脱クルマで地方は豊かになる!

地方の車社会、公共交通、自転車活用をはじめとする交通論・都市計画論、その他いろいろ

高知の公共交通を立て直すべくNPO法人を立ち上げます!!

 

高知県内全体で「運輸連合」を結成して本当の意味で利用者本位の公共交通へ変革を成し遂げたい

 

今年2019年は、尾崎知事退任に伴い高知県知事が12年ぶりに交代します。高知市長も現職以外にも多数出馬を表明しており交代する可能性は十分考えられます。

 

この絶好(?)の機会に、高知の公共交通を立て直していくべく、団体(NPO法人を予定。名称は「土佐の国創生会議」としたいです。)を立ち上げる準備を始めて行きます!

 

具体的にどのように立て直すかと言いますと、日本初の「運輸連合」を結成して、高知県内の鉄道、路面電車、路線バス、離島航路等を統一された運行体系、運賃体系で利用できるように変革を起こすべく活動していく予定です。

 

運輸連合とは何かは、説明すると長くなるので割愛します。以下のページ等を参照してください。

 

www.t-lrt.com

 

要するに、利用者は各路線の事業者がどこであるか全く気にする必要がなくなるわけです。異なる事業者やモードごとに運賃体系がバラバラで乗り換える(途中下車する)と極めて高くつく現状と比べたら革命的なことですぜ。

 

高知の公共交通を立て直す活動をはじめる理念

 

さてさて、 高知の公共交通を再生していく理念は何なのかということを説明していきます。端的に以下の四つです。

 

・地方在住者の暮らしの改善(モビリティの確保、生活コスト低減、交通事故リスク低減等)

・地方公共交通の持続可能な運営

・高齢ドライバー対策

・地方の持続的な発展(産業振興、観光振興、若者の定着、移住促進等)

 

まず最初に「地方在住者の暮らしの改善」

 

言い換えると「地方でもマイカーやバイクを持たなくても快適に移動できる社会にしたい」ということです。通勤通学、通院、買い物、休日の外出、文化へのアクセスなど日常の様々な場面で公共交通が当たり前に使えるようにし、マイカーやバイクを所有しない選択肢を地方でも常識にしていきたいと考えています。

 

その結果、生活コストが下がり実質の可処分所得は上がります。交通事故のリスクも低下し日々の生活がより安全安心になります。

 

二番目に「地方公共交通の持続可能な運営」

 

現在、高知県内の公共交通は様々な問題に直面しています。路線バスの深刻な乗務員不足、その原因の一つである待遇の劣悪さ、本数や運賃をはじめとした基本的な使い勝手の悪さ、減少を続ける利用者数、せっかく走らせてもあまり利用されない市町村営バス、老朽車両の更新もままならない路面電車、赤字が続き世間に限界を訴えているJR四国など。

 

diamond.jp

 

いずれも、これまでの公共交通における民営事業、独立採算の原則が行き詰っている現象だと考えられます。早急にその延長線上のシステムを見直し「公共インフラ」「社会保障制度」として、地域社会全体で支え持続可能な運営が可能な仕組みへ変革して行くことが求められます。

 

三番目は「高齢ドライバー対策」

 

これに関しては、まったなしの状況です。大都市よりも高齢化が進んでいる高知県だからこそ急いで対策する必要があります。私も今年2月、バイク運転中に高齢ドライバーが絡む事故を起こしてしまいました。

 

「高齢者にはなるべく公共交通に乗ってもらって高齢ドライバー自体を減らす」「現役世代も公共交通を利用してそのリスクを回避する手段を確保する」という二つの側面からも、公共交通をより使いやすいものにしていく必要があります。

 

四番目は「地方の持続的な発展」

 

ここは簡単に説明します。

 

「若者のクルマ離れ」と言われて久しく、今の若者はクルマに幻想を持ってはいません。それどころか、大都市への若者が流出する一因に「交通の便利」があげられているほどです。クルマに依存しなければならい構造を放置し続けるのはこの点からも大問題です。若者の定着を図るためにも、公共交通の利便性向上は重要事項です。

