今季限りで現役を引退する巨人・阿部慎之助捕手(40)の「快弾」で頂上決戦が幕を開けた。ソフトバンクとの日本シリーズ第1戦が19日、ヤフオクドームで行われ、「5番・指名打者」でスタメン出場の阿部は2回1死から千賀の初球152キロをとらえ、右中間席に運ぶ先制ソロを放った。長い歴史を誇る巨人でも史上初となる「40代日本シリーズ弾」だ。
最後の戦いに臨んだ男が、両チーム最初の得点をたたき出した。先制ソロの阿部は「先制点が取れてよかったです」。足早にダイヤモンドを一周し、短いコメントに気合をにじませた。
9月21日にチームが5年ぶりのリーグ優勝を決めた後、今季限りでの引退を表明。CSファイナルステージ前の練習中、チーム全員が背番号「10」になった。前面にマシソンが考案した「THE LAST RUN」、阿部直筆の「感謝」の文字が刻まれた特製Tシャツを選手も首脳陣もスタッフも着用。レジェンドの花道を飾ろうと、チームが一丸となった。
日本シリーズに到達し、敵地で前日練習を行った18日も同じだった。ただ「感謝」の文字が坂本勇直筆の「恩返し」に変わっていた。主将の座を受け継いだ後輩が「日本一になって、もう一度、阿部さんと一緒に銀座でパレードをする」との思いを込めた。「阿部さんのために」。チームの絆はますます強固になった。
試合になれば、立ち上がり好調の右腕に襲いかかる一発。打者としてはもちろんチームをまとめる役割も、阿部の存在感は絶大だ。