安倍晋三首相が２０日、阿部守一知事らと県庁で意見交換した際、台風１９号の影響でしなの鉄道（上田市）の上田（同）―田中駅（東御市）間が運休している問題について、ＪＲ北陸新幹線（長野経由）による代替輸送を「やります」と述べたことが分かった。意見交換は冒頭を除き非公開。関係者によると、首相は新幹線による代替輸送実現に強い姿勢を示したという。

　同区間は、１日に約４５００人が利用し、通勤や通学に大きな影響が出ている。特に県教委によると、約１４００人の高校生ら生徒が利用している。

　また、国土交通省鉄道局の水嶋智局長が同日、運休の原因となっている東御市の千曲川の護岸崩落現場を視察。水嶋局長は取材に、新幹線による代替輸送について「学生に負担がないように調整していきたい」と述べた。

　バスによる輸送は生徒数が多いだけに、車両と運転手の確保が課題になる。このため県は、ＪＲ東日本に新幹線による輸送を要請。ＪＲが検討しており、２１日に方針を示すとみられる。

　ただ、しなの鉄道の途中駅で乗降する生徒の需要は、軽井沢（北佐久郡軽井沢町）と佐久平（佐久市）、上田の３駅にしか止まらない新幹線だけでは補いきれない。県は「バス輸送も必要」としており、新幹線とバスの組み合わせで生徒を輸送することになるとみられる。

　しなの鉄道の春日良太社長は、バスによる代替輸送にかかる経費の支援や、災害復旧の補助要件の緩和などを求める要望書を水嶋局長に手渡した。

（10月21日）