日本人がやってしまう英語の「ダサいあいさつ」

NBA渡邊雄太選手が、英語を習得できたわけ

「語学力は誰でも伸ばせる」という渡邊雄太選手(c)小林靖

「英語で考えて、英語で発信する」

これが上達のコツであり、そこを意識して、僕は普段から可能な限り英語で考えるように習慣を変えていったのです。

普段の生活では、チームメートという会話の相手がいたので、英語の学習環境は抜群によかったと言っていいでしょう。

チームメートとの会話で最初に覚えたのは、若いだけあってどうしてもスラング(俗語)が多くなりがちでした。実際にアメリカに来てみると、スラングは下品なものからウィットにとんだものまでさまざまな形式で使われており、驚くことがよくあります。

また、あいさつに使われるフレーズも実に独特で、最初はよく戸惑ったものです。

アメリカ生活が始まった直後、僕は中学校の英語の授業で習ったとおりのあいさつをしていました。先生たちに「How are you?」と聞かれれば、「I'm fine, thank you. And you?」と返していたのです。これが日本で習ったあいさつの基本でした。

ところが、バスケットボール部のチームメートとつき合うようになると、すぐにあいさつの仕方を“矯正”されてしまいます。

「雄太、いいか。あのあいさつだけは絶対にやめておけ」

なんといきなりの全否定。

彼らは、「How are you?」と聞かれたら、「Good. You?」だけにしろと言うのです。

「こっちのほうがクールだろ。『I'm fine, thank you. And you?』はマジでダサいから、あれだけはやめろ。わかったな?」

こんなふうに、念を押されるほどでした。

アメリカの若者は長いあいさつなんてしない

そもそも若い人たちは「How are you?」なんていうあいさつはしません。「Hello.」とすら言わないのです。

彼らは皆、「What's up?」とか「What's good?」「How's it going?」などの短いフレーズを使ってフランクにあいさつをします。

そんなあいさつを一度も耳にしたことのない僕は、いったい何を言われているのかわからず、最初のころはきょとんとするばかりでした。当然、答え方もわからなかったので、チームメートたちのやり取りを見ながら少しずつ意味や答え方を覚えていったのです。

言葉について言うと、日常生活でまったく困らなくなるまでに2年くらいはかかったような気がします。

いまではインタビューなども英語で答えられるようになりましたが、フォーマルな場所で英語をしゃべらなくてはならないときは、いまだに緊張します。

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  • Sunflowerfbd387c10252
    かの挨拶がダサいというのはもう何十年も前からそうなのに、未だ日本の英語教育には変化がもたらされてないのか…。
    ビジネスの場面ですら使わない英語を習ってどうするのかと。
    up65
    down9
    2019/10/19 07:28
  • phj by PC0dff3981b61a
    語学教育の限界を考える必要がある

    たとえば、日本に来た外国人が日本語で「はじめまして、私は○○と申します」とか「では、さようなら」などの挨拶をすることがよくあります。
    これはその国の日本語教育でそれを「フォーマルな挨拶」として教えているから

    しかし実際には、日本人は殆どそんな挨拶はしないし、若者言葉ならもっと違う

    これは「どの言語でも起こりうる外国語教育の限界」

    また「じゃあ、常に最新のものにすべき」という点も特に英語についていえば危険

    なぜなら英語は少なくとも英米豪の公用語であり、それぞれ通用する「今風の挨拶」は全く違うから
     
    また英国は階級差があり言葉使いも違う、米国でも黒人が多い地域と白人が多い田舎なら話し方が違う

    結局「どこでも通用する、そしてダサいかもしれないが、間違いなく失礼にならない話し方」のほうがよほど重要である、ということを英語教師は教えるべきだと思う
    up60
    down6
    2019/10/19 09:30
  • AJRAbdebf3631e11
    相手に何を伝えるのか、それさえ間違わなければいい。
    コミュニケーションってそんなもの。
    ただ、礼儀あってのもの。
    up30
    down3
    2019/10/19 09:48
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