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【社会】

「公益性の観点から不適当」で助成拒否が可能に あいトリ補助金不交付決定の翌日、要綱改正

 文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(東京)が、芸術や文化を振興する活動への助成金の交付要綱を改正し、「公益性の観点から不適当と認められる場合」に、助成金交付の内定や決定を取り消すことができるとする内容を新たに付け加えたことが分かった。

 改正は九月二十七日付。文化庁が「運営上の懸念を申告しなかった」として、愛知県で開催されていた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への補助金の不交付を決定した翌日だった。

 振興会基金部の担当者は「トリエンナーレとは全く違う話だ」と説明し、文化庁の決定に追随した要綱改正との見方を否定した。

 振興会によると、本年度の助成が内定していた映画「宮本から君へ」に、麻薬取締法違反の罪で執行猶予付き有罪判決を受けたミュージシャンで俳優のピエール瀧・元被告が出演していたことが改正の背景。助成により「国が薬物を容認するようなメッセージを発することになる恐れがある」として、六月の判決を待って有識者に諮り、七月上旬に不交付を決定した。

 同様の事案に対応するため九月二十七日、芸術文化振興基金運営委員会を開いて要綱を改正したという。担当者は、運営委員会の開催日は夏ごろから決まっていたと説明している。

 名古屋大大学院の日比嘉高准教授(日本文学・文化論)は改正内容について「公益性の意味が曖昧なままでは、好き勝手に運用できてしまう。何が不適当なのか明確にしなければならない」と指摘している。

 

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