地形でわかる、二子玉川駅付近が浸水した理由

橋脚が川の流れに影響を与える可能性もある

橋上の二子玉川駅と多摩川橋梁。台風通過の翌日午前。多摩川の水はだいぶ引いていた(2019年10月13日、筆者撮影)

なぜ多摩川は鉄道橋梁付近ばかりが氾濫するのだろうか。東急二子玉川駅付近の氾濫や武蔵小杉駅付近の浸水が盛んに報道されるのを見ていて、こう感じたのは筆者だけではあるまい。

二子玉川駅は、多摩川の上にホームのある橋上駅である。氾濫地点の真上近くに東急田園都市線の多摩川橋梁が架かる。JR武蔵小杉駅も北東数百メートルの所に横須賀線・東海道新幹線の多摩川橋梁がある。

45年前にも堤防が決壊

思い起こせば1974年、小田急線多摩川橋梁(和泉多摩川―登戸間)の数百メートル下流地点で堤防が決壊し、民家19戸が流失した。ここも鉄道橋梁の近くだったわけだ。激流によって川に面した民家がバリバリと音を立てて崩れ流されていく姿がテレビカメラに捉えられ、当時大きな注目を集めた。

このシーンをモチーフとし、家庭の崩壊と家の流失をダブらせて物語る山田太一脚本、八千草薫主演のテレビドラマ『岸辺のアルバム』が放映され、その点でも広く知られた出来事だった。

近年の多摩川氾濫・浸水地点がいずれも鉄道橋付近で起きたのは、単なる偶然なのか、それとも何か理由があるのか。

以下推察レベルにとどまるものもあり、多摩川の例ではないものもあるが、鉄道橋梁が氾濫の原因になりかねない確かな事例もある。推察と事実を分けながら検討してみたい。

まず二子玉川駅付近の地形を見てみよう。多摩川は今でこそ堤防に囲まれた地を流れているが、数百年から数千年前は氾濫を繰り返し川筋は一定ではなかった。現在多摩川沿いの平地は大昔の氾濫原である。

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  • 流されないロスジェネa12a7d05d99c
    昔と違い現代ではハザードマップが存在するのだから、住む場所は慎重に選ぶべき。
    毎日便利でも、たった1度の水害で命や財産を失いかねないのだから。
    up39
    down3
    2019/10/18 07:28
  • 如月五月ブログ/更新6407c324596e
    そもそも、

    不動産を購入するにあたって最優先すべきは、
    「駅からの距離」や「専有面積」などではなく、
    「地盤」と「ハザードマップ」だ。

    建物の利便性がいくらよくても、被災してしまえば
    資産価値は著しく提供かするのは明らか。

    記事では、国土地理院の「地理院地図」を紹介して
    いるが、正確にはそのなかの「土地条件図」を参照
    すべきだろう。

    「台地」「低地」などに分類され、例えば「凹地・浅い谷」
    については、「豪雨時に地表水が集中しやすい」といった
    解説も書かれている。

    ハザードマップは最近では東京の江戸川区が有名になったが、
    大抵の自治体ではWebで公開もしくは、資料で無料配布して
    いる。

    どちらも無料で入手できるのだから利用しない手はない。
    少なくとも不動産屋の「大丈夫です。心配ありません」より
    は、よっぽど信頼がおける。

    自分の不動産の資産価値は自分の目で確かめるべきだ。

    up17
    down10
    2019/10/18 08:30
  • 山田a23adde8b925
    推測だけど、あそこで氾濫させないと下流の方の田園調布とか尾山台とかの南斜面に住んでる上級国民の皆様と、さらに下流の上級じゃないけれど日本経済のボトムを支える大田区の優秀な町工場が被害を受けると、国土交通省の偉い人のクビが飛ぶから、反対運動のせいにしてあえて上流の堤防の工事を遅らせてたんじゃないですかw 要するに二子多摩川とか狛江は神田川の氾濫を防ぐ、環七の下のトンネルみたいな位置づけになってるんじゃないかってこと。
    up2
    down0
    2019/10/18 09:42
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