じゃがいもの加熱は、スープジャーにおまかせ。
スープジャーをご存じですか? 保温性のある小さなサイズのジャーで、中に入れたものの温度をキープするだけではなく、保温調理の機能があります。煮立てた野菜などを朝入れて学校や会社に持っていくと、数時間の間にじわじわ加熱され、ランチタイムにふたを開くと煮えているという、とっても便利なものなのです。
今日はこのスープジャーを使い、鮭とじゃがいものみそスープを作ろうと思います。普通に煮れば、じゃがいもが煮える時間分、調理時間が必要ですが、スープジャーなら、鮭とじゃがいも、だしがしっかり熱くなれば、そのままジャーに注いで大丈夫。しっかりふたを閉めておけば、お昼にはほかほか、具だくさんのみそ汁が食べられるというわけ。じゃがいもと鮭でボリュームもたっぷり。おにぎり一つ添えれば十分な昼ごはんになりますよ。
簡単で経済的、ほっとするスープジャー弁当。まだの方も、ぜひはじめてみませんか。
鮭とじゃがいものバターみそ汁
材料(1人分・スープジャー300mL1個分) 所要時間10分
生鮭 小1切れ(80gほど)
じゃがいも 中1個(正味120g)
みそ 小さじ2
すりおろししょうが 小指の先ほど
バター 小さじ1
水 200mL
作り方
1 じゃがいも、鮭を切る
じゃがいもは皮をむき、半分に切ってから3~4等分に切る。鮭は4等分に切る。
スープジャーは湯であたためておく。
2 じゃがいもと鮭を蒸し煮する
鍋にじゃがいもと水200mLを入れてふたをし、中火で蒸し煮する。沸騰したら少し火を弱め、3分たったら、鮭の切り身を入れてさらに2分蒸す。
3 味噌とバターを加える
味噌を加えて溶き、しょうがを加える。ジャーに移し、バターを落とす。
レシピのポイント解説
・スープジャーの基本
・じゃがいもと鮭の加熱について
・詰め方と保温のコツ
★1 スープジャーの基本
今回、使用したのは、サーモスの300mL入りのジャー
スープジャーは、使い方に少しコツがあります。とはいっても難しくないので、最初に覚えてしまいましょう。
スープジャーは、こんな風になっています。内ぶたと外ぶたが一体化しているモデルもあります。
二重のふたで、保温性を高め、漏れも防ぐ
ジャーを使うときのコツと注意点です。
① ジャーはあたためておく
スープジャーは、保温性はあるものの、やはりサイズが小さいため、普通のポットよりは冷えやすいです。最初にポットをあたためておくことで、格段に保温力が上がります。
熱湯を半分ほど入れ、内ぶたを閉め、ジャーをあたためておく。
② 生の肉、魚、卵は入れない
生の肉や魚介、また半熟たまごなどは菌が繁殖する危険があります。乳製品を使う場合も必ずしっかりと加熱したものを。
③ 6時間以内で一度に食べる
基本的に、5時間以降は徐々に冷めていきます。加熱機能はないため、一度ふたをあけて食べたものにふたをすると、雑菌が繁殖してしまいます。
そのほか、ジャーをレンジにかけない、炭酸飲料を入れないなどありますが、大きな注意点としてはこの3点が大事。
★2じゃがいもと鮭の加熱について
通常、じゃがいもと鮭のスープを作ろうとすると、じゃがいもの加熱に時間がかかるため、15分ほど加熱する必要があります。でも、スープジャーの場合は鮭にさえ火が通ってしまえば、じゃがいもは半煮えで大丈夫です。火を入れる目的は、食材をしっかりと温めること。まずは、じゃがいもを加熱しましょう。
じゃがいもは皮をむき、半割にしてから食べやすい大きさに。あまり大きすぎると熱が入らないので、最初は気持ち小さめにして煮え加減をつかむとよい
水200mLを加えてふたをしっかりして煮る
鮭は、皮がついていたら皮を取ってしまいます。面倒な人は、そのままでもよいでしょう。刺身用のサーモンのブロックや、スキンレスの鮭だととてもラクです。
鮭の皮を下にして、包丁の刃で抑え、皮の方を引っ張るようにすると綺麗にはがれる。難しそうなら皮付きのままで問題なし!
