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原子炉の種類

原子炉の種類

原子炉は,燃料,減速材,冷却材により,いろいろな形に分かれます。

世界で最も多く採用され,日本でも主に使われている形式が「軽水炉」です。
軽水炉の特徴は,減速材や冷却水に軽水(普通の水)を使用することです。

  • 減速材…原子炉内で,核分裂で発生した高速の中性子のスピードを落とし,次の核分裂を起こしやすい状態にします。
  • 冷却材…原子炉内で,核分裂によって発生した熱を取り出す役目をします。
沸騰水型軽水炉(BWR)

原子炉の中の水を沸騰させて蒸気をつくり,その蒸気で直接タービンを回す方式です。

・中国電力島根原子力発電所2号機に導入されているほか,東北電力,東京電力,中部電力,北陸電力,日本原子力発電で採用されています。

改良沸騰水型軽水炉(ABWR)

BWR(沸騰水型軽水炉)に,以下の改良が加えられています。

  • 原子炉内の水を循環させる大口径の配管をなくすことにより,安全性を向上(原子炉内蔵型再循環ポンプ)
  • 緊急停止時の制御棒の駆動を水圧で行い,電動機でバックアップすることで,信頼性,安全性を向上(改良型制御棒駆動機構)
  • 原子炉格納容器を原子炉建物と一体化することで重心を下げ,耐震性をさらに向上(鉄筋コンクリート製原子炉格納容器)

・東京電力,中部電力,北陸電力で採用されているほか,中国電力島根原子力発電所3号機,上関原子力発電所1,2号機(山口),電源開発で導入が予定されています。

加圧水型軽水炉(PWR)

原子炉の中でつくられた高温高圧の水を蒸気発生器に送って原子炉内の水とは別の水を蒸気に変え,その蒸気でタービンを回す方法です。

・北海道電力,関西電力,四国電力,九州電力,日本原子力発電で採用されています。

その他の原子炉

重水炉

減速材に重水を使用する原子炉です。
重水は,重水素と酸素を化合したもので,軽水より中性子を吸収しにくいため燃料効率がよくなるという特性があります。
重水炉は研究用原子炉,カナダ型の原子力発電所などで使われています。

黒鉛炉

減速材として中性子を吸収しにくい黒鉛を使用する原子炉。
イギリスが開発した世界初の商業用原子炉は「黒鉛減速炭酸ガス冷却型(GCR)」です。国内では,1966年から1998年まで営業運転した日本原子力発電の東海発電所がこの形式でした。

  • 事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所は「黒鉛減速軽水冷却沸騰水型」という旧ソ連だけで作られていた原子炉です。この原子炉には,安全設計上の大きな欠陥があったうえ,極めて特殊な条件による実験を行ったため,あのような大事故につながりました。また,放射性物質の放出を防ぐ原子炉格納容器がなかったことも被害を大きくした原因でした。
高速増殖炉(FBR)

ウラン燃料で発電する原子炉内で生まれるプルトニウムを主な燃料として,冷却材にナトリウムを使う原子炉です。減速材は使用しません。
燃やした燃料の1.2倍~1.3倍の新しい燃料を作り出すことができるため,ウラン資源の有効利用の面から,重要な選択肢と位置付けられています。
国内には,1977年から運転中の実験炉「常陽」,1995年にナトリウム漏れ事故の発生により停止中の原型炉「もんじゅ」(日本原子力研究開発機構)がありますが,「もんじゅ」については,2016年12月に政府が廃止を決定し,廃止に向けた準備が進められています。

新型転換炉(ATR)

減速材に重水,冷却材に軽水を使用する原子炉。燃料にプルトニウムを使用し,原子炉の構造が圧力管型になっているのが特徴です。
使用済み燃料のリサイクルを実現するために開発された初の国産原子炉として1979年に運転を開始した「ふげん」(日本原子力研究開発機構)は,開発運転の役割を終えて2003年3月運転を終了し,廃止に向けた準備が進められています。

同じ原子炉にもこんなに種類があるんだね

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