 

 

移住促進においても、山間部等(※)はいざしらず、高知市都市圏については「公共交通が充実しているのでマイカーなしでも全然大丈夫です!」と胸を張って言えるレベルに到達するのが望ましいです。

 

(※)山間部等依然としてマイカーが必要になる地域向けに、軽自動車よりもイニシャルコスト、ランニングコストともに安い「特定地域自動車」というカテゴリーを作るの望ましいと考えています。

 

 「1日ごとの初乗り料金+距離比例式料金」の新運賃システム案

 

運輸連合が結成される最大のメリットは、なんと言っても運賃体系が地域内で統一されることです。乗り換えても、初乗り料金が嵩むということがなくなるため、気軽に利用できるようになります。

 

そもそも、旧来より続いてきた事業者ごとの運賃体系、区間固定式の定期券、ダイヤ設定、情報案内等は前時代的なものであり、移動ニーズが多様化した現代では使い勝手が悪いものになっています。結果として公共交通離れ、クルマ依存を引き起こしています。

 

移動距離が短くても、異なる事業者に乗り換えれば運賃が高くなるのは、住民の視点からしたらかなり不条理なことですし、定期券も「決まった区間を多く乗る人のみ割引する」という制度で、チェーン店などで勤務場所が変わることがある場合や、自営業者であちこち移動する場合などには対応していません。

 

そこで、より現代のニーズに合った運賃システムとして、ICカードの技術を活かして「1日ごとの初乗り料金+距離比例式料金」に移行することを提案します。乗り換えても、途中下車して用事を済ませてまた乗っても、純粋に移動距離に比例した運賃となります。ICカードだからこそ出来るシステムです。

 

なぜ、この運賃システムを推しているかと言いますと、この仕組みが最もシンプルかつ公平だからです。「ゾーン制」は、利用者がゾーンを覚える必要があり、ゾーン内外で不公平が生じてしまい、「ですか」で導入されている「乗り継ぎポイント割引制」も同様に、利用者がそのポイントを覚える必要があり、ポイント以外での乗り継ぎや途中下車には対応していない課題があります。

 

では、有名なドイツのフライブルク市都市圏で導入されている「レギオカルテ」はどうか?「環境定期券」とも呼ばれるエリア定額のパスで、かなりの広範囲を安価に利用できるという素晴らしく魅力的なものですが、残念ながら運行経費に対して運賃収入の割合が低くなるため(独立採算的に言うと大赤字!)、その部分をカバーする財源がない現在では導入困難です。

 

最終的には、「公共サービス」「社会保障制度」としての公共交通を実現することを目標にしていますが、当初は運行経費の8~9割を運賃収入で確保できる体制とするのが望ましいかと思われます。どれだけの運賃収入の確保を考えているかは後ほど説明します。

 

ようやく本題に入ります。

 

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距離比例式運賃ですが、上の表のように県民の基本運賃を「1km=10円(税込)」と設定し、学生等はさらに安価に設定しています。土休日は、マイカー利用からの転換を促すため、若干割り引いています。

 

現在の高額な運賃水準からすれば、安すぎるように感じますが、JRの通勤定期はそれよりも安価な場合が多いです。例えば、JR四国の片道20kmの1ヶ月通勤定期は10,730円ですが、25日往復使用とすると1日1kmあたり10.73円となります。また大手私鉄では、普通運賃がそれより安価な場合もあります。

 

「マイカー利用から転換を促す」「通勤手当のないパート従業員でも通勤で利用できる」「学生さんがマイカーや原付バイクを買わずに済む」など、庶民の足として最大限活用されるには、この程度の運賃が妥当と考えられます。

 

大きな特徴は、県民と観光客等(※)で運賃を変えていることです。また、家族での利用促進(=休日のマイカー利用削減・土休日を若干安く設定しているのはそのためです)、子育て支援の観点から同伴の子供については無料とし、定期券という古い仕組みは廃止とします。多く利用された方には、利用額に応じたポイント還元も考えています。

 

(※)ICカードは、SUICAPASMO等と相互利用できるものに改修するのが前提です。

 

