全国の小中高校などで2018年度に認知されたいじめは過去最多の54万3933件だったことが17日、文部科学省の問題行動・不登校調査で分かった。このうち命の危険や不登校につながった疑いのある「重大事態」は前年度を128件上回る602件で、いじめ防止対策推進法の施行で集計が始まった13年度以来最多。
いじめの認知件数は前年度比31.3%(12万9555件)増。増加幅は中学21.5%、高校19.7%に対し小学校が34.3%と特に大きく、10万8千件余り増えた。
同省は「学校がいじめの初期段階から対応するようになっている」と評価。17年度から、けんかやふざけ合いも状況次第でいじめとするよう求めていることの影響もあるとみる。重大事態の増加に関しては「早めの認知に加え、学校が被害の申し立てを積極的に受け入れる傾向が強まった可能性もある」としている。
内容別(複数回答)では、からかいや悪口などが62.7%で最多。インターネットやSNS(交流サイト)によるひぼう・中傷などは3.0%だったが高校に限ると19.1%を占める。こうした「ネットいじめ」の件数は全体で3割増えた。
重大事態は小学校188件、中学校288件、高校122件、特別支援学校4件。7割で被害者が不登校になった。自殺した児童生徒でいじめの問題があったのは9人。
調査対象の学校の18.2%で認知件数がゼロだった。都道府県別に見た1千人当たりのいじめ認知件数は宮崎の101.3件から佐賀の9.7件まで10倍強の差がある。
宮崎県教育委員会は子どもへのアンケートや教員研修を通じて把握に努め、認知件数が少ない学校には再検証も求める。こうした活動が不十分な自治体がありそうだ。
小中高校で起きた暴力行為は15.2%増の7万2940件で過去最多。ほぼ半数を占める小学校の増加幅が29.0%と大きく、中学の2.2%、高校の12.3%を上回る。文科省は軽い事案の積極計上などが要因で、「荒れが深刻化しているわけではない」とみる。
学校から報告のあった児童生徒の自殺は332人で、前年度の250人から大幅増。警察庁の調べでは390人で、学校が把握していない自殺事例が依然ある。
不登校(30日以上欠席)の小中学生は14.2%増の16万4528人で、6年連続で増加。小学生全体の0.7%、中学生の3.7%を占める。小中学生1千人当たりでは16.9人で、1998年度以降最多。高校生の不登校は6.2%増の5万2723人で、4年ぶりに5万人台となった。