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2019-10-20

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・こどものころに「びっくりしたこと」は、
 その後、年齢が上になるにつれてびっくりしなくなるが、
 そんなことには関係なく、
 「こどものころにびっくりしたこと」として、
 記録しておくといいと思うんだ。
 だんだんびっくりしなくなると、
 「びっくりしたこと」を忘れちゃうからね。

 おばけが怖かったとか、プールのあとのかき氷だとか、
 見逃せなかったテレビ番組のことだとか、
 いかにもな思い出話的なことも忘れないでおきたいし、
 恋みたいなものを意識しはじめたころ、
 どういうまちがったことを想像していたかとか、
 どんなふうにうれしかったり怖かったりしたかとかを
 忘れないことは、なんか、いいことのように思えるんだ。

・いま、ラグビーをこれまで以上に真剣に観ているぼくは、
 もう、数ヶ月前のころみたいに
 スクラムハーフの田中史朗選手のことを、
 「たまご泥棒」なんて呼べなくなっている。
 だけど、あのころの「たまご泥棒」という見え方は、
 正解じゃないけどやっぱり新鮮なので、
 忘れちゃって消えちゃったらもったいなかった。

 人間って、なにかに上達したり、
 それをたやすくできるようになると、
 うまくできなかったときのことを忘れちゃうものだから、
 後から入ってくる人の気持ちがわからなくなるんだよね。
 それで、初心者をちょっと下に見たり、
 仲間に入れないように壁をつくったりするものなんだ。
 だから、「初心者とか新米とかが居心地のいい場所」を
 つくったらうまくいくんじゃないかと思ったんだ。
 それで、ラグビーの世界に、「ニワカ」のファンが
 堂々といられる環境をつくろうよ、と言ったんだよね。
 「NIWAKA DE GOMEN」のTシャツとかつくったのも、
 そういうつもりがあったんだ。
 で、今回は、それがいい感じでうまくいった気がする。
 「ニワカが増えていやだねぇ」とか聞こえてこないもの。
 生まれたとたんに詳しい人なんて、ひとりもいない。
 赤ん坊の産声は「ニワカです、よろしく」の挨拶だよね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
野球もおもしろいけど、ラグビーたまらないね、今夜も!


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