この運賃システムが導入されれば、具体的には以下のように変わります。

 

<現行運賃からの変化例(変化後の運賃は距離比例部分のみ記載)>

 

高知~奈半利(53.1km):1330円→531円
高知~中村(115.1km):2550円→1151円
土佐山田~高知~はりまや橋(16.1km):560円(360円+200円)→161円
馬路村役場前~安芸市役所前(約30.5km):1250円→約305円
堺町~土佐市役所前(約15.2km):870円→約152円

 

現行とは比べ物にならないほど、使いやすくなりますね。本当に気軽に公共交通に乗れるようになります。

 

高知市だけでなく安芸市須崎市などでも、市街地に住んでいればマイカーなしで生活可能になります。高知市などへ出かける時は、鉄道が気軽に利用できるようになりますからね。アフターファイブにひろめ市場へふらっと行くことも可能になります。馬路村など本数が少ない路線であっても、運賃が常識的な水準になるため安芸市へ行くときにマイカーでなくバスを利用するという選択肢も生まれます。

 

運賃面だけとっても、運輸連合の実現で県民の暮らしは劇的によくなるぜよ!!

 

運賃収入の目標は年間150億円以上!

 

「魅力的だけど、こんなに安くしたら運賃収入が大幅に減ってそれこそ運営困難になるのでは?」

 

そう思わる方かもいらしゃるかと思います。確かに、公共交通の利用者数が現在と変わらなければ、その通りです。

 

しかし、前述のように運賃面では安くなる上に乗り換えても実質通しになります。ダイヤも連係をとり、情報案内などもより分かりやすくします。現行よりも利便性は大きく向上します。また、通勤やイベントをはじめとして様々な場面においてマイカー利用からの転換を促していきます。

 

結果として、現行とは比べ物にならないほど、利用者が激増することは容易に考えれます。公共交通が使いやすくなることにより、マイカーや自転車利用からの転換だけでなく、高齢者が積極的に外出するようになる、観光客が増えるなどの新規需要も誘発されます。どれだけ増えるかは、今後調査していく必要があるでしょう。

 

現在、県内の公共交通全体を全部合わせても年間50億円程度しか稼げていないと推計できますが、新運賃システムが導入されれば、当初より年間100億円以上になるのではないかと考えています。距離比例式運賃の「1km=10円」で考えれば、70万人の県民1人あたり1日、たったの4km公共交通に乗れば、その目標は達成できます。1ヶ月では120kmです。毎日、片道20kmを通勤する人は、休日も含めて25日利用すれば月間1000kmとなり、1人で8人分以上の距離を達成しています。普段公共交通に乗らない人でも、月に1日、高知~中村を往復するだけで120kmを軽く超えてしまいます。

 

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上の表のように、初乗り料金分や観光客等も含めれば、年間130~170億円くらいまで増えても不思議ではありません。利用者が増えれば、駅や車内広告の需要も増え料金も高く設定できるため、広告収入の増加も期待できます。

 

導入当初は黒字運営が期待できる!

 

ここまで収入が伸びなくても、年間で100億円の収入があれば当初は結果的に黒字となるとが期待できます。現状では人手不足のため、利用者が増えたからと言って直ちに増発やバス路線の拡充は困難なため、人件費が大幅に増えるわけではないからです。ICカードシステムの改修、新規導入費用はここで確保できるでしょう。

 

当初は、行政にとっても大きな財政負担が必要ない(事前調査費くらい?)と考えられる点も魅力的です。現在の補助金分も赤字の穴埋めからより前向きな投資に活用できます。

 

しかしそれに胡坐をかくことなく、「公共サービス」「社会保障制度」の理念に則って、増発やバス路線の拡充などソフト面の充実、老朽車両の更新、鉄道の電化・複線化や空港アクセス鉄道新設、桟橋線の南北延伸などのインフラ投資も必要になってきます。そこで、財源の裏づけが必要になってきます。

 

さらに詳しくは次の記事にて

 

次の記事では、団体についてどのような形にするか、どのような段階を経ていくかについて述べていきます。