ユニ・チャームは17日、使用済みの紙おむつを活用した再生品を公開した。技術的な課題はほぼクリアした試作段階で、2021年にも発売する。衛生面の懸念から従来、紙おむつは新品のパルプを原料に使用してきた。紙おむつは一般廃棄物として捨てられるケースが多く、環境負荷の低減につながりそうだ。
紙おむつの素材はパルプ5割、プラスチック3割、高吸水性ポリマー(SAP)2割で構成する。ユニ・チャームは15年、使用済みの紙おむつからパルプを取り出す独自の技術を開発し、オゾンで滅菌する方法で厚生労働省の基準をクリアした。再生品は新品のパルプを使った製品と比べても見分けがつかない。
再生品の価格は未定。使用済みの回収量を増やせれば、新品より材料を低く抑えられる可能性がある。ユニ・チャームは16年から鹿児島県志布志市と実証実験を実施し、ごみの分別時におむつの項目を設けている。ほかにも複数の自治体が関心を寄せており、協力する自治体を増やす考えだ。
紙おむつなど自社製品のリサイクルにメーカーが関与する動きは世界で広がっている。米プロクター・アンド・ギャンブルは17年からイタリア北部の自治体と組み、使用済み製品を回収する。英蘭ユニリーバは10月上旬に廃棄物ゼロを目指すと表明し、ごみの回収費用を負担する。花王も9月末、ごみの処理に関与する方針を示した。
日本では高齢化の進展で大人用紙おむつの使用量が増加し、焼却処理時に排出される二酸化炭素(CO2)が近年、問題となっている。