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 記録的な大雨をもたらした台風19号で、19日までに死亡が確認された計81人のうち、4分の1にあたる21人が車の中で被災したとみられることが、朝日新聞のまとめでわかった。車での移動中に川に流されるといったケースが目立った。浸水などにより住宅内で被災した人は27人に上り、避難や移動の判断の難しさが浮き彫りになった。

 台風19号の上陸から、19日で1週間がたった。台風に伴う河川の氾濫(はんらん)や土砂崩れなどにより、福島で30人、宮城で17人、神奈川で14人が死亡。この3県を含め、栃木や群馬、長野など計12都県で犠牲者が出た。

 相模原市緑区では12日夜、家族4人が乗ったとみられる車が川に転落し、いずれも死亡した。川沿いの道の一部が増水で崩れていたという。福島県郡山市でも、夜間に家族3人で帰宅中だったとみられる車が川の中で見つかったほか、南相馬市では13日未明、市職員の大内涼平さん(25)が車で帰宅中に冠水した道路にはまり、外に出たところを流されて亡くなった。台風19号は12日夜に上陸し、翌13日未明にかけて東北方面に進んでおり、夜間は普段以上に見通しが悪かったとみられる。

 このほか、少なくとも住宅内で27人、屋外で22人が被災していた。住宅内では浸水により、1階にいて被災したケースが多かった。

 12日夜までに広い範囲で避難勧告が出された福島県では、浸水などによって住宅の中で14人が死亡。このうち6人の自宅が平屋建てだったほか、アパートや市営住宅の1階に住んでいた人も4人いて、建物の上の階に避難する「垂直避難」が難しかった可能性がある。お年寄りで足が悪く、避難できなかった人もいるという。

 屋外での被災は、移動中や仕事中とみられる人が多かった。このほか福島県いわき市ではヘリでの救助中に女性(77)が落下して死亡。川崎市の沖合でパナマ船籍の貨物船が沈没し、7人が亡くなっている。

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台風19号による死者の被災場所

住宅内 27人 

車内  21人 

屋外  22人 

その他・不明 11人 

計  81人 

19日時点の本社集計。自治体や警察への取材から