ルンバの半額!「中国IoT家電」急成長のワケ

シャオミが掃除・炊飯の常識を変える

スマホ世界4位の小米集団(シャオミ)は、IoT家電のプラットフォーマーを目指す(編集部撮影)

スマートフォンアプリで遠隔操作でき、米の品種やブランドごとに最適な加熱方法を自動で選択する炊飯器。アプリに表示されるマップ上でユーザーが指定した部分だけをきれいにするロボット掃除機――。

これらはすべて、中国の小米集団(シャオミ)が手がけるIoT家電だ。シャオミといえば、サムスンやファーウェイ、アップルに次ぐ世界シェア4位のスマートフォン事業を想起する人が多いかもしれない。だが、同社はすでにIoT家電のプラットフォーマーとして、中国市場だけでなく世界各国で、急速に頭角を現しつつある。

IoTとは、さまざまなデバイス(端末)をインターネットでつなぐこと。家電や産業ロボット、自動運転車など関連するジャンルは広範だ。アメリカの調査会社IDCの推計によると、2019年の世界IoT市場は前年比15.4%増の7450億ドル(約80兆円)に達するという。うち中国市場は1820億ドルで世界の4分の1を占め、アメリカに次ぐ2位の規模だ(日本は4位で654億ドル)。

創業から7年で年商1.5兆円を突破

シャオミが誕生したのは2010年4月。「廉価版iPhone」と呼ばれた格安スマホを武器に急成長を遂げ、創業から7年で売上高は1000億元(約1.5兆円)を突破。2018年7月に香港上場を果たした。今や世界80以上の国と地域で展開するグローバル企業だ。人口増加が続き、スマホ市場の拡大が期待されるインドではトップシェアを誇る。

ただ、アップル「iPhone」の苦戦に象徴されるように、スマホ市場の競争は激化の一途をたどる。シャオミはスマホ一本足からの脱却を目指し、2015年ごろからIoT家電事業に取り組んでいる。ベンチャー企業を中心に100社近いメーカーと手を結び、彼らが製造するテレビやエアコン、浄水器などをシャオミブランドで展開。IoT家電のプラットフォーマーとして、独自のエコシステムを築こうとしている。

2019年度上半期時点で、同社が手がけるIoTデバイス数は前年同期比69.5%増の1.9億台(スマホとノートPCを除く)に到達。関連売上高は全体の3割近くを占めるまでに育った。中でもIoTテレビのシェアは中国トップ(出荷台数ベース)だ。インドでもトップで、世界全体では5番手に位置する。

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  • かず8534b1b475c6
    表題に「ワケ」とあるが、「ワケ」の日本語の意味知っている?「一流メーカーと較べて半額以下」ということだけか?それだけなら中国メーカーでは良くあることだ。「ワケ」というからには、安く作れる理由(設計が良い、材料が安い)だとか、安く売れる理由(流通が簡素化、直販など)だとか、こういうところ(機能)が優れているとか、もう少し突っ込んだ記事を書かないとダメだよ。今のままだと単に広告をしているだけだ。
    コピー商品は、開発費が掛からないので、安く作れて当然だ。しかし、知財の問題があって、重要な機能をコピーできていない場合が多い。見た目が一緒で安さに釣られて買った人が、後で後悔しないように、もっと機能の細かな比較をして欲しいね。機能やデザインを省いて安くするのは誰でもできる。
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    2019/10/21 07:06
  • くりとっぽ0f35d8bc00e6
    > 掃除ロボットの価格は1499元(約2.2万円)。

    あれ、先日見たニュースと違うなと思ったら、やっぱり。
    これ、中国現地の価格ですよね。

    日本ではソフトバンク関連会社が先週発売したはずで、11日発表時の市場想定価格は7万4800円(税込)。
    ってことは、その会社が5万円も抜いている?昔の商社並みにエグい商売。

    ロボット掃除機って、なぜかルンバより安いのが出ないですね。

    > 稼働中にバッテリー残量が20%を下回ると自動で充電器まで戻る。

    あー、これ便利、逆にルンバができない(「充電してください」の音声のみ)のが疑問です。

    > 政府による補助金など全面的なバックアップの下、”国策事業”として

    これが、米中貿易交渉で最後まで折り合えない点の一つなんですよね。
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    2019/10/21 10:03
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