大相撲で大関に復帰した貴景勝(23)=千賀ノ浦=が16日、秋巡業に合流した。浜松市で行われた巡業の稽古では相撲こそ取らなかったが、左大胸筋の肉離れからの順調な回復を強調。九州場所(11月10日初日・福岡国際センター)出場に強い意欲を示した。
「痛みは大丈夫。うかうかしていられない。胸のパワーを戻すことしか考えていない。(九州場所に)出る気持ちで日々を過ごす」
秋場所優勝決定戦で関脇御嶽海に敗れ、左胸を痛めて苦悶(くもん)の表情を浮かべてから24日。全治約6週間の診断をはね返し、3週間余りという急ぎ足で土俵に戻ってきた。稽古を再開した今月上旬、左胸一帯に痛々しく広がっていた紫色の内出血は、跡形もなくなっていた。
とはいえ、まだまだ万全でない。「少しずつですね。再断裂したら意味がない」。この日は、四股やすり足など下半身強化が中心だった。
完全復活の目安は、100%での実戦。「胸を使って腕立て伏せをして、てっぽうを打って。そして手を伸ばす突きの先に、相撲がある」。昨年、初優勝を果たした験の良い九州の土俵へ、まずは一歩前進した。