ケンタッキーと大戸屋、「増税で混乱」の事情

テイクアウトは急増するが店内飲食客は激減

店内飲食と持ち帰りで税込み価格を統一したが、かえって誤解する客もいた(記者撮影)

10月1日の消費増税からおよそ半月が経過した。消費税率の引き上げは2014年4月以来5年半ぶり。今回は消費増税と軽減税率の導入、ポイント還元の3つが同時に実施されたことで、外食業界ではさまざまな混乱が生じた。

まず、異変が起きているのはショッピングモール内の店舗だ。外食産業の業界団体である日本フードサービス協会(JF)の髙岡慎一郎会長は、10月10日の記者会見で「ショッピングモール内の店舗で特に客数の落ち込みが大きい」と話した。

ショッピングモールは増税前の9月、日用品や高額品の駆け込み消費でにぎわった。が、10月に入ると一転、客数が激減した。ショッピングモール自体の集客力が低下したため、モール内の飲食店も足元は集客で苦しんでいるようだ。

「洋麺屋 五右衛門」の客数は5%減少

「ドトールコーヒーショップ」や「洋麺屋 五右衛門」を展開するドトール・日レスホールディングスの星野正則社長も16日の決算説明会で、「消費増税後、ドトールコーヒーの客数は前年同月比で2~3%減なのに対し、ショッピングモール内の店舗(洋麺屋 五右衛門など)は5%ほど減少している」と説明した。

「しゃぶ菜」や「デザート王国」などショッピングモール内への出店が多いクリエイト・レストランツ・ホールディングス(HD)の岡本晴彦社長も「前回の消費増税時も同じ傾向が見られた。3カ月程度は客数が落ち込むと思う」と見通す。ショッピングモール内の飲食店は当面、がまんの時期になりそうだ。

ショッピングモールの運営方針が影響し、自社のポイント還元施策を一部変更した企業もある。「ケンタッキーフライドチキン」(日本KFCホールディングス)は今回の増税にあたり、原則としてキャッシュレス決済のポイント還元を実施していない。ただ、全店舗の1%強にあたる19店のみでポイント還元を実施している。

これらはすべてイオングループのモール内店舗だ。ポイント還元をしないのは「還元のメリットがレジなどの改修費用に見合わない」ためだとしていたが、モール内の19店に関してはイオン側がシステム投資を負担したため実施している。

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  • クランツ461e1b18dc92
    シンプルに「食品(人間が口にするもの)」と「医薬品」は8%で良かったと思う。
    どちらも法律で明確に線引きされているのでわかりやすい。
    up10
    down1
    2019/10/17 09:03
  • 如月五月ブログ6407c324596e
    そもそも、

    >>低所得層への配慮から軽減税率が導入され、キャッシュレス
    >>決済の普及を目的としてポイント還元も制度化された。

    訳だが、軽減税率については今でも「天下の愚策」だと思っている。
    まず、低所得者層への配慮とのことだが、海外でもその分類には
    根本的な解決策が見当たらないのが実情。

    購入した食品が加熱されているかどうか、ドーナツを買った個数など
    販売側にも消費側にもよく分からない理屈で分類されているらしい。

    キャッシュレス還元も政策としては中途半端。
    ターゲットとしている中小企業はいまだに申請に様子見の会社が多い。
    これが年が明けて新年度に向け導入を決めたとしても、還元策の期限は
    6月まで。しかもどの会社も同じような行動をとるから認証は遅れる
    可能性もある。

    結局、キャッシュレス還元はなし崩し的に延長される可能性が高いと思う。
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    2019/10/17 06:58
  • ham7fea2850a161
    軽減税率は増税を飲み込ませるためのオブラートなのだから、時期を見て廃止すれば良いと思う。なぜなら、食品と言えども設備や包装や輸送には消費税がかかるわけで、その費用は結局は値上げになるからである。
    ポイント還元は零細店舗の脱税防止が目的であり、その目的が達成されるまで延長するべきと思う。売上1000万円以下は免税になることを理由に納税しない店舗が多い。キャッシュレスになると売り上げが補足されて納税させられることが嫌なのだ。脱税分を懐に入れているからだ。
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    2019/10/17 10:28
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