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JRの自動改札導入から1年 ICカードの利用も浸透

県内初導入から1年が過ぎた自動改札機=JR福井駅で

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 JR西日本管内の二府十六県で唯一、自動改札機がなかった県内で昨年九月、JR福井駅と敦賀駅に自動改札機が導入されて話題を呼んだ。同月にはJR北陸線の各駅でICカード乗車券の利用もスタート。一年がたち、通勤通学客のICカード利用率は大幅に上がったようだ。

 福井と敦賀の両駅に自動改札機が導入されたのは昨年九月八日。同十五日には新疋田駅(敦賀市)から牛ノ谷駅(あわら市)までの北陸線県内十九駅でJR西日本のICカード乗車券「ICOCA(イコカ)」の利用が始まり、福井と敦賀以外の駅にはICカード読み取り専用の機器が設置された。イコカ以外の全国九種のカードも使用可能になった。

 JR西日本はICカードの利用状況を公開していない。そこで今回は平日の午前八時台と同十一時台に福井駅の改札口を出る人をそれぞれ百人、切符かICカードのどちらを利用しているか調べた。

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 午前八時台の調査では、百人中三十一人が切符を、六十九人がICカードを利用。普通列車を利用する通勤通学客は、多くがIC定期券に移行したようだ。鯖江駅から福井駅に通う啓新高校一年の藤井悠登さん(16)は入学と共にイコカの定期券にしたといい「毎回定期券を見せなくてもよいので便利です」と話す。

 一方、昼になると普通列車の客層が高齢者や子どもを連れた母親などに変わり、特急で観光客やビジネス客が到着するようになる。午前十一時台に調べると百人のうち切符利用が八十九人、ICカード利用が十一人で、朝の時間帯とは大きく異なった。

 芦原温泉から福井まで乗車した八十代女性は「もうこれ以上カードを増やしたくないし、持っていてもなくしそう」と話していた。切符の利用者も引き続き多そうだ。

◇新幹線開業後は

 JR西日本が導入したICカードだが、北陸線の県内区間のうち、牛ノ谷-敦賀間は三年半後の二〇二三年春の北陸新幹線敦賀開業と共に、JRから経営分離される。県は機器やシステム一式についてJRから受け継ぐ予定だ。

 他県では、石川県のIRいしかわ鉄道と、富山県のあいの風とやま鉄道が、やはりイコカを導入。金沢駅から富山駅までなど、両県の旧北陸線区間で鉄道会社を越えて利用できるようになっている。県地域鉄道課の担当者は「料金体系やいしかわ鉄道との乗り継ぎ割引について決めた後、イコカの連携運用についても協議したい」と前向きな姿勢だ。

◇私鉄やバスは

 JR以外の私鉄やバス会社はICカード乗車券の導入には慎重だ。京福バスは関東などからの旅行客から「ICカードは使えないのか」と問い合わせが多いというが、担当者は「やはり導入コストがネックだ。他の交通機関と連携し、国の助成などで導入しないと難しい」と明かす。

 えちぜん鉄道、福井鉄道はそれぞれスマートフォンによるキャッシュレス運賃支払いなどを検討している。岐阜県の長良川鉄道では七月に電子決済サービス「PayPay(ペイペイ)」で運賃を払えるサービスを導入しており、県内の各社も知恵を絞ることになりそうだ。

◆<取材後記> 私鉄への拡大期待

 出張先の東京や大阪ではスマホ内蔵のIC乗車券で電車に乗る私だが、福井では特急や私鉄の利用が多かったため実は未体験。私鉄などでもキャッシュレスの運賃支払い方法が広がれば、北陸新幹線敦賀開業後の外国人観光客も移動しやすいだろう。

 人口の割に鉄道が多いことなどから「鉄道王国」とも呼ばれる福井で、便利な方式が広がってほしい。

 (今井智文)

 

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