行った場合には、医療機関の薬剤師にあっては薬剤管理指導記録に、少なくとも以下の①~について記載しなければならない。
居宅療養管理指導を算定している利用者に投薬された医薬品について、医療機関の薬剤師が以下の情報を知ったときには、原則として当該薬剤師は、速やかに当該利用者の主治医に対し、当該情報を文書により提供するものとする。
医薬品緊急安全性情報
医薬品等安全性情報
現に他の医療機関又は薬局の薬剤師が居宅療養管理指導を行っている場合は、居宅療養管理指導費は、算定しない。
健康増進施設認定規程の改正
厚生労働省より、3月19日付けで「健康増進施設認定規程の改正について」が公表されました。
健康増進施設認定規程の改正について 以下のような要件を備えるものを新しい類型の健康増進施設として追加する。温泉利用を中心とした健康増進のプログラム(以下「温泉利用プログラム」という。)の提供を安全かつ適切に行うことのできる施設であって適切な生活指導を提供する場を有するもの。
(認定の基準)
厚生労働省は2月19日、2002年4~10月診療分の「医療費の動向」をまとめました。10月診療分の総医療費は前年同月比、3.3%の減で、4~9月平均に比べても3.2%減と大幅に落ちこんでいます。
内訳をみると、医科計は前年同期比4.5%減、歯科が4.6%減、調剤は6.3%増。医科の入院は1.2%減だったのに対して、外来は7.7%減と大きく減っています。また、1日当たり医療費でも、医科計は0.4%増で、入院1.3%増に対して外来は2.4%減でした。診療科別でみると外科15.2%減、内科7.6%減の影響が大きかったものとみられます。
老人医療費は前年同期比に比べて3.0%減。医科計4.2%減、そのうち外来は10.1%減と2桁の減少をみせています。これらの医療費動向は、昨年4月の診療報酬の引き下げ、10月に施行された老人の完全定率制の導入や外総診(老人慢性疾患外来総合診療料)の廃止などの影響が顕著に現れた結果とみられます。
介護保険3施設については、4月1日以降、介護支援専門員(ケアマネジャー)を置くことが義務づけられるが、厚生労働省は14日、「入所定員が19人以下のもの」については経過措置を設け、2006年3月31日までの間に限り、居宅介護支援事業者への委託を可能にする考えを明らかにした。
介護保険の適用を受けた有床診療所から、ケアマネジャーの確保が困難との指摘などがでていたことを受けての対応。
厚生労働省医政局総務課の土生栄二企画官は、東京都内で開かれた医療経営セミナーで講演し、第4次医療法改正による新たな病床区分の定着後も、基準病床数は「一般病床と療養病床の合計数」とし、基準病床数の枠内では届出の変更が可能との方針を改めてしめした。
同省は、今年8月末の病床区分の届け出期限後、患者の受療調査を行なったうえ
で、新たな算定式を定め、各病床ごとの算定を行なう考えだが、基準病床数はこれまで通り、両病床を合わせた全体数とする方針。届け出病床は、都道府県知事の許可を得て変更できる。
厚生労働省は、今後10年内の解消をめざす精神病院の社会的入院患者を対象に、来年度から「退院促進支援事業」として、ケアマネジメント手法を活用した退院訓練事業を実施する。厚労省は事業経費として、来年度予算案で1か所当たり547万4000円、16か所分に相当する4379万2000円(国の補助率=2分の1)を計上した。
この事業は、まず都道府県が委託した精神障害者地域生活支援センターに、医療関係者や社会復帰施設、市町村、保健所、精神保健福祉センターの職員などで構成される「自立促進支援協議会」を設置。精神病院からの申請を受けて、協議会で「自立支援計画」をつくり、対象者は入院しながら授産施設に通ったり、グループホームに体験入居するなどして、社会復帰に向けた“足慣らし”を行う。