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【社会】

教員の労働、年間で調整 「残業月45時間内」は指針に

 政府は十八日、公立小中高校などの教職員の勤務時間を年単位で調整する「変形労働時間制」を、自治体の判断で導入できるようにする「教職員給与特別措置法」(給特法)改正案を閣議決定した。過労死ライン超えの長時間労働が常態化している教員の働き方改革の一環だが、現場からは実効性に疑問の声も上がる。

 変形労働時間制では、卒業・入学式や運動会シーズンなど忙しい期間はあらかじめ教員の勤務時間を長く設定し、通常より多く働いた時間分を児童生徒が夏休みの八月などに休日として付け替えることができる。

 文部科学省は一月、時間外労働の上限目標を月四十五時間、年三百六十時間以内とするガイドラインを策定。これを「指針」に格上げし、法的拘束力を持たせることも法案に盛り込んだ。変形労働時間制を採用する場合は、この上限を超えないことを条件にする。また、介護や子育て中の人などは対象から外す。

 文科省が二〇一六年十、十一月に実施した勤務実態調査では、小学校教員の33・5%、中学校教員は57・7%が過労死ラインといわれる月八十時間以上の残業をしていた。長時間労働が常態化した背景には、給与の4%を一律に上乗せ支給する代わりに、勤務時間外や休日に何時間働いても残業代が出ない給特法があると指摘される。三年後をめどに労働時間の調査などを行い、見直しも検討する。

 文科省は二一年四月の開始を目指すが、現状の長すぎる労働時間の削減が前提とし、部活動の外部指導員や、書類作成などを手伝う「スクール・サポート・スタッフ」の導入、教職員定数の増加などを進めるとする。残業を減らし、まとまった休みが取れる環境を整備して仕事の魅力を高めたいとしている。

 

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