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クラウドでも金融機関として守るべきところは守れますし、できないことはないと考えています――こう話したのは、2019年6月に開催された「AWS Summit Tokyo 2019」の「ソニー銀行におけるAmazon WorkSpacesの活用について ~評価から導入・展開プロジェクトのポイント~」に登壇した、ソニー銀行 システム管理部 部長の西林夏子氏だ。
ソニー銀行は、個人向け金融サービスに特化したインターネット専業銀行として、2001年に設立された。複数の外部機関調査でトップクラスの高い顧客満足度を獲得しており、1人当たり預金残高も非常に高いという。この功績の礎となったのは、同社の持つ技術力と組織体制だ。ビジネス環境の変化に合わせて、積極的に最先端のITを採り入れ、柔軟に組織や業務を最適化してきた。
同社のシステム部門は、何を目指し、クラウド移行に踏み切ったのか。移行後の効果には、どのようなことがあったのか。講演内容から、企業がVDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ基盤)システムをクラウドに移行する際に重視すべきポイントを探る。
ITシステムは、安くて良いものを素早く導入することが肝要だ。最近では、この基本方針をさらに推し進めるため、システムは“作る”から“使う”へ、“独自技術”から“オープン技術”へ、“密結合”から“疎結合”へと移り変わりつつある。すなわち、旧来のオンプレミスシステムからクラウドサービスへの移行である。
ソニー銀行でも、そうしたコンセプトでIT活用を推進しており、2011年ごろには(パブリック)クラウドに着目して検討を開始。2013年末、社内業務システムや銀行業務周辺系システムでAmazon Web Services(AWS)を活用する方針を固めて、段階的な導入を図ってきた。2018年には、会計やグループウェア、ファイルサーバ、開発機器など、社内システム、銀行周辺系システムのAWSへの移行を完了している。
「AWS以外にもSalesforceなどクラウドサービスを積極的に活用しています。将来的にも、新しい商品、新しいサービスの導入時などには、クラウド活用を検討したいと考えています。財務会計システムでもAWSを活用する予定で、東京リージョンの他、大阪リージョンもバックアップサイトとして活用して新しいシステムを稼働させようと計画しています」
ソニー銀行では、AWSの導入効果として、コスト削減とインフラの短期構築の実現を挙げる。オンプレミスと比べて、インフラコストは40~60%ほど削減でき、インフラの調達、構築の期間は半減したという。個別の案件や施策で急に新規サーバが必要になった場合でも柔軟に対応できる点も評価。「新しいシステムの検証も低コスト、スピーディーに対応できるため、積極的に検討できるようになりました」
システム部門の意識も変化し、新しいシステムについては、クラウドファーストで検討するようになったという。「クラウドでも金融機関として守るべきところは守れますし、できないことはないと考えています。『AWSのマネージドサービスはいつも注目して、資産を持たずに新しいことを実現しよう』という意識が根付きました。新しい技術へ前向きに取り組むようになっています」
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