政府は18日、日米貿易協定の経済効果の試算を自民党の会合に示した。国内の農林水産物の生産減少額は約600億~約1100億円と見積もる。牛肉や豚肉、乳製品で、米国産の輸入拡大が見込まれる影響が大きい。品目別にみると牛肉で最大474億円、豚肉で同217億円、乳製品で同246億円の減少を想定する。
米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱する前に日米両政府で決めていた関税撤廃・削減の内容と比べると、生産減少額は約100億円少ない。日本産の水産物などを関税削減・撤廃の対象から外したためだ。
政府・与党は国内農家の支援策を年内にとりまとめる。森山裕国会対策委員長は18日の自民党の会合で「補正予算でどう対応していくかが、一番しなければならないことだ」と強調した。
実質の国内総生産(GDP)は約0.8%押し上げられると試算した。2018年度のGDP水準で換算すると約4兆円に相当する。雇用創出効果は約28万人を見込む。
試算は米国が日本産の自動車に課している2.5%の関税を撤廃することを前提にした。政府は米国と継続協議のうえで撤廃すると説明しているが、米側は慎重だ。自動車の関税撤廃がなければ、経済の押し上げ効果は大きく下がる。
日本の関税引き下げによって、最終的に日本政府の関税収入は1030億円減少すると試算した。日本の輸出企業が米国政府に支払っている関税の支払額は2128億円減る。