前回は漫画打線編で、今回はラノベ打線編。
漫画に比べるとスタメンの入れ替わりが激しくないというか飽きたというか。
要するにそんな感じですよええ。(雑)
1 遊 いぬかみっ!(有沢まみず)
処女作を3/4刊行したところで筆が止まり、息抜きに書き始めたらこっちのが爆発的に売れちゃったもんで、めたんこ続刊してアニメ化までしたはちゃめちゃラブコメ。
当初は無能ないぬかみ使いである主人公がすげえポテンシャルのいぬかみを召喚したが、命令を聞かずわがまま三昧的な話だったはずなのに、気づいたらいぬかみの方が女にちやほやされる主人公にヤキモキしてたまに燃やす(物理的)話になっていた。
たまに奇天烈な変態が出てくるものの、尖った何かがないのにここまで人気が出たのは、ひとえに読後感の清々しさと、あとはやっぱ絵師の力かな。(台無し)
2 二 座敷童にできるコト(七飯宏隆)
超絶地味な主人公にヤンキー座敷童が憑いて日本神話バトルがレディゴー‼
ラノベにありがちな異能バトルもので、たぶん今の時代なら埋もれてた。
何がいいってバランスなんだよなあ。6巻で丁寧にまとまっている良作。
あと、やっぱり変な奴出てくるとそれだけでおもしろみってのは出てくるらしい。
3 左 ダブルブリッド(中村恵里加)
人と妖怪のハイブリッド幼女(?)が強引に妖怪を取り締まるおはなし。
電撃文庫黎明期の傑作といえば、個人的に「ブギーポップは笑わない」「キノの旅」、そしてこの「ダブルブリッド」を推したいところ。
人からも妖怪からも迫害されてるまっしろしろすけが、ガチムチ男と妖怪犯罪を取り締まりつつ、ただただボロボロになっていくという。
途中、絵師が亡くなったり、刊行に相当間が空いてテイストがガラッと変わったりするのですが、5巻までの切ない感じと6巻の絶望感はヤバい。
4 一 イリヤの空、UFOの夏(秋山瑞人)
俺ガイルが4番だと思った? 残念でしたァ!
UFOを追いかけた14歳童貞中学生が、謎の電波女に出会ったことで加速していく夏。
ラノベという小さな表現の世界で、これだけのものを表現できることに脱帽するわ。
1と2巻は本当に腹を抱えて笑うし、3巻からはちょい助長で意味わからないとこ多すぎるけれど、4巻の「ただの中学生が命がけで世界を救う」感がクッソ切なくて泣ける。
5 三 神様のメモ帳(杉井光)
不健康ニート幼女探偵と人脈だけはパネエ高校生の社会派事件簿。
アウトローな連中のあれやこれやを幼女が後味悪い感じに解決していくお話で、結構マネー的な勉強になったりならなかったりする。ならないか。
超常的な要素はないのですっと読めるし、まとまりがいい作品。
1巻だけだと仲のいいクラスメイト女子が自殺未遂で終わっちゃうから気を付けて!
6 中 ラスト・ビジョン(海羽超史郎)
この中で唯一の短編。知ってる人いるのかなあ……。
高校の夏、招待された避暑地で巻き込まれる事件と、蘇る何かの記憶。
場面と意識の移り変わり、主人公の存在など、難解なところが多いのですが、その実緻密に練られた構成にあっと驚かされるし、衝撃を受ける。
ウイノスナオという名前の意味を真に知った時がマジ衝撃です。
7 右 キーリ(壁井ユカコ)
ゾンビと幼女とラジオの荒野珍道中。なんか幼女ばっかな打線だな……。
無気力ゾンビと世間知らず幼女とよく喚くラジオという意味の分からないメンツが旅をする中で、自分のルーツとか変えてしまったものとか置き忘れてきたものとかと遭遇して、絆を深めるよくある話っちゃあそうね。
こういってはなんだけど、この女性作家さんの文体が私の文体に似ているなーと思って読み始めたら意外とおもしろかった、というのが始まりです。
8 補 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(入間人間)
五体不満足系嘘つき主人公と、狂気の殺人ヒロインによるラブコメ。
まごう事なき問題作。これで実写映画化したってんだから手に負えない。
幼少期の事件のせいで狂ったまーちゃんに、幼馴染のみーくんと誤解されているからこそ殺したいほど愛されてる主人公が、彼女の狂気を受け入れることでボロボロになりながらも、いろんな事件を解決していく。
基本みーくんの一人称なので激しい描写はないのですが、それだけに淡々と描かれる人間の狂気がめたんこエグい。
文字通り死ぬほど切ない。嘘だけど。
9 投 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(渡航)
そうさここでくるのさァ!
自意識高い系高二病主人公と、どこか残念な要素を持つ人物たちとの青春群像。
不思議要素が一切ないのにここまでドはまりできたのは、八幡という主人公の圧倒的ぼっちエピソード、奉仕部という完成された三人の空間、一癖も二癖もあるその他の登場人物たちとの相関、好き嫌いだけじゃ表現しきれない感情と理性、といったところでしょうか。
死ぬほどめんどくさい主人公なのに、驚くほどかっこいいアンチヒーローで、一度だけ見せた飾らない本音には泣けてくるという、もはや無敵。
次巻13と14でラストとのことですが、どういう終わりなのか待ちきれません。
ベンチ 灼眼のシャナ(高橋弥七郎) ※1巻のみ
風呂敷広げすぎて意味不明なバトルファンタジーになっちゃったやーつ。
1巻だけならほんと傑作。素直にめちゃめちゃおもしろかったのに。
2巻以降は、シャナ→悠二の感情の葛藤とか、わけわからんちんな二つ名持ちの敵がわんさか出てきてのバトルとか、ほんと収拾がつかなくて草。
あれ、これも幼女じゃん……。
とまあ、こんな具合でした。
ほぼ完結してるっていうね。ハハッ。