政府は、欧米で普及が進む電動キックボードの規制緩和の検討に着手する。国内では電動キックボードの運転には原付き免許が必要だが、ベンチャー各社による大学構内での乗車実験を規制の例外と位置づけることで、自転車のように免許なしで運転することを認める。政府や関連企業は電動キックボードを自動車に代わる新たな移動手段として期待しており、所管省庁は実験結果を元に、自転車と同じ扱いでの走行を可能にできるかなど規制緩和の方向性を探る。(大坪玲央)
電動キックボードは、時速20キロ程度で走行できる乗り物。日本では公園内での実験走行などが行われているものの、運転に免許が必要なため普及は進んでいない。ただ、経済産業省は高齢者の安全な移動や過疎地での移動手段確保のための選択肢と位置づけており、自動車の代替としての期待も高まっている。
規制の例外として扱われる見通しとなったのは、電動キックボードのシェアサービスを提供しているベンチャー企業数社による、横浜市と福岡市などの大学構内での走行実験。電動キックボードを自転車同様に免許なしで運転することを認める。革新的な事業を育てるための実証実験を後押しするために創設された「規制のサンドボックス制度」の対象とする。
大学構内は自動車や歩行者も通る一般の公道と近い環境で、将来的に公道での免許なしでの運転を認めた場合の問題点や課題を探ることが可能。3カ月程度の実験で得られた結果や各国の規制状況などを踏まえ、警察庁などが規制見直しを検討する。規制の廃止や緩和のために、道路交通法や道路運送車両法の改正など必要な法制上の措置を講ずることもありえる。
関係者は「歩道の走行を禁止して路側帯を走行するようにするなど、自転車と同じ法律上の区分にしてもらいたい。最高速度を抑えることなどが必要となるだろう」と話す。しかし、危険な走行をした利用者に罰則を科すために「新しい免許制度が必要」との指摘もあり、規制緩和が順調に進むかは未知数といえそうだ。
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