皮をとったら、3つに切る
切った鮭をじゃがいもの鍋に加え再度ふたをして、さらに2分ほど加熱します。鮭の切り身の大きさによって、火が通る時間がまちまちだと思うので、大きめのときは少し長めに加熱してください。
鮭も加えて火を通す
2~3分加熱したら、そこに味噌を溶き入れ、しょうがのすりおろしも加えます。
味噌が溶けて再度煮立ったら、これでOK
まだこの時点で中まで煮えてはいませんが、スープジャーならこれでOK。
※もしスープジャーではなく、家で出来立てを食べるときは、最初にじゃがいもを煮る工程を長めにとり、じゃがいもがやわらかくなってから鮭を加えます。この場合は水がもう少し減ると思うので、多少水を足してください。
★3詰め方と保温のコツ
さきほど温めておいたジャーの湯を捨て、そこにまず具材を詰めていきます。具だくさんのスープなので、直接鍋から注ぐより、箸で多少出して入れていく方が失敗しにくいと思います。
まず具材を移してから…
だしを注ぐときれいに入る
野菜の大きさによって、少しはみ出してしまうこともあります。スープジャーが小さく、容量には限りがあります。多少の誤差は出てしまいますが、経験で少しずつぴったりの量を出せるようになると思います。
ここにバターをひとかけら落とし、すぐにふたを閉めます。放っておくとどんどん冷めてしまいますので注意です。
汁を入れたら内ぶたをする
中身を入れすぎていると、内ぶたからスープが出てしまうことがありますが、その場合は内ぶたをはずして捨ててしまいましょう。(そのまま傾けると中身がこぼれます!)
しっかり外ぶたをして完成!
持ち歩いて3~4時間たってから、ふたをあけると…
角はあるが、熱が通って食べられるように!
スープジャーの保温性を高めるためには、むきだしよりも、タオルなどでくるんでおくと効果的。専用のポーチが売られていて、保温性をより高めてくれて、おすすめです。通常の食品保存と違い、寒い部屋よりあたたかい場所に置いておくのがよいのです。
スープジャーの特性をつかんで快適に
スープジャーは保温調理で熱対流は起こらないため、じゃがいもなどの角が煮崩れることはありません。でも、中まで柔らかくなっているはずです。
ジャー調理は、とにかく冷まさないことが最大のポイントです。生の野菜を使ってそこに熱いだしを注いでもちゃんとできるのですが、より熱をキープし、作り方をシンプルにするために、鍋で煮立てるレシピにしています。
昼食に温かいスープが食べられるのはほっとするし、嬉しいものです。がんばって働いたり勉強している自分や家族を助けるつもりで、朝のスープ弁当作りをはじめてみませんか?
【アレンジ】さまざまなスープジャーレシピ
今回は基本のスープのアレンジではなく、他にもスープジャーで使える組み合わせをご紹介してみます。どれも小鍋で煮立て、味をつけてジャーに入れるだけ。
にんじんとサラダチキンのスープ
千切りにしたにんじん1/3本を油で2~3分炒め、手で割いたサラダチキン40gと水150mL、塩を加えて煮立て、最後に牛乳をほんの少し加えます。やさしい甘さのにんじんスープです。
焦がしねぎと鶏肉のスープ
寒い時期にぴったりのねぎと鶏肉スープ。ネギ類は、生っぽいまま入れると臭みが出てしまいますので、かならず火を通してから入れるのがコツ。これは斜めに切ったネギ2/3本としょうがひとかけらをごま油少々で少し焦げるまで焼き、切った鶏もも肉50gと一緒に煮立て、しょうゆで味をつけています。香ばしい香りがスープにうつり、おいしいですよ。
心とお腹をやさしく満たす、スープ弁当はじめませんか?
今回提案するのは、ジャーひとつでしっかり満足の「食べるスープ」。
具だくさんの60品を紹介します。
だしを使わず、食材のうまみを最大限引き出すレシピで、毎日の昼食をかんたんに豊かに変えていきます。