音楽評論家・富澤一誠氏「ニュータイプに見えるが、実は“本流”」
吉田拓郎は「自分たちの手で作品を送り出したい」とし、ミュージシャンによるレコード会社フォーライフ・レコード(現・フォーライフミュージックエンタテイメント)を設立した。米津玄師はメジャーレーベルに所属してはいるものの、自らのレーベルREISSUE RECORDSの中で制約や束縛に流されることなく創作に励んでいる。そこには「自分がやりたい音楽をやる」という信念が存在している。
マスとコア、それぞれに訴えかけてこそのカリスマ
多くの人が吉田拓郎を「J-POPの原点」だと評す。それまでの“慣例”に抗い、独自のスタイルをしっかりと保持し、新しい音楽を築き上げ、そこから次世代のカルチャーを生み出していった功績は、日本の音楽界を振り返れば明らかである。
「J-POPを作りたい」と言った米津玄師は、もはや一つのジャンルで説明できるアーティストではなくなりつつある。吉田拓郎が、フォーク云々ではなく「吉田拓郎」という名称ですべてを表現できたように、米津玄師もまた「米津玄師」という唯一無二の音楽表現の使者としての道を突き進んでいくことだろう。
(文:田井裕規)
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