児童生徒による暴力行為、いじめ、不登校が県内で過去最多を更新した。異変にいち早く気付き、ケアができる態勢を築きたい。
県教育委員会が公表した2018年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、国公私立の小中高校で発生した暴力行為は2069件、いじめの認知件数は1万2799件、不登校児童生徒数は4449人に上った。
千人当たりのいじめ認知件数は60・9件で全国(40・9件)を上回る。「早期発見、早期対応に努めた結果」(平敷昭人県教育長)と言うが、1万3千件近いいじめが確認されている現実を深刻に受け止めなければならない。
問題行動は、潜在化したまま放置されると、エスカレートしがちだ。保護者や教師ら周りの大人が、子どもの発するシグナルを見逃さず、芽のうちに摘み取ることが大切になってくる。
学校現場では、暴力やいじめが絶対に許されない行為であることを粘り強く指導する必要がある。予防に力を入れるのは言うまでもない。
いじめが起きてしまったときに最優先すべきなのは、被害者の救済と心のケアだ。表面化するまでに時間がたっているケースが多い。受けたダメージは計り知れない。
暴力によるいじめ、言葉によるいじめ、集団で無視するいじめなどがある。加害者は相手が感じている苦痛に思いが及ばない。
遊んでいるように見えて、実はいじめが行われていることもある。教師には、それを見抜く力量が求められる。
いじめが悪いことだと自覚しないうちに成長した加害者は、大人になってもいじめを続ける傾向があるといわれる。犯罪に突き進む事例もある。早期指導の大切さは、いくら強調してもし過ぎることがない。
問題行動に対処するには外部の専門家との連携が不可欠だ。担任教師や学校だけで抱え込んではいけない。
こう見てくると、学校での対応が極めて重要だが、肝心の教師が業務過多で疲弊している現状がある。部活動の指導などで帰宅が遅れ、土日も自由に時間を使えない人が少なくない。
学校への依頼心が強かったり、理不尽な要求をしたりする保護者の存在も指摘されている。教員にのしかかるストレスは並大抵ではない。問題行動への対策を強化したいのなら、学校現場の働き方改革が大前提となる。
業務を一つ一つ見直し、負担を軽くしなければならない。学級の少人数化も促進したい。教師にゆとりが生まれれば、きめ細かな指導が可能になり、暴力やいじめの抑止につながるはずだ。
とはいえ、いじめなどの課題解決を学校だけに任せきりにしてはならない。家庭、地域を含め、総合的に取り組むことが欠かせない。