プロ野球の巨人とソフトバンクが激突する日本シリーズが、19日にヤフオクドームで開幕する。前身を含めた両チームの頂上決戦は「ON対決」で注目を集めた2000年以来、19年ぶり。18日の監督会議では予告先発の採用が決まり、ソフトバンクは千賀滉大投手(26)、巨人は山口俊投手(32)と発表された。今季限りでの引退を表明している巨人の阿部慎之助捕手(40)は有終の美を飾るべく、初戦から先発出場する。
敵地に乗り込んだG戦士は、全員「背番号10」のTシャツ姿だった。胸には「恩返し」の文字。その言葉を書いた主将の坂本勇は「阿部さんと一緒にプレーするのは、このシリーズが最後。いい形で辞められるように、と皆が思っている。皆で力を合わせて日本一になりたい」と力を込めた。苦楽を共にしてきた大先輩の花道を飾るべく、チーム一丸となって戦う決意の表れだ。原監督も「慎之助はスターティングメンバーで行く」と明言した。
長年、主砲&正捕手として巨人を引っ張ってきた阿部が、9月25日に今季限りでの現役引退を発表。チームに激震が走ったが、逆にポストシーズンを戦い抜くモチベーションにもなっている。
阿部自身は6度目の日本シリーズで、戦い方は分かっている。
「監督も『短期決戦は短いようで長い』と言っていた。それを肝に銘じて、1つ2つ負けても落ち込まず、日々新しい気持ちで戦う。ここまで来たらお互いガチンコだから、やってきたこと以上のものを出すのは難しい。普段通りやるのが大事」
かつての常勝チームが、ここ5年間は日本シリーズから遠ざかっていた。それは、故障などで阿部の出場機会が減り、マスクをかぶらなくなった時期と重なる。8度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献してきた阿部が、後輩に実地で経験を伝える最後の機会。「長くてもあと7試合。全員で悔いが残らないように。最後は勝つと思ってやる」と気勢を上げた。